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2119.ニビシアの町の冒険者ギルド長

 結局ヌー達は『魔』の概念を研究しているという元ギルド職員の男に連れられて、ニビシアの冒険者ギルド長の部屋まで案内される事となった。


 どうやらこの男がギルドの元職員だという話は嘘ではなかったようで、窓口で直ぐに説明を行った後、あっさりとギルド長の居る部屋まで通される事となったのであった。


「おい、俺は別に冒険者になるつもりはねぇんだぞ? どういう仕組みかを知る事が出来ればそれで十分なんだ。お前に『魔』の概念を教えるだけなら、わざわざこのギルドの長とかいう奴に会う必要もねぇだろうが……」


 そう口にしたヌーだが、実際には夜にソフィを迎えに行くまでは特に用事もない為、本音を言えば会おうが会わまいが、どちらでも良かったのであった。


 つまりヌーは仕方なく来てやっているという印象を、男に与えるだけのつもりで口にしたようである。


「まぁまぁそう言わずに……。お前さんがあの『破壊神』と知り合いだったというのは驚きだが、よくよく考えてみれば『破壊神』の知り合いだからこそ、あれだけ常識外れの『魔力』を持っていたのだと、ワシは改めて納得していたところだ。是非『破壊神』の知り合いであるお前さんには、このギルドの長と会って話をして欲しいのだ」


 何やら男は先程までの『魔』の概念の研究とは別に、ヌーがソフィと知り合いだったという事に深い関心を抱いた様子で、この町のギルド長に是が非でも会わせようとするのだった。


「別に奴とはそこまで深い仲にあるわけじゃねぇぞ? 奴とは一時的に行動を共にする事にはなったが、あくまで契約上の付き合いに過ぎねぇ。奴の事を話せと言われても何も話す事はねぇぞ」


「それでも構わんよ。お前さんが少しでも知っている『破壊神』の事をギルド長に会って話をしてもらえるだけでいいんだ。何せ『破壊神』はヴェルマー大陸のラルグ魔国の前王だ。ワシらがどう足掻いても『破壊神』の事を詳しく知る方法は限られてしまっておるのでな……」


 どうやら理由までは分からないが、男は自身が望んでいた『漏出(サーチ)』の研究の事と同じくらい、ソフィの事を知りたがっている様子であり、それはこの男だけではなく、今向かっている先に居るギルド長も同様の様子だった。


「ふんっ、確かに一国の王から情報を得ようとすれば、相当の覚悟が必要になるのは当然だが、てめぇの様子を見るに、ソフィの野郎に相当の感情がこもっていそうだな? ククッ、奴に何かされでもしたのか?」


「……まぁ、それはギルド長の元で詳しく話すとしよう」


 男はヌーの言葉に表情を固くさせたかと思うと、これまでのように直ぐに返事をせず、ぽつりと後で話すと告げて、静かに『ギルド長』の居る部屋へと歩き始めるのだった。


 ヌーは隣に立っているテアと顔を見合わせたが、結局はそのまま男の背中を追いかける事にするのであった。


 …………


「ギルド長、お忙しい中すみません。私です、ミハエルです。会って頂きたい御仁を連れてきた為、無理を言ってここまで通して頂きました。入っても宜しいでしょうか?」


「む……? ミハエル君ですか……。入ってくれて構いませんよ。ちょうど手を付けていた仕事が片付いたばかりなのでね」


 ここまで案内を行っていた男の名は『ミハエル』と言うらしく、その『ミハエル』の言葉に返事をしたのは若い男の声であった。どうやら会話の内容的に、今返事をした若い声の男が『ニビシア』のギルド長なのだろう。


 ミハエルは部屋の中からの返事に丁寧に挨拶を行った後、扉を開いてヌー達に入室を促すのだった。


 ここまで来た以上は仕方ないとばかりに、渋々と言った様子でヌーも部屋の中へと足を踏み入れていく。


 入る際に一応は『結界』などが施されていないかと、注意深く見回していたヌーだが、結局何もないと分かるとそのまま部屋の中へと入るのだった。


 ヌー達が入室すると、机の上にあったギルドに関する資料を脇に寄せながら、ミハエルよりずっと若い男がじっとヌーに視線を向けていた。


 どうやら部屋の中に他に人が居ない以上、この若い男が『ギルド長』で間違いがないだろう。


 若い男はヌー達に視線を向けていたが、やがて彼は椅子から立ち上がると、笑みを浮かべながら口を開くのだった。


「初めまして。私は当ギルドの長を務めさせて頂いている『()()()()()()()()』と言います。ミハエルが直接私の元に貴方がたを連れてきたという事は、色々と深い事情があるという事なのでしょうが。まずはようこそ『ニビシア』の冒険者ギルドへ」


 そう言ってこの町の冒険者ギルド長である『レビア』は、初めて会ったヌーを歓迎する様相を見せたのだった。

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