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2171.帰路についた後

 深夜にセグンスの自分の屋敷から『ミールガルド』大陸にあるクッケの町に向かったソフィ達は、すでに空が明るくなり始めた明朝に帰路に着くのだった。


 すでに『力の魔神』はクッケ近くの山脈から離れる頃にはソフィ達の元から去っており、今この場にはソフィとヒノエの二人だけであった。


「朝と呼べる時間帯にはなったが、まだ皆寝ているかもしれぬ。出来るだけ音を立てぬように部屋に戻るとしようか」


「分かったぜ、ソフィ殿。私は今回特に何もしていなかったが、何だかどっと疲れたからさ、悪いが今日はもうこのまま横にならせてもらうな……?」


 屋敷の門の前でここまで共に歩いてきたヒノエにソフィがそう告げると、ヒノエは少しだけ眠たそうな目をしながらそう言って返事をするのだった。


「うむ。お主も夜通し動いておったのだ、無理もあるまい。山の中を連れまわさせてすまなかった」


「いやいや、何を言っているんだソフィ殿! 元はと言えば私が無理を言って同行させてもらったんだからさ、ソフィ殿が謝る事は何一つないぜ! それに連れて行ってもらえて、私は感謝してるよ。もしまた出る機会があったら、何時でも誘ってくれよ? 私はいつでもソフィ殿に声を掛けてもらえるのを待ってるからさ……?」


「分かった。その時はまたよろしく頼む」


「ああ! その時を楽しみに待ってるからな?」


 ヒノエはそう言ってにこりと微笑みながら、本心からの言葉を口にするのだった。


「では、入るとしよう。我はひとまずリビングに寝かせてある六阿狐の様子を見に行くから、お主は先に部屋に戻ってくれて構わぬ」


 ヒノエがソフィの言葉に頷くと、二人は屋敷の門を開けて庭へと入り始める。


 すると庭に居たハウンドやベア達がソフィ達に気づいて視線こちらに向けたが、ソフィ達はその場所にリーネと六阿狐が居る事にも気づくのであった。


「おかえりなさい。二人仲良く朝帰りなんて、妬けちゃうわね」


「おかえりなさい、ソフィさん……と、()()退()()()()()()


 リーネはソフィ達が何処に向かっていたのかを分かっていながら冗談交じりにそう告げて、そして六阿狐の方はソフィには素直に笑みを向けていたが、直後にヒノエに出迎えの言葉を掛ける時は()のある言い方で名を呼ぶのであった。


「む、起きておったのか」


 まだ寝ているだろうと考えていたソフィは、どうやら外で自分達が帰ってくるのを待ってくれていたのであろうリーネ達にそう言って挨拶をするのだった。


「ええ、もちろん事情は六阿狐ちゃんから聞いているわ。二人とも無事で安心したわよ」


 どうやらソフィが意識を落としておいた六阿狐から事情を聞いたらしく、やはり全てを理解した上で外で帰りを待ってくれていたようだった。


「ああ……。元々こちらは戦うつもりまではなかったからな。あくまでヌーを襲った者を確かめておきたかったのでな」


「そう。それでヌーさんを襲った相手はちゃんと確かめられたの?」


「うむ。想像していた通りの相手であった。あちらも無理にヌーが近づこうとしておったから手を出しただけのようで、もう無理に近づこうとしなければ問題はないであろう」


「そっか……。ヒノエさんもお疲れ様」


 そう言ってヒノエにもしっかりと労いの声を掛けてくれたリーネに、ヒノエも会釈するのだった。


「まだ早い時間だし、少しだけでも横になったらどうかしら。朝の食事時にまた起こしてあげるわ」


「うむ、そうしてくれると助かる」


 そう言ってソフィは小さく欠伸をするのだった。


 十歳の子供の見た目のソフィが欠伸をする姿を見て、何やらリーネは嬉しそうに微笑むと、了解しましたといって、ソフィの元に近づいてきてその頭を撫でるのだった。


「では、代わりに私が貴方を起こして差し上げますよ、()()退()()()()()()。安心してゆっくりと眠って下さい」


「い、いや! 自分で起きれるから大丈夫だ! 絶対に起こしに来るなよっ!?」


 自分はソフィに置いて行かれたというのに、ぬけぬけとヒノエが行動を共にしていた事を怒っている様子の六阿狐に、必死に断りを入れるヒノエであった。


 ……

 ……

 ……


「待ってください、妖魔退魔師ヒノエ」


 そして先に部屋へと戻って行ったリーネとソフィを見届けた後、ヒノエも用意されている自分の部屋に向かおうと一歩足を踏み出したが、そこである程度は呼び止められるだろうと想像していたヒノエは、やっぱりきたかとばかりに振り返るのであった。


「ん、やっぱり……怒ってるか?」


 ヒノエは六阿狐が何かを口にする前に、先にそう口にしたのだった。


「いえ、確かに貴方に思うところがあるのは確かですが、今はそれよりもあの後にどうなったのかが気になっているだけです。ヌー殿を襲った相手の元へ向かったのでしょう?」


 どうやら六阿狐は個人的な感情よりも、()()としての役目を果たせなかった事に対して、せめてどういう事があったのかを把握しておこうと考えている様子であった。


 ヒノエは六阿狐が真剣な表情を浮かべているところを見て、何処までも真面目だなと考えながらも頷くのであった。


「ああ、その通りだ。とりあえず立ち話も何だしな。私の部屋に来るか?」


「……では、お邪魔します」


「へいへい、それじゃ行くかい」


 そう言ってヒノエもソフィと同様に小さく欠伸を行った後、共にヒノエの部屋を目指して廊下を歩いて行くのだった。

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