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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
交差する思惑編

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2254.積み重なった用事

 リディア達との模擬戦を終えた後、ソフィはリーネ達の待つ部屋へと戻ってくるのだった。


「ソフィ、お疲れ様」


「お疲れ様です!」


「お疲れ様。怪我とかしてなさそうで良かったぜ」


 ソフィが部屋に入ると、今か今かとソフィの帰りを舞っていた直ぐにリーネ達が、口々に出迎えてくれるのであった。


「うむ。お主達もいきなり部屋で待つように告げてすまぬな」


 ユファに中庭の大穴の修復を頼んだ後、模擬戦を行う約束をしていたリディア達と戦うつもりであった為、先に部屋で待っているようにソフィが告げていたのであった。


 リディア達と実際に手を合わせるのが久しぶりだったという事もあり、どれぐらいの力が必要になるかを調べるという意味でも安全性を考慮して、リーネを安全な場所に向かわせたかったというのがソフィの本音なのであった。


 当然、六阿狐やヒノエはあの場に残ったとしても、自分達の身は自分達で守る事は出来ていただろうが、リーネを一人部屋に残したくないと考えたようで、六阿狐もヒノエも自分達からリーネと共に戻ると言ってくれたのである。


「それで、久しぶりに戦うラルフ達の様子はどうだった?」


「我の想像を超えて強くなっておったな。リディアの奴も戦いの幅が広がっておったし、ラルフの奴は前回とは比較にもならぬ程だった。それもまだ更に強くなるだろうと思わせる程の成長ぶりでな、これからが更に楽しみとなった」


 そう話すソフィがとても嬉しそうだと感じたリーネもまた、首を縦に振って、こちらも満足そうにしながら頷きを見せたのだった。


 ふと、ソフィがヒノエの視線を感じてそちらを見ると、ヒノエは直ぐに察してくれたソフィを見て嬉しそうに微笑みながら口を開いた。


「ここから見てたけど、あのラルフって子は一時的に『瑠璃色(るりいろ)』を纏えていたね。あの様子だと直ぐに私たちと同じように完全に『瑠璃色(るりいろ)』まで扱えるようになるんじゃねぇかな? 凄いセンスをここから見ていても感じたよ」


 妖魔退魔師組織の一組組長だったヒノエは、どうやら長年自分の組に居た者達の成長を見てきた事で、同じように現在のラルフの才覚を理解した様子であり、まるで断言するようにそう話すのだった。


「ええ、ヒノエの言う通りですね。ラルフ殿は現時点ですでに『天色』を完璧に扱えているように思えました。あの領域に達しているのでしたら、すでに『瑠璃色』を扱っていても何らおかしくはないと思えた程です」


「指導者が相当に丁寧なんだろうな。中途半端に自分の持つ技量以上の事を身につけさせず、技に振り回されないように、上達加減を調節して技を教えている風に思えたぜ」


 そう口にするヒノエの言葉には実感がこもっていて、どうやら自分も指導者だった観点から、同じくラルフの指導を行っている者達に対してもそう評価を下したのだった。


「ほう……。お主らがそこまで褒めるという事は、やはり我が思った通りの上達ぶりだったようだな。それにしても『青』にもそのように色々と名があるという事、そして効力の違いもそれぞれ皆が知っているようで驚きだ。我達の世界では『青』を扱う事そのものに意味があり、その『青』にも色々と違いがあるのだと気づいている者はごく少数だけであった。我も当然に違いそのものは理解していたが、感覚的なものに過ぎずに名すらもよく分かっておらなんだな」


 アレルバレルの世界の大魔王領域に居る者の中には、淡い青色や、鮮やかな青という違いを理解して居る者も居たが、大半はその事に気づいても居なかったというのが実状であり、今目の前に居るヒノエや六阿狐達のように『青』の種類を明確に口に出来る者は皆無と呼べる程だった。


 もちろんノックスの世界の退魔士や、妖魔退魔師の全員が全員ともに理解しているかどうかは分からない事ではあったが、それでも『天色』と『瑠璃色』の違いなどをこうして説明出来るものが居なかったのは確かである。


「まぁ私はラルフ殿より、先にソフィ殿と戦っていたリディア殿の方が、同じ剣や刀を扱う者として気になってるってのが本音なんだけどな。特にオーラを具現化して黄金色に輝いていたあの両手剣とは一戦交えてみてぇって思えたぜ」


 そう言って口角を上げながら笑うヒノエを見て、ソフィも嬉しそうに笑うのだった。


(クックック、やはりヒノエも相当に我と感性が似ている。このような話であっても、話していてとても居心地が良いと思えるからな。リーネとは異なる点ではあるが、やはりこれも相性が良いといえるのだろうな)


「それでさ、私たちとずっと居てくれているのは嬉しい事なんだけど、後で会いに行く予定だって言ってた『ディアトロス』さん達の事は、まだ待たせていていいの? 何だか貴方、このままヌーさん達が目覚めたらそのまま屋敷に帰りそうな雰囲気出しているけど……」


「む! そう言えば、そうであったな。色々と用件が立て込んでおって、あやつらに会いに行くのを忘れておった」


「ええ……?」


「そ、それでしたら、直ぐにでも向かわれた方が良いのではないですか? きっとソフィさんが来るのをずっと心待ちになされているのでは?」


「う、うむ。しかしまぁ、一度は全員と中庭でも話をしておるしな。特にイリーガルとはヒノエ殿との一件で一緒にレルバノンの元で会っておるし、全くそのまま会っておらぬというわけでも……」


「り、リーシャさんとはまだ喋っていないのでは? 私に早くソフィさんと会いたいと申されておりましたが……」


「ソフィ、早く移動しましょう」


「そ、そうだな。ではそうするとしよう」


 六阿狐の言葉にリーネに心配されたソフィは、慌てて立ち上がるとそのまま部屋を後にするのだった。

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