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2078.とんでもない事を言い出すヌー

 大魔王ヌーが口にした者達と、彼らの前に立っているソフィと魔神以外にあの『次元の狭間』で起きた出来事を分かってはいない。


『次元の狭間』では、如何に戦力値が高い者達であっても、魔の概念理解度が一定の高さを超えていなければ意識を保つ事が出来ないからである。


 この場ではヌーと同様に九大魔王の面々や、ヒノエや六阿狐を含めて『次元の狭間』で意識を保てていなかった者達と、ヌーが口にした『神斗』や『シギン』や『テア』達の間で、二極化するように表情が分かれていた。


 ヌーが口にした三名の中で、テアが一番分かりやすく青い顔をしており、次いで神斗とシギンは怯えといった感情は出してはいなかったが、それでも次元の狭間であった事を軽々しく口に出来るような状況にない様子であった。


 それもその筈、あの変化の魔神が自己紹介を行う少し前、ソフィに対して『目印』と口にして子供の姿へと変えさせる『魔』の技法を用いた時、僅かであるが『魔』の概念理解度が非常に高い『神斗』と『シギン』は、彼らの理解度を以てしても、魔神の到達している『魔』の領域が推し量れない程の高みに至っている事を理解したのであった。


 神斗やシギンは直接『()()』を付けられたソフィが、()()()変化の魔神に対して質問を行い、何事もないかのように力の魔神と会話を行っている事が今でも信じられなかった。


 もし『変化の魔神』の標的が、ソフィではなく『神斗』や『シギン』達だったならば、彼らの持つ最大限の武器である『空間技法』や『透過』を用いて、あの『道』から完全に抜け出して逃げる為に距離を取った事だろう。


 ――それ程までに『()()()()()()()()が底知れなかったのである。


 実際に戦ってみなければ、結果はどうなるか分からないといった戦力差ではなく、まず間違いなく『魔』の概念技法戦では、()()()()()()()と言い切れるだけの実力差が彼らの間にあったのだった。


「君は何も知らない方がいい。世の中には信じられない出来事というのが起きるものだからね」


「ああ……。神斗の言う通りだ。アレはお主が理解しようとするにはまだ早すぎる……」


 ようやく『変化の魔神』の事を考えながら、言葉を口に出来る程に精神の回復が出来た『神斗』と『シギン』は、口を揃えて『あの場で何があったか知ろうとするな』と釘を刺すかのようにヌーに告げたのだった。


「ちっ……! 何だかよく分からねぇが、ここに来る『道』で何かあったみてぇだな。だが、別に言いたくねぇなら言わなくていい。今は俺もこっちの都合以外に気を割く余裕もねぇしな。フルーフの奴と決着を付けるまではこれ以上の面倒事は御免だ」


 何があったのか多少は気になるヌーではあったが、今は彼の中で『フルーフ』との問題が最優先事項にある為に、それ以上は何があったのかを訊く事を止めにしたのだった。


 …………


「それじゃソフィ、これでお前との約束は果たしたって事で良いな?」


 それはエヴィを探し出した後、無事に元の世界へ戻すというヌーとの契約に関しての話の事であった。


「ああ、だがフルーフの居る世界へは我もついて行った方が良いのではないか? その後に関してはお主らの間での問題となるが、先に無事に帰って来た事をあやつに伝えておくのが礼儀だと我は考えておるのだが……」


「いちいち律儀な野郎だと言いたいところだが、お前の考えも理解出来る。俺もそれは考えていた事ではあったからな。仕方ねぇな、今日中にこいつらの環境を整えやがれ。その後にお前だけ引き連れて『レパート』に向かい、奴と面会させた後にまたこの世界に連れて帰ってやるよ」


「良いのか? すでに『アレルバレル』に戻してもらった後に、この世界に送ってもらって更にとなれば、もう二度手間どころの話ではないが……」


「……別にそれくらいは構わねぇがよ。おいセルバス、てめぇの『概念跳躍(アルム・ノーティア)』で自分以外の奴も同時に送れるだけの『魔力値』は有りやがんのか?」


 ソフィの質問に答えた後、ヌーは他の可能性があるかどうかを確かめようと、この場では同じ『概念跳躍(アルム・ノーティア)』を唯一扱えるセルバスに訊ねるのだった。


「いや、どうだろうな……。ギリギリのライン過ぎて、今すぐはどっちとも言えねぇな。俺一人だったら問題はねぇが、数が増える程に消耗度合が膨れ上がるのが『概念跳躍(アルム・ノーティア)』の面倒な点だからな……」


「ちっ、生き残ったのが脳筋のてめぇじゃなく、()()()()()()()()()()()()()()()()の『魔力』持ちが残っていやがったら良かったのによっ!」


 使えないとばかりに、そう言葉を吐き捨てる大魔王ヌーであった。


「馬鹿、そのどっちもがミラ様に認められていた『()()()』じゃねぇかよ! アイツラと受け持つ分野が違っていた俺と今更一緒にされたら困るぜ……」


「ふんっ、てめぇも元の姿なら()()()()()だったんだろうがな。代替身体の今じゃ文句を言っても仕方ねぇか」


 最後にフォローのつもりなのか、単に言っただけなのかは分からないが、ヌーはセルバスの現在の『代替身体』になる前の状態であった彼を引き合いに出すのだった。


「まぁいい、俺がソフィを送ってやる。だが、今日中にこいつらの環境を整えやがれ。まぁ最悪てめぇが支配していやがった国に、てめぇ自身が『()()()()()()()()()()』とか国の王族連中にでも言って、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()宿()()()()()()()になるだろ。ああ、もうそうすればいいんじゃねえか? それで万事解決だろ」


 とんでもない事を言いだし始めたヌーに、ソフィだけではなく他の面々も絶句するのだった。


 ……

 ……

 ……

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― 新着の感想 ―
確かに人間が管理するレベル程度の牢獄ならソフィ達にとって何の脅威にもならないとはいえ流石に発想がぶっ飛んでるw しかし、ソフィは相変わらず力の魔神より力方面に神格が上の神が来てもそこまで不安にならな…
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