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2065.精霊女王の感謝の気持ちと言葉

 精霊樹の元に向かうまでの間、ソフィ達やダークスピリット達の双方共に気分良く話が出来たようで、それなりの道のりを歩いてきたというのに、着くまでとても短く感じられたのだった。


 そして遂に辿り着いた『精霊樹』の場所だが、やはり精霊族の源の木と言うべきか、他の並んでいる木々とは比べ物にならない程の大木だった。


 ソフィ達が精霊樹に近づくと、周囲から多くの精霊達が姿を見せ始めて、ソフィと精霊女王の方に集まってくるのだった。


 集まってきた精霊達を可愛がるように撫でていくミューテリアだったが、やがて悪魔精霊のダークスピリットの方に視線を向けた。


「それじゃあダークちゃん、試してみてもらえるかしら?」


「は、はい、分かりました!」


 精霊女王ミューテリアは快活なダークスピリットの返事を聞き、直ぐに精霊樹に対しての自身の『魔力』の供給を止めて、ダークスピリットに管理が出来るかどうかを確かめ始める。


 流石に精霊族ではないソフィやヌー達は、ミューテリアが『魔力』の供給を止めた時も、その違いに気づく事は出来なかったが、傍に居る精霊達が一瞬だけ険しい表情を浮かべるのを見て、やはり違うものなのだなと理解を示すように頷くのだった。


『魔力』を木に送るだけなのであれば、ソフィ達のような『魔力コントロール』が行える魔族でも可能だが、その『魔力』でしっかりと効力を齎す供給が出来るわけではない。単に魔力を無駄に消費するだけの結果になってしまうだけだろう。


 精霊樹に安定した『魔力』を供給出来るのは精霊族でなければ不可能な事であり、元精霊族で今は『悪魔精霊』の『ダークスピリット』が、ミューテリアと同じように管理が行えるかどうかは、試してみないと分からない事であった。


 しかしヌーの言う通り、このダークスピリットは『悪魔精霊』の中でも随一の『魔力値』を誇っており、魔力の高さ自体には問題はないと言えるだろう。後は供給が行えるかどうかだけが問題となる。


 やがて意を決した『悪魔精霊』は、一歩精霊樹の方に近寄りながら『魔力』の供給を開始する。


 ――すると、先程までミューテリアの『魔力』の供給が行われていた時と同様に、消えていた精霊樹の根元から枝までが僅かに発光をし始めた。


 それはまるでダークスピリットの『魔力』が、しっかりと効果を齎した事を証明するかのような光だった。


()()()()()()()()()()……!」


 ダークスピリットの隣で成功を祈っていたミューテリアは、無事にダークスピリットが精霊樹に『魔力』を供給出来た事を我が事のように喜び、感謝を込めながらダークスピリットの名を呼ぶのだった。


「よ、よかった……」


 ダークスピリットも無事に上手く行った事に、ほっと胸を撫で下ろすのだった。


「どうやら上手く行ったようで何よりだが、これから当分の間は『魔力』を送り続ける事になるんだろ? お前の魔力値は相当なものだというのは理解しちゃいるが、それでも持ちそうなのかよ?」


 大魔王ヌーもまた、自分が紹介した『悪魔精霊』がしっかりと『魔力』を精霊樹に供給出来た事に一安心はしたが、よくよく考えればいくら『悪魔精霊』の魔力値が膨大なものであろうと、当面の日数を供給し続ける事が果たして出来るものなのかと疑問に思い尋ねたのだった。


「その点は心配しなくていいわよ。あくまでこの『精霊樹』に『魔力』を供給出来るだけの『膨大な魔力値』が必要なだけで、供給の維持に必要な『魔力量』は対して必要ではないの。それでも辛いという場合でも効率の良い供給方法は用意してあるから、この後それをダークちゃんに教授するわね」


「よ、よろしくお願いします……!」


 ミューテリアの言葉通り、供給に使う『魔力量』は大したものではないと既に理解していた『ダークスピリット』だったが、更に楽になるのならば、知っていて損はないと判断して返事をするのだった。


「まぁ、問題がないようならそれでいい。精霊女王、後は悪いが取り決め通りにアンタには、今後少しの間はソフィと共に『リラリオ』の世界に渡ってもらう事になるが構わないな?」


「ええ。感謝致します。実は妾は『レプリアー』さえ残せれば、それで構わないとまで覚悟を行っていたのです。もう妾の代わりが務まる精霊はもうこの『アレルバレル』には残っていないと思っていたので……」


 そう言って、本音をヌーに伝えるミューテリアだった。


「精霊女王、そんな心配はしなくていい……。俺で良ければアンタにならいつでも協力する準備がある。今後も必要なら『悪魔精霊(ダーク・スピリット)』をここに置いておく。それに『念話(テレパシー)』の波長も合わせておくから、何か不便があれば直ぐに言ってくれ」


 ヌーの言葉に精霊女王だけはそこまでの驚きを見せず、素直に感謝の言葉を告げるだけだったが、ソフィとテアは咄嗟にお互いに顔を見合わせる程に驚くのだった。


 ……

 ……

 ……

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