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2057.八方塞がりと悟る襲撃者

 突然襲撃してきた魔族達を一挙に相手取った大魔王ヌーは、その多くの者達を一撃で木っ端微塵にしてしまうのだった。


「さて――」


 そして小さく呟いたヌーは、静かに空の上から視線を地上へと向ける。


 その視線の先にはいつの間にか黒い球体が出現しており、この球体の正体は何を隠そう大魔王ヌーが一瞬の間に発動させていた固有魔法の『(エビル)』であった。


 どうやら全員を仕留めてしまえば情報を聞き出せないと判断して、生かした状態で閉じ込めていた様子であった。


 地上から少しだけフワフワと浮いた状態で存在していたその球体は、ヌーが近づいて指を鳴らした瞬間に影も形も消え去り、その中から血まみれとなった()()が一体、地上へと落下してくるのだった。


「がっ……!」


 襲撃者の中で唯一の生き残りとなったその魔族は、息も()()えと言った様子で苦しそうではあるが、何とか目を開けて周囲の様子を探り始めるのだった。


 しかしその襲撃者が周囲に視線を這わせていると、唐突に頭を踏みつけられて床に擦りつけられるのだった。


「おい、てめぇらは何だ? 何故俺を襲ってきやがった」


「っ、……」


 ヌーに足で頭を踏みつけられながらも、その襲撃者の魔族は口を真一文字に結んで喋る事を拒否する。


 この襲撃者の男にここまでの覚悟を持たせる以上は、指示を出した者は相当の大物で間違いないだろう。


 そしてヌーが舌打ちを行いながら目を金色に変え始めるのを見るや否や、その襲撃者の魔族は自害を試みるつもりで思いきり自らの舌を噛み切り始めるのだった。


 だが、その襲撃者の自害が成功する事はなかった――。


 そしてそのまま襲撃者の魔族の身体が緑色の光に包まれると同時、自害を行った筈の自分の身体そのものが無傷となり、痛みもあっさりと消えた事に驚き男は目を見開くのだった。


「残念だがてめぇの生殺与奪の権利は俺にある。次に勝手に死のうとすれば、貴様が用意しているであろう『代替身体(だいたいしんたい)』ごと俺の『()()』で永遠の苦しみを与え続けてやる。()()()()()()()だと思える程のな」


 そう言って恐ろしい笑みを浮かべる大魔王ヌーに、襲撃者の男は震え上がるのだった。


 ――大魔王ヌーもまた、当然に『救済(ヒルフェ)』の魔法を扱う事を可能とする。


 そして大魔王ディアトロスや、大魔王フルーフ、更には生粋の呪法師の大魔王エヴィには劣るが、彼もまた『呪法』を扱う事を可能とする大魔王である。


『ノックス』の世界では『呪い(まじな)』と呼ばれていたこの『呪法(じゅほう)』には数多の効力が存在しているが、そのどれをとっても大変残酷なものばかりであり、ヌーの扱う『呪法』の元となったのが『()()()()()()()』のものである為、いくら現在の身体を切り捨てて『代替身体』に逃れようとしても、彼の『呪法』はその『代替身体』の方にまで呪法効力が及ぶのだった。


 このような呪法効力を得意とする大魔王は、フルーフの他にもソフィの配下である『九大魔王』の『ディアトロス』が居るが、この両者の『呪法』はそこいらの『呪法師(じゅほうし)』とは桁が違っており、転生を繰り返そうとする者が行う因果の歪曲を拒否するかの如く、延々と同じ死の苦しみを与えたり、魂を汚染させて強制的に『代替身体』へと乗り移る事を難しくさせる『呪い(まじな)』を付与させたりと、まさに『代替身体』そのものに対しての対策を行うものであった。


 大魔王ヌーが何処までその領域に近づける事が出来るのかは未知数ではあるが、彼の持つ『魔力』を省みても、単にハッタリだと切り捨てる事は出来ないだろうという事は、襲撃者にも理解に及ぶところであった。


 すでに先程自害を行ったにも拘らず、何事もなく蘇らせられてしまった事からも、この襲撃者は素直に白状する以外に、この場を切り抜ける事は出来ないと悟るのだった。


 ……

 ……

 ……

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