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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
交差する思惑編

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2255.九大魔王達による冒険者ギルド所属の話

 リーネやヒノエ達を連れて『ディアトロス』達が待っている部屋に向かうと、直ぐに『九大魔王』の面々が迎えてくれるのだった。


「お主、やっと来たのか……」


 ソフィを見て開口一番にそう告げたのは、魔王軍の最古参の一体にして『九大魔王』である『ディアトロス』であった。


「遅くなって済まぬ。色々と用件が重なってしまって、お主らがこの部屋で待っているという事を失念してしまっていた……。本当にすまぬな」


「はぁ……。まぁ、お主らしいといえばらしいな」


「ほら、リーシャ」


「う、うん。エイネさん……」


 ディアトロスとソフィがそんなやり取りを行っていると、緊張した面持ちで直立不動となっていたリーシャに、しっかりと挨拶をしなさいとばかりに彼女の背中を優しく叩き、前に送り出すのだった。


「そ、ソフィ様……! お久しぶりです!」


「おお、リーシャよ。ここではまだしっかりと挨拶をしておらなんだな。元気そうで何よりだ」


 ここに来て直ぐにレルバノンの元に向かったソフィは、ようやく『九大魔王』の面々としっかりとした挨拶を交わし合うのだった。


「これからも六阿狐をよろしく頼むぞ」


「はい……!」


 元々リーシャは六阿狐と接したいと考えていた為、満面の笑みを浮かべながらソフィに返事を行うのだった。


「それでソフィよ、()()()()()殿()()()()()()()()()?」


『九大魔王』の面々と挨拶を交わした後、直ぐにディアトロスは本題に入り始めたのだった。


「ルードリヒ王国の件の事だな? フルーフとヌーの一戦を見届けた後に我が直接ルードリヒ王国に向かおうと思っておる」


「いや、そちらの事ではなくてじゃな、まぁそれも大事な事ではあるが……。お主、レルバノン殿から『()()()()()()()』の話をまだ聞いておらぬのか?」


「ああ、そういえばエイルの奴からトウジンに話を持ってこられる前に、ケビン王国とミールガルド大陸の交流を図る意味で進めていたとレルバノンが言っておったが、その事だろうか?」


「その通りじゃ。冒険者を通じた二大陸の交流を図る催しとして行われる予定でな。ワシはまだこの世界について詳しくはないが、すでにこの国に居るリディア殿やラルフ殿をこの目で見ておる。あの者達が元々ミールガルド大陸から来ておるという事もな。リディア殿は、勲章ランクAという事らしいが、ラルフ殿はまだBですらないと聞いた。平均的なAランクが『()()()()()』程なのかどうかは分からぬが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そこでワシらもこの大陸の冒険者ギルドに所属して参加しようと、先程決めたばかりだったんじゃ」


「そうか。しかしな……」


 ソフィも二大陸での交流を図るために冒険者ギルドを使った『ギルド対抗戦』に反対をするつもりはないが、目の前に居る『九大魔王』達が参加するつもりなのであれば、自分が知る限りの()()()()()をディアトロス達と共有する必要があると判断し、自分がグランの町の冒険者ギルドに所属していた時の『ミールガルド大陸』の『冒険者ギルド』の話を行うのだった。


 …………


「つまり、リディア殿やラルフ殿が()()であっただけという事か……」


 ソフィが参加した時の『ギルド対抗戦』の実状を直に伝えられたディアトロスは、自分が考えていた参加者のレベルとの()()()()()()()()()に複雑そうな表情を浮かべるのだった。


 それもその筈、ディアトロスはミールガルド大陸の『冒険者』の勲章ランクBで『序列部隊』の二桁部隊、勲章ランクAに至っては『序列部隊』の一桁クラスはあると考えていたのだ。しかし少し前に直接参加したソフィから勲章ランクBで戦力値が10万程、更には勲章ランクAでもそうそう50万を超える事はないだろうと告げられてしまったのである。


 平均的な戦力値が50万以下という事になれば、ソフィの魔王軍の『序列部隊』はおろか、一般兵と呼べるような魔王達にも遥かに劣る戦力値という事になってしまう。それも上限に居る者達がそのレベルなのであれば、下限はアレルバレルの魔族達が使役する『名付け(ネームド)』が行われた魔物達でさえ、容易に勝負をつけられてしまうだろう。


 この国でリディアやラルフ達の研鑽を間近で見ていたディアトロスは、顔を覆うように右手をやりながら溜息を吐くのだった。


 しかしこの世界に来てから日が浅く、ずっとヴェルマー大陸で上位の強さを有する魔族達を見てきた彼にしてみれば、レイズ魔国の女王であるシスや、先程名を挙げたリディアにラルフ。そしてノックスの世界から現れた人間達が立て続けに恐ろしい力量を有する者達が現れたということもあって、色々と認識の齟齬を抱き、勘違いをしてしまうのも無理がないと言えた。


「まぁ催し自体は非常に面白いと感じたのも確かだ。対抗戦という名目とは外れてしまうかもしれぬが、かつて我が参加した時同様に『トーナメント形式』にすれば、たとえヴェルマー大陸の冒険者達が決勝に残ってしまったとしても、どちらの大陸からも異論は出ぬ。そもそもが参加する事に意義があり、交流を図るという意味では成功と言える。それにお主ら程の強さを持った者達が、ヴェルマー大陸の冒険者ギルドに居ると知れ渡れば、今後お主らを目指してミールガルド大陸の両国家に属する『冒険者』達も強くなろうと思う事だろう。最初は衝撃が勝るであろうが、彼らも冒険者である以上は現実を真摯に受け止める筈だ。そういった意味でも『大陸間ギルド対抗戦』をやる事に我は賛成だな」


 そうソフィが告げると、ディアトロスだけではなく他の『九大魔王』の面々もやる気を見せ始めるのだった。


「そうですよ、ディアトロス様! あたし達『()()()()()()で戦う事になったとしても、それはそれで自分の今の実力を確かめるという意味でも決して、悪くはないと思います!」


「ああ、リーシャの言う通りだな。外に強者が居なくとも、内にこれだけ強い者達が集まっているんだ。今いちど『九大魔王』での序列を決め直すのも有りだな」


 参加に意欲を見せ始めたリーシャの言葉に、直ぐに賛同するイリーガルだった。


「いいねぇ……。これでもかと熱い気持ちがヒシヒシと伝わってきて、つい私も昂っちまったよ。ソフィ殿、私もその催しに参加出来ねぇかな?」


 『九大魔王』達のやる気に満ちた言葉の数々を聞いて、ヒノエも参加したいと興奮気味にソフィに告げるのだった。


「冒険者ギルドに所属させすれば問題はないはずだ。ただ、単に参加するだけでは直ぐに対抗戦に出場が出来るかどうかは現時点では何とも言えぬ。少なからず勲章ランクを上げる必要はあるかもしれぬな」


 ソフィは過去を思い出して、自分がどうやって勲章ランクを上げたのかを思い出しながらそうヒノエに言葉を返すのだった。


「まぁその辺はレルバノン殿に訊ねるか、実際に冒険者ギルドに赴けば分かる事じゃろう」


「うむ。ディアトロスの言う通りだ。少し過去を思い返してみたが、我の時は指定された魔物を討伐するというクエストでEランクまで上げてもらったように思う。討伐系の依頼を中心に受けていけば良いのではないか?」


「ここに居る面々が一斉に指定魔物の討伐依頼を受けたら、一瞬で全てのギルドの討伐依頼がなくなりそうだけどね……」


 ここまで黙って話を聞いていたリーネは、ぽつりと一言そう口にするのだった。


 ……

 ……

 ……

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