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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
交差する思惑編

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2247.リディアの決意を受けて

「おい、ソフィよ。別に手加減しろとまでは言うつもりはないが、助けられる前提だといっても、こんな模擬戦であっさりと自分の配下の命を奪おうとするなよ」


 リディアは非難めいた目をソフィに向けながら、恨み事をソフィに口にするのだった。


「いや、待つのだリディアよ。我も当然ここまでやるつもりはなかった。まだ我も先程開眼したばかりの『魔瞳(まどう)』の制御が出来ておらぬようなのだ。我も使おうと思ったわけではなく、緊急であった為に勝手に発動してしまったのだ」


「ふんっ」


 どうやら言い訳ではなく、本心からそう告げているのだと理解したリディアは、自分が認めた強敵手(ライバル)が、ソフィにそう思わせる程までに強くなったのだと思う事にして、満足そうに鼻を鳴らすのだった。


「まぁ、お前があのエルシスの奴と同様に、俺達の知る常識とは異なる回復手段を用いる事が可能だという事は承知しているがな」


 それは先程の『救済(ヒルフェ)』の事を言っているのだろう。その後もリディアは、とんでもない力だと告げて溜息を吐くのだった。


「しかし今回は『魔力枯渇』が原因で意識を失っておるからな。生命の方までを使わせることなく、その前段階で意識を失ったのは、ある意味で救われたといえる。それにしてもお主が言っておったとおり、こやつの成長速度も異常だな。元々暗殺者であったという事もあり、サイヨウ達のような妖魔召士の扱う捉術にも適正があったのやもしれぬが、それでもあの戦いの中で見せた速度は尋常ではない。それも少し前まで『青』すら纏うどころか、その前段階の『魔力コントロール』すら覚束ぬような状態であったというのにな」


「ああ……。サイヨウの奴が俺とラルフを直接戦わせようとせず、紅羽や朱火達と戦わせるようになったのも、そいつの暗殺者だった頃の技や、お前が言ったような成長速度が関係しているようだ」


「ほう? どういう事だ?」


「……前に修行の最中に、サイヨウの奴が独り言を言っていたところを近くで聞いていたんだが、お前が口にした通り、そいつの暗殺者だった頃の経験や動きが、どうやらサイヨウの使う『技』とやらに非常に適正を持っていたらしくてな。さっきお前に使ってみせたような『技』もその中の一つだ。ああいったモノを扱うのにそいつの持つ経験と動きが見事に合致しているらしい」


 その先程見せた技というのは、ソフィを背後から襲ってきた時に使った『動殺是決(どうさつぜけつ)』の事で間違いないだろう。


 ソフィは過去にイツキが使っていた『動殺是決』で自分が甚大な被害を受けた事を思い出し、確かにあの殺傷能力に長けた『技』を何の抵抗が出来ずに用いられてしまえば、流石のリディアであっても『命』の危険が生じるだろうなとソフィは判断するのだった。


 そして同時に、ああいった技の数々をサイヨウがリディアに教えているとなると、ユファの指導してきた『魔』の概念技法も相まって、今後は大きく化けるだろうなという考えに至るソフィであった。


「ふむ。単純な破壊力では今でもお主の方が優れておるように思うが、どうやらラルフは速度に適した技を繰り出す事で、派手さはないが『内から壊す』という点で、お主以上の恐ろしさを秘めておるようにも思えるな」


 そのソフィの評価に的を得ていると感じたのか、リディアも反論するような真似をしなかった。


「俺はどちらかと言えば、サイヨウの奴よりエルシスの教えの方が合っていたように思えたが、そいつの場合は間違いなくサイヨウの教えが合っていたのだろうな。まぁ、紅羽と模擬戦を行えるようになった事で、結果的には奴のおかげでここまで実戦経験も積めて強くなれたとは思うがな」


 リディアからしてみれば、戦闘の基礎の部分となる『オーラ』や『金色に輝く二刀』を含めて、自分の力を上手くコントロール出来るように鍛えてくれたエルシスの方が、自分の成長により大きく貢献してくれたと感じているようであった。


 彼の中では、謂わば戦闘の基礎では『エルシス』で、実戦的な意味では『サイヨウ』の指導が優れていたという評価なのだろう。


 どちらにせよ、リディアもラルフも数々の優秀な師のおかげで、こんな短期間で強くなれた事に間違いはなく、ミールガルド大陸でソフィと出会う事もなければ、確実にここまで強くなる事はなかっただろう。


 しかしだからこそ、彼らは『上』の存在というモノを知ってしまい、これからも苦労せざるを得なくなったというのが現実である事も間違いない。


 井の中の蛙で大海を知る事もなければ、自分が最強なのだと信じて疑う事もなく、ミールガルド大陸の中で幸せを噛みしめる事が出来ていたかもしれない。


「……それで、そこまでの強さを苦労したお主に今いちど聞いておきたいのだが、強くなればなる程にお主の周りに居る者達の高みを知る事となったわけだが、お主はそれについてどう思っているのだ?」


 表面上に大した変化はないが、少しだけ緊張した面持ちでソフィはリディアにそう訊ねるのだった。


「ふんっ、お前にどういう意図があってそんな事を口にしたのかは知らんが、自分の天井を知る為の手立てをこんなにも多く知る事が出来て満足している。そして周りの連中が今の俺より強いという事は、これから俺の天井を知っていく過程で役に立つという事だ。俺より強い奴らを一人残らず抜き去って行き、やがてはお前も俺の手で倒してみせる。ソフィ、覚悟しておけよ? そんな風に勝ち誇りながら、まるで余裕そうに質問をしていられるのも今の間だけだ。必ず俺はお前の想像するより早く強くなってやるからな」


 そう告げるリディアの目が、きらきらと輝いているように見える。


 どうやら本心から彼はそう口にしているのだろう。


 ――そしてソフィは、そんな目をするリディアを見て安堵する。


「クックック、やはりお主は変わらぬな。我はお主に期待しておる。いつか必ずもっと強くなって、我の前に立つのだ。その時こそもう一度、存分に戦り合おうではないか!」


「ああ、必ずお前という高みまで昇ってみせる。お前という目標がある以上、今後も俺は立ち止まる事はないと約束しよう!」


 しっかりとソフィの目を見て堂々とそう口にしたリディアを見て、ソフィは知らず知らずの内に高揚感に包まれていく。


(ああ、こやつと居ると何と気分が良い事だろうか……! 早くもっと強くなって、我を殺し得る(すべ)を身につけるのだ……! 我はその時を首を長くして待っておるぞ、リディアよ!)


 多大なる期待感を募らせながら、ソフィはリディアの宣言を真っ向から受け止めるのであった。


 ……

 ……

 ……

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