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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
交差する思惑編

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2256.大陸間冒険者ギルド対抗戦の話

「……というわけで、こやつらもヴェルマー大陸の冒険者ギルドに所属させたいのだが、良いだろうか?」


 ディアトロス達との話し合いを終えたソフィは、その足で再びレルバノンの居るラルグの塔に向かい、予定にあった『大陸間ギルド対抗戦』の参加を見据えて冒険者ギルドに所属させたいという旨を伝えるのだった。


「ええ。もちろん構いませんよ。むしろ我々としてもディアトロス殿達が所属して頂けるのは嬉しい限りです。ただ、やはり規則だけは曲げるわけにも参りませんので、申し訳ないのですが……」


「ああ、それは構わぬよ。当然に全員()()()()()()()()()から始めさせるつもりだったからな」


 それはソフィ達も充分に理解していた事であった為、何の不満も抱かずに頷くのだった。


「ただ、出来ればギルド指定されている魔物討伐が残っているのであれば、優先的にこやつらに回してやって欲しいのだ」


「え、ギルド指定魔物の討伐をですか? それはどうしてなのでしょう?」


「む? 指定魔物の討伐を行えば、優先的に勲章ランクを上げられるのではなかったか?」


「いえ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()。もちろん討伐をして頂ければ、普段通りのポイントの付与は行われますが、指定魔物の討伐を行えば直ぐにランクが上がるという規定等はヴェルマー大陸だけに拘らず、ミールガルド大陸の冒険者ギルドの規則にも無かった筈です」


「何と……。確か我はグランの冒険者ギルドで討伐対象にされておった『ベア』を倒した事で、その日の内にディラックにEランクに上げてもらった筈なのだがな……」


 それはソフィがこの『リラリオ』の世界にやってきた日の話であった。


「ああ、なるほど。それはきっとディラック殿が、ギルド長としての権限を使われたからではないでしょうか。本来はその町のギルドの存続に関与するような場合や、やむを得ない事情に限り、その町のギルド長の権限で行う事は可能ではありますが、通常はギルド指定魔物の討伐でランクを直ぐに上げるといった規則は存在していないのです」


「そう言えば……。我にギルドで絡んできた者達を倒した後、あやつの部屋に通された時にギルド指定魔物を倒せばワシの権限で上げてやると言われた気がするな。そしてその後、Eランクまで上げてもらった後に対抗戦に参加して、Dランクまで上げてもらった覚えがある」


 ソフィの説明にレルバノンは理解したとばかりに頷くのだった。


「確かにミールガルド大陸で行われる対抗戦は、勲章ランクによる出場制限が設けられていた筈です。もしかするとディラック殿は、ソフィ様のギルド対抗戦を見越して勲章ランクを上げられたのかもしれませんね」


 確かにベアの討伐依頼でEランクまで上げてもらった後、そんなに日が経っていないというのに、ディラックから指名依頼があり、それを受けて『ギルド対抗戦』に出たなとソフィは思い返すのだった。


「では、こやつら全員をそのギルド長の権限とやらで上げる事は可能なのだろうか?」


「そうですね……。レイズ魔国の冒険者ギルドの方であれば、ヴィネガーを通して便宜を図る事は可能だとは思いますが、全員を一斉に直ぐに参加出場資格まで上げるとなると、流石に他の者の体裁もありますのであまりオススメは出来ませんね。それにまだ『大陸間ギルド対抗戦』に関して言えば、ケビン王国との交渉の最中でもありますので、ルールを緩めて出場資格をEランクに引き下げいう事にする事も充分に可能です。Eランクまででしたら、そこまで上げる事は難しくはないと思われますので、開催が行われるその日までに勲章ランクを上げて頂く方が宜しいかと」


「ふむ。確か一番下がGランクであったか? Eランクまでなら確かに上げるのもそこまで難しくはなかろう」


「はい。この場に居られる方々の実力でしたら、そもそもギルド長の権限を使って上げる必要もないと思います」


 ヴェルマー大陸の冒険者たちが、ミールガルド大陸の一般的な冒険者よりは強いのは確かだが、それでもここに居る者達の大半が、トウジン魔国の闘技場のボスである『キーリ』や『ユファ』よりも強い者達ばかりである。


 そんな彼らがGランクから始めたとしても、直ぐにギルド対抗戦の出場資格を得られるランク帯まで上げられる事だろう。


「現在までの取り決めでは、ミールガルド大陸側の意見として対抗戦の出場資格を両大陸共に『Cランク以上』にするべきだと言ってきてはいるのですがね。そもそもあちらの大陸の勲章ランクCの者達より、こちらの勲章ランクGの冒険者達の方が遥かに実力が上なのですから、同じ勲章ランクであっても実力に差があり過ぎる為に、私個人の考えとしてはランクを統一させず、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()にしてもらいたいというのが本音なのですね……」


()()()()……」


 確かにヴェルマーとミールガルド大陸が対抗戦という形でトーナメント形式にするのであれば、当然に実力差があり過ぎる以上はそれくらいの取り決めが最低条件だろうとソフィも考えていた。


「まぁ、親睦を深める為にお主らが決めた両大陸間の交流の催しに文句があるわけではないが、そもそも実力がものをいうこの『対抗戦』に関しては、少し無理があるのではないかと我は思うのだがな……」


 明らかにヴェルマー大陸の冒険者達と、ミールガルド大陸の冒険者達の間に、簡単には埋められない程の実力差がある以上、あまり盛り上がらないのではないかとソフィは考えてそう口にするのだった。


「ええ。私も……というか、シス女王もシチョウ魔国王も分かってはいるのです。ただ、この催しに非常に乗り気なのが、ミールガルド大陸側でしてね。ケビン王はそこまでではないのですが、ケビン王国の一部の貴族や、それに準ずる形でルードリヒ王国の貴族達もごり押そうとしてきているというのが実状なのです」


 一部の貴族というのは十中八九、あのステイラ公爵達で間違いないだろうと、ソフィはアタリをつけたのだった。


「シーマ達の襲撃の時に自分達の大陸との実力差は理解出来たと思うのだがな。何故そこまで自信を抱いておるのだろうか? まぁ、自信を持つのは良い事だとは思うのだが、あまりにも差があり過ぎて、流石にどうしようもないと思うのだが」


 リディアやラルフ達のように、ミールガルド大陸の冒険者達の全員が全員、毎日研鑽に明け暮れて強くなろうとしているというのであれば、まだ分からなくもないが、どうもレルバノンの話からもそういう風な印象を受けないソフィは、何故ここまで自信満々なのかが分からず、首を傾げながらそう口にするのだった。


「ルードリヒ王国の一件といい、何かあちらの大陸で自信に繋がるような何か秘密が隠されているのかもしれませんね?」


 そう話すレルバノンだが、何か確信があるわけでも、情報を得ているわけでもないようで、ただ単に可能性を口にしているだけに過ぎないのだろう。


「ふむ……。まぁ、その辺もエイルに会った時に色々と探りを入れてみるとしよう。それではレルバノンよ、話を最初に戻すが、こやつらを冒険者にするという話には何の問題もないな?」


「ええ。一応『大陸間ギルド対抗戦』の取り決めとして、レイズ魔国とトウジン魔国に籍を置く冒険者という出場資格はありますが、その辺はこちらで何とかしましょう。それとやはり規則ですので、申し訳ありませんが、冒険者ギルドに所属するにあたっての試験は受けて頂かなくてはなりません……」


「うむ。その辺はお主らも問題ないだろう?」


「もちろんです」


「異論ありません」


「腕がなるぜ」


 ソフィの言葉に九大魔王の面々とヒノエがそう返すのだった。


「ふむ。ヒノエ殿、お主も参加するという事で良いのか?」


「当然だぜ!」


「そうか。六阿狐よ、お主はどうする?」


「いえ、私はソフィ様の護衛ですので。()()()()()()()


 全く出る気が無い様子でそう口にした六阿狐であった。


「ふむ、そうか……。リーネは良いのか?」


()()()()()。というか、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()? もう全く関係がないものと思っていたから、それすら覚えていないわね」


 まるで他人事のように、そう言って笑うリーネであった。


「確か我と共にヴェルマーに渡った時に、お主とラルフもレイズ魔国所属となっていた覚えがあるがな。ああ、そう言えばリディアだけはまだ、ミールガルド大陸の冒険者ギルドに所属していたか」


 こちらの大陸にソフィ達が来ると決まった時、リディアだけは再びソフィと戦いたいという理由で、ギルドの所属を変えなかったのを思い出したソフィであった。


「へぇ……。あの剣客はあちらの大陸の冒険者なのか。それじゃ、もしかしたら私らとも戦う事もあるかもしれねぇんだな」


 ヒノエはそう言って嬉しそうに笑い始める。どうやら彼女もリディアが同じ剣を扱う者として、どうやら少しは気にかけている様子であった。


「まぁ、そういう事だ。お主らも今の話で分かったと思うが、ギルドの所属には試験がある事や、無事に入った後もギルド対抗戦に出る為のランク上げ等で色々と忙しくなるだろう。しかしお主達であれば、必ず参加が出来ると信じておるぞ」


 ソフィの言葉にこの場に居る全員が、頷きながら返事を行うのだった。


 …………


 ――こうしてこの場に居る面々は、大陸間冒険者ギルド対抗戦という新たな目標に向かって進むのであった。

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