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2103.グランの町のギルド職員

 グランの町の冒険者ギルドに着いたソフィは、今回は裏口からではなく正面からギルドの建物の中へと入っていくのだった。


 今回も前回来た時と同様に中は人でごった返しており、グランの冒険者ギルドは一時的ではなく、常に冒険者が多く在籍するギルドになったのだとソフィは改めて頭に記憶するのだった。


 当然に窓口にも多くの冒険者が並んでおり、ソフィ達はその最後尾に並ぶのだった。


 別に任務の依頼を受けたり、達成の報告を行うわけではない為、掲示板に新たな討伐依頼の紙を張り替えているギルド職員に一言声を掛ければ良いのだが、忙しそうにしている職員の手を止めてまで呼んでもらわずとも並べばいいだろうとソフィは考えたのだった。


 しかしソフィ達が列の最後尾に並んで直ぐ、前に立っていた者達や新たにギルドの建物に入ってきた冒険者がチラチラとソフィやニーアの居る方に視線を向けてくるのだった。


「あ、あれ……? もしかして前に居るのって……」


「は、破壊神? いや、まさかな……」


「でもよ、隣に並んでいるのは『紅蓮(ぐれん)魔導(まどう)』のニーアさんだぜ?」


「そう言えば、破壊神とニーアさんって、かつての対抗戦に同じメンバーとして参加していたよな!?」


 最初は列の前後で小さな声で話されていたものが、徐々に他の者達の耳にも入っていき、やがては建物の中に居る多くの者達がソフィ達に視線を向けて騒ぎ始める事態になるのであった。


「ま、まずいねこれ……。まさかほんの一瞬でここまで騒がれる事になるとは思わなかった。僕はソフィ君の知名度を分かっていたつもりで全く分かっていない事に今更ながらに気づかされたよ……」


「やはり最初に掲示板の前に居た職員に呼んでもらえばよかったか……」


 まだ正面きっては誰もソフィ達に声を掛けてくる者は居ない状況ではあったが、ギルド内に居るほとんどの者がソフィ達を見て騒いでいる以上は、直ぐに声を掛けられるだろうという事が簡単に予想が付くのだった。


「す、凄い人気なのですね! さ、流石はソフィさんです!」


「ああ……。流石はソフィ様だ。何処へ行っても注目される御方なのは変わらないという事だな……!」


 慌てているニーアやソフィとは対照的に、ブラストや六阿狐は目を輝かせながら自慢気に頷き合っていた。


 もうこのまま列に並んでいるわけにもいかないかとばかりに、ソフィとニーアが顔を見合わせて列から出ようとした、まさにその時だった――。


「はいはーい! ごめんなさい、通して下さいね!」


 入り口に居るソフィ達の元にまで聞こえてくるような大声を出しながら、窓口からギルド職員が出てきてこちらへ向かってくるのが見えた。


 その職員はかつてソフィが、この町で冒険者になろうと決めてギルドに来た時に、担当してくれたあの女性の職員であった。


 そしてその職員がソフィ達の前にまでやってくると、再び口を開くのだった。


「ご足労頂き、誠にありがとうございます! ささっ、中にどうぞ! ギルド長のディラックがすでに準備を始めております!」


「は……?」


「むっ?」


 ソフィとニーアは職員が何の事を言っているのか分からず、同時に驚きの声を上げたのだが、その後直ぐにソフィに向けて、その職員は合図をするようにウィンクをするのだった。


(なるほど……。気を利かせてくれたというわけか)


 一瞬の合図であった為、他の者達は今のウィンクに気づけた者は居なかっただろう。


 ソフィは感謝をするように職員に頷いた後に、改めて口を開くのだった。


「すまぬな、少し遅れてしまったようだ。それでは案内をよろしく頼む」


「はい! では、こちらへどうぞ」


 そう言って職員はソフィ達を列から連れ出した後、窓口の天板を開けて奥の階段に繋がる部屋の中へと案内してくれたのだった。


 ……

 ……

 ……

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