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2124.大事な話を前に

「リーネよ、お主またあの姿を隠す技法を用いたのだな?」


 いつ敵が迫って来てもある程度は撃退出来るように、常に感知を行っているソフィでさえも、リーネが突如として目の前に現れたように感じられた為、あのシチョウですら認めていた影忍としての特技を使ったのだろうとアタリをつけた上で彼はリーネに直接訊ねたのだった。


「ええ……。ヒノエさんとの話し合いも終えて、もうそろそろソフィ達も帰ってくるんじゃないかって、さっきまで庭で二人で待っていたんだけど、ブラストさんが大きな声で何ともまぁ、()()()()()()()私の事を話して下さっていたようだから、ちょっと驚かせてあげたの。びっくりしたでしょ?」


 子供の悪戯(いたずら)がバレた時のようにぺろっと舌を出しながら、ソフィに笑ってみせるリーネであった。


「クックック、そうであったか。しかしリーネよ、あまりブラストに冷たく当たらないでやってくれ。流石にここまで弱っている様子のブラストを見るのは我も初めてであるし、相当に精神的に参っているようだ……」


 リーネが影忍の術のタネ明かしを終えた今も、未だにブラストがこの世の終わりのような表情を浮かべながら、尚もリーネに頭を下げ続けているのを見たソフィは、やんわりとリーネに伝えるのだった。


「ははははっ! リーネ殿の威圧はとんでもないもんなっ! 私も最初は面食らって言葉が出てこなくなっちまったよ。ま、でも流石に今のはアンタが悪いな。庭で私も聞いていたけど、あんなに大声でリーネ殿の悪口を言えば、流石にリーネ殿が怒っても仕方のない事だと思うぜ?」


 そう言って庭から出てきたのは、ヒノエであった。


「……リーネ様、本当に申し訳ありませんでした!」


 ブラストはヒノエが出てきた時に睨むように顔を上げたが、言っている事に対して確かに自分が悪かったと反省したようで、再びヒノエを無視してリーネに謝罪を行うのだった。


「はぁ……。もういいですよ、それよりソフィ、そして皆さんも『おかえりなさい』」


 どうやら彼女の怒りも静まったようで、ようやく長い旅路を終えて戻ってきたソフィと、そしてブラスト達を迎える向かえるリーネであった。


 ……

 ……

 ……


 そしてソフィはリーネに出迎えられた後、改めてリーネやブラスト達にヒノエと六阿狐の紹介を行い、これまでのノックスでの出来事を話し始めるのだった。


 ブラストはソフィがノックスの世界でこれまでにない程の力の開放を行い『王琳』と戦ったという話にも驚いていたが、それ以上に『シギン』と『神斗』の話題に表情を固くさせていたのだった。


 どうやら『魔』に関しては、九大魔王の中でも特に感心を抱いているブラストにしてみれば、あの大賢者エルシスと同等かそれ以上の『魔』の概念理解者だと説明されてしまえば興味を持つなと言う方が難しかったのだろう。


「それではソフィ様、そのシギンと言う方もこちらの世界に今は居るという事なのでしょう?」


「うむ。レルバノンの奴に無理を言ってな、当面はラルグ魔国で面倒を見てもらうように頼んだのだ」


「あら、それじゃソフィ、今度レルバノンさんにお礼をしに行かなきゃ駄目よ? 今は貴方がラルグ魔国王ではなくて、レルバノンさんが王様なんだからね?」


 ブラストに返事をしていたソフィに、話を聞いていたリーネがそう口にするのだった。


「うむ、勿論分かっておるよ。どうやらあやつも我に何か相談があるような口振りであったしな、可能な限り相談に乗ってやろうと考えておる」


「それが良いわね。レルバノンさんがソフィに相談するって事は、貴方にしか頼めない事なんだろうし、きっと頼りにしたいって本気で思っている筈よ」


 レルバノン自身も『最上位魔族』であり、その上ラルグ魔国で一番偉い立場に居る為、そんな彼がソフィに相談があるというのであれば、リーネの言う通りにソフィにしか成し遂げられない内容の相談で間違いないだろう。


「そうだな。だが先程も言ったが、我は当面は優先すべき事がある。ヌーが近々『レパート』の世界へ向かう時には、我もついて行かねばならぬからな。悪いがリーネよ、もうしばらく家を空ける事になるが、許してくれるか?」


 ソフィの話を聞きながらサラダを口に運んでいたリーネは、その言葉に手を止めるのだった。


「……その前に貴方に聞いてもらいたい事があるんだけど、今夜はここに居るのよね?」


 真剣な表情をしながら不安そうに尋ねてくるリーネに、ソフィは即答が出来なかった。


 ――何故ならいつヌーから『念話(テレパシー)』が来るか分からない状況だからである。


「もしかして、それも難しかった?」


 いつもであれば、直ぐにリーネに返事をしてくれるソフィが即答をしなかった事で、彼女は先程より更に不安そうな表情を浮かべ始めるのだった。


「いや、大丈夫だ。あやつも二、三日遅れても問題ないと口にしておった。それに我もようやくここに帰ってこれたのだ。少しは家でお主と共にゆっくりしたいという気持ちを持っておる。安心するがよい、何やら話があるようだが、ゆっくりと続きは寝室で聞こうではないか」


 そう言って、リーネを安心させるように笑顔を作るソフィであった。

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