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2089.親しき者達との再会

「本当にソフィさんは多くの方に慕われているのですね」


 六阿狐は空を飛んで去って行くユファの姿を視界に捉えながら、静かにそう口にするのだった。


「本当にすげぇよなぁ。ソフィ殿はあたしらの世界でも色々と凄い事をやってのけていたけれど、きっとこの世界でも色々やってきたんだろうなと、容易に想像が付いたぜ」


 ソフィからこの世界の事でまだ何も詳しい話を聞かされていない両者だったが、ラルグ魔国の王であったレルバノンや、その配下の者達、更に今の別の国の重鎮であろう女性の態度からも、ソフィがこの世界でも『ノックス』の世界で行ったような事を過去に行ってきたのだろうという結論に至った様子であった。


「まぁ色々あった事は間違いないが、偶然やタイミングが色々と重なっただけに過ぎぬよ。我はあくまで思うが(まま)に行動を取ったに過ぎぬし、この世界の為にと意気込んで進んで動いたというわけでもない」


 そう二人に説明を行ったソフィだが、間違いなくソフィが居なければ『シーマ』が治めていた頃のラルグ魔国にミールガルド大陸は滅ぼされていたであろうし、ヴェルマー大陸を含めても今の『リラリオ』の世界の情勢はなかっただろう。


 しかしソフィに自分が救ったという意識もなく、態度も変えるつもりもない以上は、他人がどうこう言っても仕方がなく、この話はここで終わるのだった。


「さて、それでは我達も行くとしようか。我も早く屋敷の者達の顔を見たいのでな」


「ああ!」


「はい!」


 当然ソフィの決めた事に逆らうつもりがない二人は、直ぐに頷いて返事するのだった。


 ……

 ……

 ……


 やがてセグンスにあるソフィの屋敷の前に辿り着くと、直ぐに庭に居た配下の魔物達がソフィが帰ってきたことに気づく。


 ソフィの屋敷の前には高い門があるのだが、ソフィの配下の魔物達は最初から門などなかったかのように、次々とあっさり飛び越えてくるのだった。


「おお、()()()()()()()か、久しぶりだな!」


「グルルルッ!」


「ワオーン!」


 庭で寝そべっていた『ロード』の『ハウンド』や、新たにソフィから『名付け(ネームド)』が行われた『ベイル・タイガー』の『ベイル』といった魔物達が、嬉しそうな声を上げながらソフィの胸に飛び込んでくるのだった。


 そして門が大きく開かれたかと思うと、この場に居る大勢の魔物達のボスである『ベア』が姿を見せるのだった。


「お帰りなさい、ソフィ様!」


 ボスのベアが姿を見せると、ソフィにお腹を撫でられて気持ちよさそうにしていたハウンドや、ベイル達が慌てて立ち上がって、ぴたりと整列しながら『お座り』をするのだった。


「おお、ベア! お主も久しぶりだ、ようやく帰ってこれたぞ」


「本当にお待ちしておりました……」


 そう言ってベアが涙ぐみ始めると、ソフィはゆっくりと空を浮上してベアの頭を撫でる。


「長い間、お主達に屋敷を任せっきりにさせてすまなかったな。よくぞこれまで守り抜いてくれた」


「い、いえ……。我々は大した事はしておりません。しかしハウンドやキラー達は毎日、日が暮れるまで門の方を見つめて帰ってこられるのを待ち侘びていました。宜しければもう少しだけ彼らの相手をしてあげて下さい」


 そう言ってベアは自分を撫でてくれる主に、この場でその様子を羨ましそうに見上げているハウンドたちにももう少しだけ構ってあげて欲しいと口にするのだった。


「うむ。そうするとしよう」


 そうしてソフィは空から地面にゆっくりと着地すると、その場に腰を下ろして再びハウンドたちを可愛がるのだった。


 ソフィが『ロード』の者達や『ベイル』を撫でている姿を見ていた六阿狐とヒノエは、これがソフィが『魔物』と呼んでいた『存在』なのかと興味深そうに見ていたのだった。


「ところでソフィ様、そちらの方々は一体……?」


「うむ? ああ、ヒノエ殿と六阿狐の事か。実は我が向かった『ノックス』の世界で知り合った者達をこの『リラリオ』の世界に連れて来たのだ。そしてその者達の中でも、そこに居るヒノエ殿と六阿狐をリーネに会わせようと思ってここに連れて来たのだ」


「そ、そうでしたかっ! お、お前達、その辺にしておけ! ソフィ様と御客人の方々はリーネ様にご用事があるのだそうだ!」


「ぐ、グルルッ!!」


「わ、ワオーン!」


 ベアの言葉に慌ててハウンドやベイル達がソフィから離れていき、そしてヒノエや六阿狐達の方を向いて頭を下げた後に再び『お座り』のポーズを取るのだった。


 どうやら彼らなりに謝罪を行ったつもりなのだろう。


「い、いや、ようやくこうしてソフィ殿と再会出来たんだしさ、別に私らの事は後でも構わないからさ!」


「そ、そうですよ。ただ『()()』と呼ばれている方々が珍しくて、見ていただけですからっ!」


 慌ててヒノエ達がそう弁明を行っていると、庭の先の屋敷の扉が開かれるのだった。


「ベア、何やら騒がしいけど、誰かお客さんでも来た……の?」


 庭でハウンドやベイル達が大声で吠えていたという事もあり、流石に家の中に居ても騒がしくしている事に気づいたのだろう。そう言って姿を見せたのは、ソフィがずっと『ノックス』の世界に居た時から会いたいと思っていた『リーネ』であった。


 ……

 ……

 ……

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