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2071.嫌な予感

 精霊の森と精霊樹の管理を無事に任せられる『悪魔精霊(ダーク・スピリット)』の協力を得た事で、当初の予定通りにソフィは一行を連れてリラリオの世界へと向かう準備を整える事が出来た。


 そこに明朝まで共に居た大魔王、ヌーがソフィ達の前に姿を見せ始めるのだった。


「よぉ、もう準備は出来ているようだな」


「ああ、こちらの準備は万端だ。それにあの後お主が紹介してくれた『悪魔精霊(ダーク・スピリット)』の事をミューテリアの奴は相当に気に入ったようで、一緒に『リラリオ』の世界に連れて行きたいみたいだぞ」


 そう言ってソフィがミューテリアの顔を見ると、彼女は『その事は言わなくていいと言ったでしょう』とばかりに、むくれた顔をソフィに見せるのだった。


「それでダークスピリットを一緒に連れていったら()()()()()()()()……」


「クックック! 本当にな」


『リラリオ』の世界への旅立ちを前にソフィ達は、冗談を交えてこの場に居る者達の緊張を解すのだった。


 そしてその緊張した面持ちを浮かべている者というのが、主に『九大魔王』のリーシャである。


 彼女はエイネ達とは異なり、煌聖の教団の誰にも別世界へと送られる事はなく、まだ一度もこの『アレルバレル』以外の世界へ行った事がないのだった。


 彼女は幼少の頃に別世界から現れた魔王『レア』を見て、違う世界から来たという事に憧れを抱いていたが、結局は別世界へと向かう機会はなく、今回の『リラリオ』が初めての別世界というわけである。


 ヌーが来る少し前までガチガチに緊張していて、何度も家族と呼べる相手であるエイネや、九大魔王の中でも特に親しいエヴィに『元の世界にちゃんと戻ってこれる?』と心配そうに尋ねている程であった。


 今はヌ―が現れた事でそんな素振りを見せないようにと気合を張っている様子だが、それでもソフィ達から見ればバレバレな程に緊張状態は続いていた。


「時間だな。それじゃお前達を『リラリオ』の世界へ送るがソフィ、お前だけはもう一度俺と合流して一緒にフルーフ共の居る『レパート』の世界へ来てもらう事になる」


「それは構わぬが、リラリオの世界に居る連中にしっかりと事情を説明して、この場に居る者達を受け入れる環境をしっかりと用意せねばならぬ。丸一日は掛かるが構わぬな?」


「もちろん構わねぇ。そもそもフルーフ共は俺らがもう『ノックス』の世界から戻ってきている事すら、分かっちゃいねぇんだ。一日、二日延びたところで何も構わねぇよ」


「そう言ってもらえると助かる。そうだ、お主も一緒に我達の元に来るか? あんな襲撃が有った後だ、それにお主は何やらシギン殿たちとも約束があるのだろう? こちらも準備に手間取る事が予想されるし『念話(テレパシー)』があるといっても傍元に居てもらった方が何かと都合が良いと思うが」


「……」


 ソフィの言葉に最初から否定を行わず、じっくりとどうするかを考え始めるヌーであった。


「確かにソフィの言葉は一理あるが、俺が『リラリオ』でお前らと行動する事で、そこに居る『天衣無縫』のような顔を向こうの世界に居る『九大魔王』の連中共にされ続けるのは気に食わねぇからな。今回は遠慮しておく……」


「いや、それなら『ラルグ』魔国の王に直接お主の事を話すから、ひとまずお主はあやつの元に居るといいだろう。何故かは分からぬが、我はこの大一番を控えたお主をこの世界に留めておく事に嫌な予感を抱いておる。別に我の仲間たちと会えとは言わぬから、こちらの環境が整え終えるまで我の手の届く『リラリオ』の世界に一緒に来ておいてもらえぬか?」


 普段であればこんな風に呼び止める事をせずに了承するソフィだが、何やら今回に限って真剣さを帯びた表情を作りながらそう告げた事で、ヌーもそのソフィの真剣さが伝播したかのように考え直し始めるのだった。


(確かにこいつがこんなに引き留めようとするのは珍しいな……。あの襲撃を行った連中に何か見当が付いていやがったりするのか?)


 ソフィの今の真剣な表情からは、もう二度と後悔をしたくないといったような必死さが孕んでおり、単に理由もなく断る事が出来ないなと感じたヌーであった。

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― 新着の感想 ―
これはレキの襲撃をソフィ独自の何かしらの直感的なものが作用して本能的に自分が対処した方がよさそうだと思ったのか…?それとも別の何か?
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