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2044.ソフィの魔王城の中で

「すまぬ……。確かにお主の言う通りだな。しかしその前にミューテリアよ、これからこやつはこの世界でフルーフと戦闘を行う予定なのだ。身の安全の為にお主達にも迷惑を掛けるが、我達と共に『リラリオ』の世界に来て欲しいところなのだが……」


「構わないわ。先程も言ったけれど、すでに妾がこの世界を離れたとしても、もう大した影響は及ぼさない。それに『レプリアー』もあるし、少しの間であれば何も問題はない筈よ」


「そうか。ではお主も我と共に『リラリオ』に来てくれ」


 ソフィの言葉に直ぐに頷く精霊女王のミューテリアであった。


「ふんっ……。別に俺としては奴と戦う場所はここじゃなく『レパート』の世界でもいいんだがな、フルーフの野郎が先にアレルバレルを指定してきやがった以上は、奴にしてもこっちの世界の『魔界』で戦う方が都合が良いんだろうからな。悪いが精霊女王、アンタにも少しの間は我慢してもらう事になる」


「気にせずともよいぞ、大魔王ヌーよ。しかし出来ればここにある森と湖を避けて少しだけ別の場所で戦って欲しいというのが本音ではあるのだがな……」


「ああ、それくれぇは何とかフルーフの奴にも伝えておく。それと念のために俺の手の者を何人かここに置いて行く事にしよう。だから迷惑を掛けるが、今回はこちらを優先させてもらうぞ」


 どうやらヌーは多少なりとも『精霊族』の女王であるミューテリアに敬意を持っていたようで、普段であれば慮るよな言葉を口にしない彼も彼女に対しては別なようであった。


「それは助かる。しかしお主もソフィと行動を共にした事で少し変わったようじゃな? だいぶ刺々しさが抜けているようではないか」


 ミューテリアは少しだけ意地の悪そうな表情を浮かべると、自分より遥か年下の魔族であるヌーにそう告げるのだった。


「ちっ、別にそんなんじゃねぇよ……。おいソフィ、さっさと魔王城の中に居る連中にも伝えてきやがれっ! 俺はテメェらを運んだ後に、更にレパートに行って、さっさとフルーフの奴を呼びにいかねぇとならねぇんだからな!」


「クックックッ! そうであったな。それでは中へ入るとしよう」


 ヌーはミューテリアの言葉から無理やり逃れるかの如くにソフィに文句を告げて、言われたソフィもまた、いつもの笑みを浮かべながら、中へと入っていくのであった。


 ……

 ……

 ……


 ソフィが魔王城の中へ入ると、すでに大広間で多くのソフィの配下達が跪いて主の到着を待っているのであった。


 どうやら『概念跳躍(アルム・ノーティア)』を用いてこの世界へ戻ってきたソフィ達の『魔力』を感じ取って、慌てて準備を行っていたのだろう。


「ソフィ様、お待ちしておりました」


「ソフィ様! お帰りなさい!」


「ソフィの親分、待ってましたよ!」


「大魔王ソフィ様、よくぞご無事で」


 そしてそう言って声を掛けてきたのは『九大魔王』の面々と、新たに序列部隊の末席に名を連ねる事となった『()()()』であった。


 現在この魔王城に居る者達は、九大魔王を除けばその大半が元々魔王軍ではなく、ステアが率いていた『中立部隊』の者達であった。


 しかし前回ソフィ達の傘下に加わり、煌聖の教団の者達と戦う事を決意したステア達は、今ではここに居る『中立部隊』であった全員が、新たに暫定の『魔王軍』として城を守っているのであった。


 そしてソフィの居ない間の彼らの指揮官が『九大魔王』達であり、特に『エイネ』と『イリーガル』が総指揮官と呼べる立場を務めているようであった。


 もしこの場に『ディアトロス』や『ブラスト』達が残っていれば、またその立場は変わっていたかもしれないが、今はこの場に居る者達以外は『リラリオ』の世界に移動している為、エイネ達がソフィの留守を守っているというわけである。


「あ、エヴィ先輩……っ、と、大魔王ヌー……!」


 リーシャがソフィとエヴィを見て嬉しそうな表情を浮かべていたが、隣に立っていた大魔王ヌーを見て、直ぐにその表情を崩しながら、嫌そうにヌーの名を呼ぶのであった。


「ちっ、やっぱり俺は外に出ていた方が良かったか?」


「いや、この場であやつらに説明を行う為にも、お主も居てもらった方が都合が良い。居心地は良くはないだろうが、少しの間だけ我慢をしてくれぬか」


「ああ……。別にそれは構わねぇよ。こいつらがこんな態度になる事自体、無理もねぇ事だからな」


 ソフィの言葉にそう言って同意するヌーであった。


「お主らと再会を喜び分かち合いところではあるが、先にここまでの話をさせて欲しい。構わぬな?」


 ヌーと話を付けたソフィは、そのままこの城に居る者達全員に対してそう告げるのだった。


「分かりました……。それではソフィ様、中でゆっくりとお話を聞かせて頂けますか」


「うむ。そうするとしよう」


 ソフィがエイネの言葉に頷くと、直ぐにエイネはリーシャにソフィ達を部屋に案内するようにと指示を出し、リーシャも直ぐに頷いてイリーガル達と共に移動の準備を始めるのだった。


「貴方たちはいつもの警備に戻りなさい」


 ソフィ達がリーシャの案内で奥へと入っていくのを見届けた後、最後まで動かずに見守っていたエイネが、ステアやベイクを含めた魔王軍の部下達にそう告げるのだった。


「「分かりました、エイネ様!」」


 ステアやベイク達の声を聞いたエイネは、一度だけ彼らに視線を合わせて頷くと、そのまま踵を返して彼女もまた、ソフィ達の後を追い始めるのだった。


 大広間に残された彼らだったが、直ぐにエイネの命令通りに戻って行く。


 そしてこの場に残ったのは暫定ではあるが、新たに序列部隊入りを果たしたステアと、そのステアの右腕であるベイクのみとなるのであった。


 ……

 ……

 ……

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