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2063.思い当たる節

 夜も更けて真夜中と呼べる時間帯となった頃、ソフィ達は『精霊樹』の場所を目指して精霊の森の中を歩いていた。


 こんな夜更けともなれば続きは明日にでもしようと言いたいのが、この一行の本音ではあったが、色々と今後の予定が決まっている以上、明日のソフィ達の出発前までに決めておかなくてはならないと考えての決行だった。


 悪魔精霊のダークスピリットは、精霊女王のミューテリアと会う前は少し緊張していた様子をヌーに見せていたのだが、実際に会ってみるとミューテリアからは友好的に捉えられていて、今も『ダークちゃん』と呼ばれながら共に楽しそうに会話をしながら歩いているのだった。


 そんな後をソフィとヌーは続いて歩いていたが、こちらは前者達に比べて少しだけ重苦しい空気が流れている状況だと言えた。


 しかしそれは大魔王ヌーと大魔王ソフィが仲が悪いからという事ではなく、ヌーがソフィと再会を果たす前に襲撃された事が原因であった。


 まだソフィはその事を口に出して尋ねているわけではないが、どうやらヌーは大一番の戦いの前に要らぬ邪魔が入った事で考える事が増えた事に対して苛立っている様子であった。


 本来であれば、彼はこのまま『精霊樹』や『精霊の森』の管理の問題を解決し、そのままソフィ達を『リラリオ』の世界へ向かわせた後、フルーフとの大一番の為に戦う準備を始めようと考えていた。


 当然に大魔王フルーフは片手間で相手を出来る存在ではなく、更にはそのフルーフと契約を交わす『死神』達の王である『死神皇』をも同時に相手取らなければならず、それは決して一筋縄で行くような話ではないと考えていたヌーだった。


 戦闘の優位性を築き上げる為の研究に彼は時間を割こうと気合を入れていたというのに、まるでそこに冷や水を掛けられて、意気込みを台無しにされたような気分で森の中を彼は歩いているのであった。


 つまりこのソフィも感じている重苦しい空気の正体は、まさに襲撃者達のせいであるといえよう。


 だが、大魔王ソフィはヌーの機嫌の悪い要因を知っているからといって、あえてそこを避けるという事をせず、時間で解決させるのではなく、直接原因となる問題に触れて根本の解決を図ろうと口を開くのだった。


「お主からの念話(テレパシー)の後、我もお主を襲った者達の事を考えていたのだがな……」


「ん? ああ……」


 如何に機嫌が悪いとは言っても、ソフィに対してだけは聞く耳を持ち合わせている様子のヌーは、一旦は自分の思考を停止させてソフィの言葉に真摯に耳を傾け始めるのだった。


「お主は『リラリオ』で我と戦う前の時点で、すでにこの世界では相当の影響力を持っておった。その後は更に『煌聖の教団(こうせいきょうだん)』の『ミラ』と手を結んだ事で、その立ち位置は確固たるものになった」


「……」


 ヌーは持ち上げるような、そんなソフィの言葉には口を挟まずに結論の言葉を静かに待つ。


「だが、そんな同盟関係であった『煌聖の教団』の者達の中には、総帥のミラが決めた事だからと渋々従ってはいたが、実際にはお主という存在を快く思っておらぬ者も居たのかもしれぬ。そんな折に我がミラを倒した事で制止を呼びかける者達が居なくなり、更には後ろ盾がなくなったお主をこれ幸いとばかりに襲う算段が付いた者達が、今回のような襲撃を考えて徒党を組んだのかやもしれぬ」


「つまりお前が言いたい事は、これまで同盟関係にあった『煌聖の教団』の残党共が、こぞって俺を狙いに来る可能性があるって言いたいんだな?」


 ソフィの言葉をしっかりと聞いた後、ヌーは確かに自分が『煌聖の教団』の総帥であるミラや、一部の最高幹部であるセルバス以外には、一切関わりを持たずに動いていた事を思い出し、勝手気ままに動きながらも総帥のミラ相手に偉そうな口を利いていた自分が煌聖の教団の者達にとっては、面白くない相手だと思われていたかもしれないという考えの結論に至るのだった。


 ……

 ……

 ……

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