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2166.穏便に進む会話

「――」(やれやれ……。世界の『(ことわり)』をこれほどあっさりと捻じ曲げるとは……。本当に何時の世も『超越者』共は、常識外れで厄介極まりないものだ)


「ふむ、やはり『魔神』で合っていたか」


 ソフィは愚痴を零しながら現れた影の姿を見て、やはり視線を向けていたのは『変化の魔神』だったのだと確信するのだった。


「黒い影……か。これが『魔神』とかいう奴の正体か。どうやら想像していたものとはかなり違っていたな」


 『次元の狭間』では意識を保てていなかったヒノエは、ここに来てようやく『変化の魔神』の姿をその目で捉える事が出来たのだった。


「いや、我の契約しておる『魔神』の口振りでは、あの黒い影の姿は本来の姿ではないらしい。実際は『白魂衣(はっこんい)』と呼ばれておるものを纏っていて、見た目が白いものが『魔神』達の本当の姿のようだ」


「成程……。確かに私らの世界に居た妖魔達とも、ソフィ殿の屋敷に居た『ベア』殿達とも()()()()がするな」


 ヒノエはそう口にしながらも刀に手を当てており、いつでも抜刀出来る準備を行うのだった。


「さて、このままではこの『魔神』と会話を行う事すらもままならぬからな……」


 そう言ってソフィは、自らが契約している『力の魔神』を顕現させる為の詠唱を行い始める。


 ソフィの召喚に即座に応じた『力の魔神』がこの場に姿を現すと、ソフィに笑みを向けようとして直ぐに『変化の魔神』が居る事に気づいてそちらに視線を向けるのだった。


「――」(ある程度分かっていた事だけど、やっぱりこうなるのね……)


「――」(そんな視線と言葉を私に向けるな。わざわざここに姿を見せたのはその『超越者』の方なのだからな)


『変化の魔神』を見ながら愚痴を零した『力の魔神』に対して、心外だとばかりに彼はソフィの方に視線を向けるのであった。


「勘違いをしないでもらいたいが、我はお主と争う為にここに来たわけではない。お主が監視を行っているという『()()()』が、レキなのかどうかを確かめておきたかっただけだ……。まぁ、大一番を控えておるヌーの『魔力』を枯渇させた事に関して、我もそれなりに思うところはあるが……な」


「――」(※力の魔神によるソフィの言葉の通訳)


 力の魔神が直ぐにソフィの言葉の通訳を『変化の魔神』に行うと、彼はうんざりしているとばかりに、大きな溜息をするのが聞こえてくるのだった。


「――」(成程、少し前にこちらに向けてやってこようとしていた『魔族』と『死神』は、お主の差し金だったというわけか。だが、そうであるならば悪いのはそちらだろう? 元々私の監視対象に近づくなと忠告をしていた筈なのだからな)


「――」(※力の魔神による変化の魔神の言葉の通訳)


「別に我がヌーをここに差し向けたわけではない。その事に関してはこちらも悪かったと思っておる。ヌーに対して行ったお主の攻撃の一件に関しては何も言うつもりはない」


「――」(つまりお主がここに来た理由は、仲間がやられた事に対しての不満を言いに来たのではなく、私が監視している『超越者』を確かめに来た事にあると?)


「そういう事だ」


 力の魔神の通訳のおかげによって、神格を有する者と持たざる者の間で次々と会話が成立していく。


 もしソフィが『力の魔神』と契約を行っていなければ、現時点で互いに齟齬(そご)が生じて戦闘が開始されていたかもしれなかったが、彼女のおかげでそこまで険悪な空気になることなくスムーズに会話が行えていた。


「――」(……ふむ、前に『道』で会った時に抱いた印象とは異なり、どうやらそれなりに話の通じる『超越者』だったようだな。良いだろう、今回だけは『守りの要』の顔を立ててやっても構わぬ)


 影の言葉を聞いたソフィは『力の魔神』に視線を向ける。そして直ぐに『力の魔神』による通訳が行われ、ソフィは満足そうに頷いて見せるのだった。


「――」(ついて来い)


「ヒノエ殿、どうやらあやつが案内をしてくれるそうだ。行くとしようか」


「え……? あ、あぁ!」


 当然に神格を有していない彼女は、変化の魔神の言葉を理解出来ず、またソフィのように『力の魔神』と契約を交わしているわけでもないが故に、この場で唯一人何も理解出来ずに戦闘態勢だけを取り続けていたヒノエだったが、ソフィの説明でどうやら穏便に話は進んだのだと、そこでようやく理解に至ったのであった。


 ……

 ……

 ……

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