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2163.大魔王による深夜の用事

 ブラストがヌー達と『オーラ』の話を行い終えた頃、リビングの扉が開かれてソフィ達が戻って来るのだった。


「クックック、どうやらまだ呑んでいたようだな」


「おかえりなさい、ソフィ様。それに六阿狐(むあこ)殿も!」


 ソフィ達が部屋に入ると、ブラストが直ぐに立ち上がって二人を出迎えて、その後にヒノエがソフィに声を掛けるのだった。ヌーもテアと仲良く喋っていたが、視線だけはソフィの方に向けていた。


 そしてソフィが席に着くと、直ぐにヒノエがソフィに酒を注ごうと動いたが、それを制止するように口を開くのだった。


「悪いが、今夜はこの辺でお開きにしようではないか。各自まだ呑み足りぬのやもしれぬが、すでに夜も十分に更けておる。続きは明日にしようではないか」


()? ()()()()()? ようやく酒もいい感じに回って来たところだぞ……」


 戻ってきて直ぐにこの場を解散しようと言い始めた為に、ヌーは何処か違和感を感じながらも不満を口にするのだった。


「お主の身にあんな事が起きていなければ、我も止めるつもりはなかった。だが、最初に言った通り、今日だけはお主も深酒をせずに身体を休めるのだ。特に今のお主は()()()を控えている身だろう?」


「それは……ああ。まぁ、そうだが……」


 まだ不満の続きを口にしようとかけたヌーだったが、ソフィの目が真剣なものであった為に渋々と頷く。


 ブラストとヒノエもヌーがあっさりとソフィの言葉に従った為、後に続くようにグラスに残っていた酒を呑み干して言う通りにし始めるのだった。


 どうやらヒノエもブラストもヌーと同じ違和感をソフィから感じ取ったようで、誰も文句を口にせずにそのまま各自は、ソフィに一言掛けながら部屋に戻っていった。


 …………


 そしてこの場にソフィと六阿狐だけが残されると、ソフィは六阿狐にも声を掛ける。


「六阿狐よ、お主もゆっくりと身体を休めるが良いぞ」


「ありがとうございます。ですが私はソフィさんの護衛です。ソフィさんが部屋にお戻りになるまでは戻るつもりはありません」


「むっ……」


 どうやら六阿狐はソフィの()()に気づいていたのだろう。


 唐突に酒宴の場を締めて各々解散させたのには、理由があると彼女も察していた様子であった。


「ソフィさんは()()()()()()()()()()()()()()なのでしょうか?」


「……」


 六阿狐の追求に無言になるソフィだったが、どうやら誤魔化しは通用しないと理解したようで、ソフィは笑みを浮かべた後に口を開くのだった。


「少しミールガルド大陸に気になるところがあるのでな。我はこのあと少し出てこようと思っておる」


「このような、夜更けにですか……?」


「だからこそだ」


「それは……、ヌー殿を攻撃した何者かの正体を暴きに向かわれるという事でしょうか?」


「……」


 ――再び場に静寂が訪れる。


 当然聡い六阿狐には全て悟られていたようで、すでにソフィのこれからの行動指針を見抜かれていたようであった。


「ああ、その通りだ。といっても戦闘を行うつもりではない。少し確認したい事があるのでな、あくまで状況を把握しに行くだけのつもりなのだ」


「それでしたら、()()()()()()()()()()()()。戦闘に及ぶつもりがないのでしたら、何も問題はないでしょう? 私は主の王琳様からソフィさんの元を片時も離れるなと仰せ付かっております」


 六阿狐の決心は固いようで、ソフィは彼女の目を見て小さく溜息を吐くのだった。


「そう言えば、そうであったな……」


 ソフィが仕方ないとばかりに折れると、六阿狐も相好を崩すのだった。


「ご理解頂けて、感……謝っ、し……」


 そしてそのまま六阿狐は眩暈を起こした後、意識を失い倒れそうになるところをソフィに抱き留められるのだった。


「すまぬ、我の方は戦闘を行うつもりはないが、あちらがどう動くかまでは分からぬのでな」


 意識を失っている六阿狐にそう告げたソフィの目は、かつてない程までの()()()()()()()()()()()()――。

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