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2170.大魔王ソフィを厄介だと認知する魔神

 次元の狭間を通らずに山の洞穴を通って外に出てきたソフィ達だが、見上げるとすでに空は白み始めていた。


 どうやらソフィが思っていたよりも、この山脈に来てから相当の時間が経っていたようである。


 ソフィは通ってきた洞穴の方を振り返ってみたが、どうやら影は追ってくる様子はなく、先程まで洞穴の中で響いていた笑い声もぴたりと止んでいて、まるで最初から誰も居なかったように感じる程に静かであった。


「今もあやつは中から我達を監視しているのやもしれぬが、どうやらこちらから仕掛ける素振りを見せなければ、このまま大人しく帰らせてくれるつもりらしいな」


「でも実際これで良かったのかい? ここへ来る時にソフィ殿は色々と確かめておきたい事があるって話だったけど」


「ああ、ヌーに手を出した者が誰だったのかを知る事が出来ればもう充分だったのだ。それによって次元の狭間であやつの告げていた監視者が『レキ』であった事も確認出来たわけだしな。それにこの後に何かあったとしても、そこから色々と推測も立てる事が出来るようになったのも大きい」


 次元の狭間の中で起きた会話の内容を知らないヒノエだが、ソフィが解決したと口にしている以上は、問題ないのだろうとばかりに強引に納得するのだった。


「そっか。ソフィ殿がそう決断したなら私も文句はないが、もしかしたらヌー殿の報復も何処かで考えているんじゃないかって思っていたから少し肩透かし感はあるが、まぁ、何事もなく終わって安心したぜ!」


「今回の件に関しては、ヌーが我の忠告を無視してここに近づこうとした事が悪いからな。それに影が行った事は、あくまであやつの『魔力』を枯渇させるだけという『警告』に留めた事も大きい。これで我が報復に動いてしまえば、それはもう完全に筋違いだ。まぁ……、一言くらいは影の奴に苦言を告げて釘を刺しておいてもよかったかもしれぬがな」


 どうやらヌーがやられたことに関しては、自分が手を出すのは筋違いだと理解していながらも、思うところがあるというのは間違いないらしい。


 ヒノエはソフィの話を聞いていて、もし影が『警告』に留めずにヌーを殺めていたとすれば、きっと今頃はこうして何事もなく会話をしていなかっただろうなと考えるのだった。


 ――こうして、ソフィは変化の魔神との二度目の対話を終えるのだった。


 戦闘にまで発展する事はなかったが、今回の一件でソフィは『次元の狭間』内で抱いていた『変化の魔神』に対しての印象を大きく変える結果と繋がるのであった。


 常に『()()』や『()()』を望むソフィと、無理してそれを望まずに『()()』する事もまた、一つの幸福だと捉える変化の魔神では、どうやらこれ以上の良き関係を築くのは困難といえそうである。


 ソフィの『発展』や『成長』を望む根底にあるものは、彼の願望を叶える事に繋がっているといえる為、この思考を転換させることはさらに難しいだろう。


 もし今後、この彼の考えを変えさせる事が出来る可能性があるとすれば。


 ――大魔王ソフィの()()が、完璧に()()()()()()になるのだろう。


 ……

 ……

 ……


「――」(()()()()()()()()……)


 ソフィ達が洞穴を出た後も監視を続けていた変化の魔神だったが、何やら外で仲間達と会話を続けていた後に、魔法でこの地から離れて行くのを見届けた後、レキの本体がある薄暗い洞穴の中、変化の魔神は静かに独り言ちるのだった。


「――」(会話の随所で私はあの『()()()』に()()を向けていたが、あやつは平然と会話を続けておったな。下界の者達が『魔神級』と口にする者達ぐらいの程度であれば、何度も昏倒していてもおかしくはない程の殺意を放ったつもりだったが、どうやらこの程度ではあの『超越者』には全く通じなかったか)


 そこで変化の魔神は、ちらりと魂のない『レキ』の本体を一瞥する。


「――」(大魔王ソフィと大魔王レキか……。手を打つなら『()』しかないだろうが、それはあくまで『上』が判断する事だ。願わくば、私や他の『上位執行者』が何とか出来る間に『処理』を決断してくれると有難いのだがな……)


『変化の魔神』は今回のソフィとの会話の中で、互いに相容れぬ思想を持っている事を理解し、そしてその事に関してソフィという『超越者』は絶対に曲げない頑固者だという事を知った。この先に再び会う機会があったとして、戦闘に発展するような事にでもなれば、確実に『執行』の機会に恵まれる事になるだろうという結論に至るのだった。


 そして大魔王ソフィという『超越者』を相手にする時、変化の魔神は目の前の大魔王『レキ』との一戦よりも、更に苦労する事になると確信を抱いた様子であった。


 ……

 ……

 ……

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