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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
悪魔精霊編

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2061.精霊女王の決断

 ミューテリアに案内された部屋で淹れてくれたお茶を飲みながら、ソフィはヌーから伝えられた言葉をそっくりそのまま伝え終えるのだった。


「『()()()()』……ね」


 ミューテリアはソフィから『悪魔精霊』という名を聞いて、その表情を険しくさせるのだった。


「やはり相手が元精霊だったとしても、一度『悪魔』に身を宿した者にこの地を管理させるのには抵抗があるか?」 


『悪魔精霊』は精霊という元の名を残してはいるが、実際にはもうほとんど『悪魔』と変わらない。


 単に元々の精霊の『(ことわり)』を自在に扱えるという点と、今回のように『精霊樹』などを含めて管理するのに精霊でなければ分からない色々な事を扱う事を可能とするだけであり、実態は先程も述べたように、もう『悪魔』といっても差し支えないのであった。


 しかし現在のこの世界の精霊は、もうこの中央大陸に居る精霊達以外に存在しておらず、今回精霊女王がソフィと共にこの地を離れる事になる以上、残り少ない精霊の同胞達も当然に女王であるミューテリアと一緒に向かう事となる。


 単にこの土地を管理するだけであれば、魔族達でも可能ではあるだろうが、流石に『精霊樹』といったものを扱う事は出来ない。


 まだ『(ことわり)』に関して言えば、この世界にシステムとしてすでに確立されている『()()()()()』の存在のおかげで、精霊達が完全に忘れ去られてしまうことがなければ、精霊の四大元素の『力』は残されるが、この場所にある『精霊樹』だけは精霊の持つ『魔』の要素、魔素がなければあっさりと枯れ果ててしまうのであった。


『精霊樹』が枯れたところで、ソフィ達のような魔族はほとんど影響を受けないが、当然に精霊族はそうはいかない。数日くらいであればそこまで問題はないが、ミューテリア達が戻るのが相当に遅れる事になった場合、この『精霊樹』が枯れる事で精霊達の命の源が消失していき、やがては地に還る事になってしまうのである。


 もちろんミューテリアもそんなに長くは離れるつもりは毛頭なく、ソフィと共に『リラリオ』の世界へ行くとは言ったが、大魔王ヌーの『用事』というのが終われば直ぐに戻って来るつもりであったのだ。


 しかしそれでもその間は放置という形になってしまう為、万が一を考慮すれば確かに管理が行える『悪魔精霊』に頼んだ方が良いのは客観的に見て間違いないだろう。


「精霊樹の魔素の調整は慣れないと難しい……。その子と直接会って『魔力』の扱いを見てみない事には何とも言えないわね……」


 ソフィはその言葉で直ぐにこれは建前なのだと気づき、そう告げたミューテリアの真意は別にのところにあるのだろうと理解する。しかしそれを口にする事なくソフィは頷くのだった。


「ひとまずは完全な反対ではないという事を伝えて良いな? 我の返事でこの後直ぐにヌー達はここに来る事になるが」


「構わないわ。悪魔に身を捧げようとも元々は我が子達と変わらぬ精霊種。直接会って話もしてみたいところだしね」


 そう言ってソフィに全面的な了承の意を伝える精霊女王であった。


 …………


 それから直ぐにソフィはヌーに返事をする為に『念話(テレパシー)』で波長を合わせつつ繋げたが、繋いだ『念話』の先でヌーから()()()()()()()()()とまさに想像だにしない言葉を聞かされる事となるのであった。


 どうやらヌーは問題なく襲撃者達を撃退出来た様子ではあったが、話の中で不可解な点が多くみられた。


 まず第一に少しこの世界から離れていたとはいえ、アレルバレルの『魔界』で位置づけ的にソフィに次ぐ、二番手の支配者にして、魔界全土に影響力を持つ『大魔王ヌー』を襲撃してきたという点である。


 彼は単独でもすでにソフィの魔王軍の『九大魔王』達を複数人相手にしても渡り合えるだけの力量を有しており、更には『人間界』の陰の支配者と呼べる大賢者『ミラ』と『煌聖の教団(こうせいきょうだん)』と五分五分の同盟関係を結んでいたのだ。


 実力が確かな大魔王ヌーの更に背後には、煌聖の教団の息が掛かった多くの支援者といった後ろ盾が付いている。


 実力、土地、権力、煌聖の教団の息のかかった支援団体と、ヌーを敵に回せばたとえ『魔界』の魔族達であっても何も得する事がない筈だと言うのに、それを踏まえた上でたった数体で襲撃を仕掛けてきたというのが、事情を聞いたソフィはあまりにも不可解で荒唐無稽な内容に思えたのだった。


(まさか本当に魔王達が独自に動いたというわけはあるまい。しかしそれでは、一体誰の指示で動いたというのだろうか……)


 ミューテリアに事情を説明を終えた後、彼はヌーを襲った襲撃者達の事を思案し始めるのだった。


 ……

 ……

 ……

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