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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
交差する思惑編

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2220/2247

2202.明確な神位の差

「――」(久しぶりね、テア?)


「――」(ち、力の魔神様……。お、お久しぶり……です……)


 いつでも戦えるように戦闘態勢に入っていたテアだが、唐突に顕現を果した後に自分の元に近寄りながら声を掛けてきた『力の魔神』を前にして、オーラを消しながら失礼のないように返事をするのだった。


 他の死神達も流石に跪くような真似をしてはいないモノの、神位が違いすぎる程の神格を有している『魔神』を前にして誰もが声を失い、呆然としながらテアと魔神の会話を見守り始めるのだった。


「――」(あんなにも慎み深い貴方が、これだけの死神達を集めて激昂するなんてね。その原因は貴方が大事そうに抱えているその魔族がやられた所為かしら?)


 力の魔神はテアに普段通りの声音で訊ねると、にこりと微笑みかける。


「――」(は、はい……! あそこに居る人間が使役した生物に、こいつがやられちまったんです……)


「――」(それは怒って当然よね? 私が貴方の立場になって、ソフィが万が一にも手を出されて同じ事にでもなれば、きっと私も許す事は出来ないでしょうね)


「――」(わ、分かってくださいますか? そうなんです。こいつは先日も襲われて意識を失わされて、今は療養も兼ねているところだったんです。そうだというのに、また争いの渦中に立たされちまって……!)


 親身になって優しい言葉を掛けてくれた魔神に対して、テアはゆっくりと事情を説明し始めるのだった。


 そうしてテアから事情を全て聞き終えた魔神は、ゆっくりと頷いた後に口を開いた。


「――」(貴方の苛立ちも理解出来るし、個人的には私も貴方の報復に協力してあげたいところなのだけれど、ソフィはこの場で貴方達の戦いを望んでいないの。貴方には悪いけど、矛を収めてもらえないかしら?)


 先程までと変わらない柔らかな笑みを浮かべながら、力の魔神はテアに矛を収めるようにと告げるのだった。


「――」(……分かっています。この場がどういう場所であるかという事も、もちろん理解しています)


 少しの沈黙はあったが、ここでテアが誤った決断を下せば自分とヌーだけではなく、この場に集まった他の『死神貴族』延いては『幽世(かくりよ)』に居る全ての死神達にも関わってくる為、テアは死神公爵として、本音で語らずに建前で身を引く発言を『神位』で自分を遥かに上回る『力の魔神』に行うのだった。


「――」(そう、分かってくれて嬉しいわ)


 力の魔神は再びテアに微笑みかけると、その視線を他の死神貴族達に向け始める。


「――」(貴方達もせっかく集まってくれたのに悪いけど、そんなわけだから、大人しく今回は引いて頂戴ね?)


 今回、改めてテアを認めて軍門に下る決意を固めた『死神侯爵』の『アーテ』は、直接『力の魔神』に視線を向けられた事で、色々と思惑は抱いていた様子だったが、全てを呑み込んでテアと同様に了承するように頭を下げるのだった。


 死神界と呼ばれる『幽世』では、このアーテもテアも相当な地位に居る死神貴族で間違いないが、それでも『魔神』はあまりにも神位が違いすぎて、同じ神格持ちであっても反論など許される筈もなかった。


 それも目の前に居る『力の魔神』はただの『魔神』ではなく、天上界から直接『超越者』を相手に執行を任される程の『魔神』であり、その中でもさらに位の高い『上位執行者』である為、ここに居る死神貴族達はおろか、死神皇ですら刃向かう事は許されない程の力の差や神位の差も相まって、誰も口を挟む事など出来はしないのは当然の事と言えたのだった。


 力の魔神が最後にテアを一瞥すると、テアは力の魔神に見せた事がない『悔しさ』を滲ませた表情を一瞬だけみせるのだった。


 やがてそんな表情を浮かべたテアが、手を上げて死神達を幽世へと引き返させる。


 そしてテアの行動一つで大勢の死神達が一斉に『幽世』へと引き返していき、やがてこの場に『ナイトメア』や『アーテ』といった『死神貴族』達だけがテアの元に残されるのだった。


 死神達が引き返していくのを見届けた後、力の魔神はテアを一瞥したが、それ以上何も告げずにソフィの元に戻って行った。


「――」(どうやら素直に引き返してくれたみたい。ソフィ、これで良かったのよね?)


「うむ、よくやってくれた。後はサイヨウ達の方だが、こちらは我よりもシギン殿の方が適任のようだな。そうなのだろう?」


 魔神に労いの言葉を掛けたソフィは、いつの間にやら神斗と共にソフィの背後にまで来ていたシギンに視線を移してそう尋ねる。


「すまなかった、ソフィ殿。あとで改めて謝罪を行わせてもらうつもりだが、まずはこの場は私に任せて欲しい」


「やれやれ、騒ぎが気になって来ちゃったけど、真鵺が居るなら姿を見せるんじゃなかったな」


 シギンとは正反対の思いを抱きながら、共にこの場に現れた神斗は溜息を吐きながら、そう口にするのであった。


 ……

 ……

 ……

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