2085.再会を果たした者達
ラルグの塔の最上階に辿り着いたソフィ達は、レルバノンが居る部屋の扉の前で足を止めるのだった。
「到着しだぞっ! 皆ここまでお疲れ様でしたぁ!」
そう言ってエルザはソフィ達に笑みを浮かべながら告げるのだった。
どうやらここに来るまでにエルザもリーシャ達と色々と会話を行っていた事もあり、少しばかり打ち解けられた様子で畏まった話し方もいつの間にかなくなって、普段通りのエルザに戻っていたのだった。
「クックック! エルザよ、ここまでの案内感謝するぞ」
「私もソフィと一緒に居られて、そんでいっぱい話せて嬉しかったよ! また今度ゆっくり『ノックス』……だっけ? その世界の事も色々と教えてよ」
「うむ、よかろう」
ソフィが頷いてくれたのが余程嬉しかったようで、満面の笑みを浮かべながら扉を開くのだった。
「レルバノン様、お待たせしました。ソフィ……様方をお連れ致しました」
思わず普段通りの呼び方をしそうになったエルザだが、直ぐに気づいて言い直すのだった。
「お久しぶりです、ソフィ様。お待ちしておりましたよ」
ソフィ達が部屋の中に入ると同時、直ぐにレルバノンは椅子から立ち上がって、微笑みながら挨拶をしてくれるのだった。
「うむ、久しぶりだ……な」
ソフィがレルバノンに挨拶を返そうとしたが、そこでこの部屋の椅子に座っていた他の者達の顔が目に入り、ソフィはそこで言葉を途切れさせてしまうのだった。
「どうやら無事にエヴィの奴を見つけてこれたようじゃな」
「ソフィ様っ! お帰りなさいませ」
「ふんっ、待たせやがって。ようやく戻って来たか」
「……!?」
レルバノンの部屋に居た者達は、ソフィがよく知る者達であった。
最初に声を掛けてきたのは、ソフィの『九大魔王』の中で最古参である『智謀』の『ディアトロス』であった。
次に心底ほっとした様子で嬉しそうにしているのが『ラルフ』であり、腕を組んで少しばかり不満そうにそう口にしたのは、何と剣士である『リディア』であった。
そして他の者達と同様にソフィに挨拶をしようとしていた『サイヨウ』だったが、その背後に居る『シギン』の顔を見て驚きのあまり、絶句した様子であった。
「ディアトロスのじっちゃん!」
サイヨウの驚いている表情に何があったのかとソフィが声を掛けようとしたが、先に後ろに居たエヴィがディアトロスの名を呼びながら抱き着くのであった。
「おおっ、エヴィよ! 本当に無事で何よりじゃった」
ディアトロスもまるで孫を可愛がるかのように、抱き着いてきたエヴィの頭を撫でてやるのだった。
「シギン……様?」
そんなディアトロスとエヴィの横で、あのサイヨウが泣きそうな表情を浮かべながら『シギン』の名を呼ぶと、シギンは一歩前に出てサイヨウに微笑みかけるのだった。
「どうやらお前があの時の約束を果たす前に、再会する事になったな」
それはかつてノックスの世界で『空間魔法』を会得して、再びシギンの元に戻るとサイヨウが約束した時の話であった。
「驚きましたぞ……。まさかシギン様がこの『リラリオ』の世界に現れるとは夢にも思いませんでした」
「ふふっ、少しお前に確認したい事があったのでな。無理を言ってソフィ殿たちに連れて来てもらったのだ」
「確認したい事……。それは小生の『式』の者達の事ですな?」
「ああ、そうだ」
すでにサイヨウには、シギンが何を確認したいのかを察していた様子であり、あっさりと当ててみせるのだった。
「各人、色々と積もる話もあるでしょうが、まず最初に私の方から挨拶をさせて頂きたい」
この国の王であるレルバノンがそう口にすると、エヴィと話を行っていたディアトロスや、ラルフやリディアと喋っていたソフィに、真剣な表情を浮かべながら『式』の事について話を行っていたサイヨウ達もまた、言葉を止めてレルバノン魔国王の方に視線を移すのだった。
全員が会話を止めてレルバノンの方を向いたのを見計らい、静かにレルバノンは口を開き始めた。
「私はこの国で王をしている『レルバノン』です。今回はソフィ様から要請があり、当面の間貴方がたをこの城で預からせて頂く事となりました。何かご不便を感じられましたら直ぐに申し出て下さいね」
「かたじけない。レルバノン殿、よろしく御頼み申す」
「「よろしくお願いします」」
丁寧なレルバノンの挨拶に、次々とこの場に居る者達も感謝の言葉を告げていくのだった。
そして挨拶も終わり、各々は再び親しき者達と思い思いに会話を始めるのだった。
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