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2076.突然のソフィの力の開放

 そしてソフィは渋々ではあったが、最終的に子供の時の姿に変えられる事を認めたのであった。


 認めた理由としては、やはり『リラリオ』の世界で知り合った者達や、彼が一時『ラルグ』魔国で王を務めていた頃の姿が、あの子供の姿だったというのが決め手になったようである。


 しかしそれでも渋った理由としては、自分の愛するリーネと()()()()()()()姿()()()()()()という気持ちも抱いていたからであった。


「――」(ソフィは貴方の行う目印に了承したわ。でもあくまで何かが生じた時に『上』に対して、貴方が関与を認めていると示す為のモノであるという、認識の上で成り立つ了承だという事を忘れないで欲しい)


「――」(分かっている。だが、私が認めているからといって、そこの『超越者』がしでかす物事の大きさ如何によっては、こちらも庇い立てをするつもりはないという事を覚えておけ)


 力の魔神は影の言葉に苛立ちの様子を表情に浮かべたが、言葉に出すところまではいかずに睨むだけに留めるのだった。


「――」(ふんっ、私も『上』の為を思ってやっているだけに過ぎぬのだ。本来はお前にそんな目で見られる筋合いはないのだぞ。全く、()()()()()()()()()()()()()()()と私は思うがな!)


 ぶつぶつと影は愚痴を零していたが、やがて視線をソフィの方へと向け直す。


「――」(ではこれより、お前にこれまで通りの目印を付けさせてもらう。拘束の類を付ける真似はせぬが、若干の『魔力コントロール』に支障を来すという事は伝えておく。ま、私の言葉は伝わってはいないだろうが、後で魔神や後ろに居る『死神』にでも聞けばいい)


 そう言って影が右手をソフィに向けると同時、ソフィの身体を白い光が包み込み始めるのだった。


(眩しい光だ……。しかし我は過去に何度もこの光を浴びていたという事なのだろうな。前回も奴と交戦したのを覚えてはいるが、こんな光を受けた覚えが全くない。あの時はまだ要所要所では意識を保っていられてはなかったという事だろうか?)


 ソフィはそんな事を考えながらも、影の発した『魔』の技法によって、自らの身体に変化が生じ始めていくのを感じ取るのであった。


 やがてソフィの身体が『リラリオ』で見慣れた十歳程の少年の姿へと変貌を遂げると、影の存在が稀薄になっていく。どうやらもう用は済んだつもりのようで、この場からそのまま消えようとしているのだろう。


「ふむ、このまま見過ごしても別に構わぬのだが、せめてお主が何者なのかぐらいの説明はあっても構わぬとは思わぬか?」


 影がこの場から完全に消え去る直前、ソフィがそう口にすると同時に彼の目が『金色』に輝き始めた。


 最初はソフィの『金色の目(ゴールド・アイ)』の効力が弱く、影も何も動じてはいなかったのだが、その僅か直ぐ後に事情が一気に変わり始めるのだった。


 ――それは、この場でソフィが『六割』の開放を瞬時に行った為であった。


「――」(ぬっぅ!?)


「「!?」」


「――」(()()()()!?)


「魔神よ、心配せずとも良いぞ。今の我はある程度この状態でも『力』をコントロール出来るようになっておる。王琳やシゲン殿と戦った時のような激しい攻撃さえ行わなければ問題はない」


 そう言い放つソフィは自信に満ち溢れており、この領域までの『力』であれば開放しても問題ないと口にするのだった。


「――」(()()()()()()()()()()()()()。これ程の拘束力は『天上界』の面倒な連中共と遜色ない程だ……。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。だが解せぬな。先程までは()()だったというのに、何故突然にこんな真似を……?)


 どうやらソフィの『魔瞳(まどう)』によって、この場から離れる事が出来なくなった様子を見せた影は、そう口にしながら魔神の方に視線を向けた。


「――」(ソフィは貴方が何者なのか、直接貴方の口から訊きたいみたいよ。彼が素直に目印を付けられる事を良しとしたのはそれが目的で、言うなればそれが交換条件だったようね)


 先程のソフィの呟きから察した魔神はソフィが改めて何も言わずとも、その心情を言葉にして影に伝えるのだった。


「――」(全く無礼な『超越者』だな。いや、この図々しさこそが『超越者』の証でもあるか。別に私から説明させずとも、お前が代わりに話せば良かろうに……)


「――」(しつこいわね。それじゃ意味がないのよ。ソフィは貴方の口から説明を受けたいのよ。通訳は私が受け持つから、貴方が何者なのかを素直にこの場で口にした方が良いわよ? 出ないとこのままでは貴方自身の予定になかった面倒事が展開される事になるわよ)


 魔神が告げるその面倒事とは、今の『六割』の開放を果たしている『超越者』である『ソフィ』と、本格的な争いになることを指しているのだった。


 もちろんこれは魔神のブラフであり、先程ソフィは本格的な争いでなければ『コントロール』が可能だと口にしていたのだ。つまりは現状ではソフィは、この場で本気でやり合うつもりはないと明言している状況である。


 しかしソフィの願望を叶えようと考えている魔神は、この場で影自ら自分の事を話させるために、あえてソフィの言葉が影に通じない事を利用したのであった。


「――」(理解の出来ぬところで頑固だというのは、これまで接してきた『超越者』共でよく理解している。別に隠す事でもなし、話してやっても構わぬか)


「――」(ソフィ、彼は貴方の希望通りに快く教えてくれるそうよ)


「う、うむ……。どうも我にはあやつが快く教えてくれるつもりであったようには思えぬが、まぁ良いか……」


 影の話す言葉自体は分からなかったが、魔神の話す内容と間のある影の返答から、どうも渋々と言った様子なのが伝わってきていたソフィであった。

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