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2172.六阿狐の謝罪

「それじゃ、入んなよ」


「……では、遠慮なく」


 六阿狐が自室に入っていくのを確認したヒノエは、欠伸(あくび)をしながら自分も部屋に入って扉を閉めるのだった。


 今回は先日のようなやり取りもなく、互いに殺気を向けるような事もなく自然な形で相対するヒノエと六阿狐であった。


 あの時とは異なり、ヒノエはしっかりとリーネやソフィと話し合って認められた為に、六阿狐も個人的に思うところはあっても、もう表立っては文句を口にする気はなくなったようである。


 そしてヒノエの方もそんな六阿狐の様子を感じ取っているからこそ、自然体のまま居られるようになったようだ。


「それで六阿狐、アンタが訊きたい事ってのは、当然私らが向かった場所の事だよな?」


 先に部屋に入った六阿狐が部屋の入り口付近に腰を下ろして正座したのを見届けた後、ヒノエもベッドには向かわずに六阿狐の前に座って胡坐をかきながらそう口にするのだった。


「はい、その話が本題ではあるのですが……、その前にまずはこの前の事を謝罪をさせて頂きたいと思いまして」


「ん? この前の事……?」


 ヒノエはてっきり『ミールガルド大陸』に向かった後の事を訊かれると思っていた為、一瞬何の事か思い至らずに、首を傾げながらオウム返しを行うのであった。


「ソフィさんとリーネ様の事について、私が()()()()()()を貴方にしてしまった事に対してです……」


「ああ……。でも別にアンタはリーネ殿の事を慮って、私にあんな態度を取ったに過ぎないんだろ? 自分が肩入れしている相手の男に、こんな私が冗談半分でちょっかい出していると思ったら苦言の一つや二つは言いたくなるだろうしな。それに別に私は気にしちゃいないから、謝ってもらわなくて構わないぜ?」


 六阿狐はヒノエの言葉を聞いてきょとんとした表情を浮かべたが、直ぐに慌てて口を開くのだった。


「そ、そんなわけには参りません! ソフィさんが決断をなさり、リーネ様がお認めになられたことに対して、関係のない私が差し出がましい事をした挙句、貴方に対して偉そうに暴言を吐いて剰え殺気まで向けたのです。これで何のお咎めもなければ、私は今後貴方に対して顔向けが出来ません……!」


 どうやら本音ではまだ六阿狐はリーネの味方をしたいと考えているようだが、それでもあの時と現在とでは事情が異なっている為、筋はしっかりと通そうと考えた様子で、本心でヒノエに詫びを入れておきたいと考えている様子であった。


「……そりゃ義理堅いこって。まぁ、アンタが今後もソフィ殿の護衛を続けていく限りは、私もアンタとは良好な関係を保ちたいと思っているし、ソフィ殿を守る為にはアンタの協力が必要不可欠だと思ってる。だからアンタが自分の中で納得したいっていうなら、謝罪でも詫びでも聞いてやる。その代わり、それでもうお互いに遠慮とかはなしにしよう。今後も言いたい事があるなら何でもハッキリ言ってくれ。その方がなんかあった時に、私としてもアンタに頼みやすくなるしさ」


「分かりました……。では、妖魔退魔師ヒノエ殿、この度は出過ぎた真似を行い、誠に申し訳ありませんでした」


 そう言って正座をしていた六阿狐は深々と頭を床につけて、この前までのやり取りの謝罪をヒノエに行うのであった。


「アンタの謝罪は受け入れた。もう頭を上げてくれ。これからはお互いにソフィ殿を守る為に協力していこうや!」


 ヒノエはそう言って六阿狐の両肩を掴んで頭を上げさせると、笑顔を作ってソフィを守る『同志』になろうと告げるのだった。


「分かりました。その提案については私も何の異論もありません。協力関係を結ぶ事に関しては大賛成です」


 どうやら六阿狐もヒノエを人間性ではなく『戦力』としてはこれまでも充分に認めていた様子であり、互いの()()()()()()という点で合致している以上は、協力関係を結ぶ事に対してはとても肯定的なところを見せたのだった。

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