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2042.現在のアレルバレル

新章となる12章の開幕です。

 ――12章 幕間


 禍々(まがまが)しく感じられる程に薄暗い空が広がる『アレルバレル』の魔界――。


 この世界は大きく分けて『魔界』と『人間界』に二分されているが、今辿り着いたこの『魔界』の中央大陸こそが、魔族にして大魔王であるソフィが居を構える魔王城がある場所である。


 最初に『魔界』と『人間界』は大きく分けて二分されていると説明を行ったが、実際にはこの『アレルバレル』の世界の大半を『魔界』が占めている。


 その広大な大陸をいくつも『魔界』が占めているのには理由があり、かつて『第一次魔界全土戦争』が行われるより更に遥か昔、この世界は一度『魔族』によって、多くの種族が根絶やしにされてしまい、その土地に住んでいた種族の土地を魔族が奪い取ったのである。


 現代の『アレルバレル』の魔界には、魔族と魔族が支配する魔物、そしてソフィが自分達の大陸で保護している僅かな『精霊族』しか存在しておらず、かつて他にも多く生息していた『魔人族』や『龍族』はすでに絶滅してこの世界から消えてしまっていた。


 更に言えばこの世界で大きく分けて二分される、もう片側の『人間界』に住む人間達も古くに絶滅しかけた過去を持っている。


 古くに生きてきた『魔人族』や『龍族』ですら、圧倒的な力を有する『魔族』によって絶滅させられているというのに、その今挙げた種族に劣る力しか持っていなかった『人間族』が、本来は現代も絶滅せずに残れる程にこの『アレルバレル』は甘い世界ではないのだが、今もこの世界に生きていられている理由とは、この『魔界』側の広大な大陸、土地を全て統治している大魔王『ソフィ』の放った一言が、今も力を有しているからに他ならなかった。


 ――決して『人間』には手を出すな。


 この大魔王ソフィの放った一言だけで、魔界全土中に散らばる残忍な『魔王』達を長きに渡って黙らせている。


 しかしすでにこの発言自体も何千年も前の事であり、あくまで攻める側であった長い寿命を持つ魔族達のみに知れ渡っているだけであり、この事は『人間界』の人間達にはもう正しく伝わってはいない。


 寿命が短いという事は、時代が早く変わってしまうという事に繋がる。


 まさにそれを利用したかの如く、元々は人間であった『煌聖の教団(こうせいきょうだん)』の総帥であるミラは、その自身の『創られた長い寿命』を利用して陰から人間達を操り、事実無根の内容を長年かけて流布して回り、大魔王ソフィこそが圧政を強いている諸悪の根源であり、必ず『人間界』を支配目的で牛耳ろうと、手を伸ばしてくるといったデマをここまで広めきってみせたのである。


 その煌聖の教団の総帥であったミラは、自身もまた『大賢者』としてまさに人間達の救世主として大きく存在を示していた事により、勇者と呼ばれる精霊の力を宿す歴代の勇者達を利用して人間達を扇動してきたが、此度に遂に大魔王ソフィを別世界へと転移させる事に成功し、一度は『アレルバレル』の世界全てを手中に収める事に成功しかけた。


 ――だが、結局は転移させた『リラリオ』の世界に、ミラより古い時代の『大賢者』であった『エルシス』の生まれ変わりと呼べる魔族シスの手によって、再びこの世界に戻ってきたソフィに『偽りの命』ごと、大賢者『ミラ』は魂を浄化させられてしまい、多くの人間達を騙してこの世界を支配しようとした大賢者『ミラ』は滅したのである。


 しかし元凶である『ミラ』が表舞台から去った今でも、すでに根付いてしまった常識は簡単に変える事は出来ない。


 今もまだ『魔界』と『人間界』は互いに歩み寄る事はなく、アレルバレルという一つの世界を二つに分断されたまま、互いの種族は生き続けているのであった。


 すでに『魔界』では煌聖の教団は壊滅して、総帥のミラもいなくなっているという事は知れ渡っているが、こうして今も『人間界』に魔族達が攻め込んでこないのは、その煌聖の教団を滅ぼしたのが、大魔王ソフィとそのソフィの配下の『九大魔王』達の手によるモノだと理解している為である。


 人間界の実質的なトップであった『煌聖の教団』の総帥『ミラ』も居なくなり、また一時的にとはいっても『魔界』側の頂点に立っていたソフィも一時的に『アレルバレル』の世界を離れている状況にあったが、どちらの大陸からも攻め込むような事はなく、これまで通りに何事もないまま静観を貫いている状況なのであった。

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― 新着の感想 ―
レキみたいな「でもそんなの関係ないぜ☆」ってレベルの存在でもない限りはソフィの逆鱗に触れたくないのが魔族及び魔界側。 あれだけ勢力を拡大させてたミラ達も結局帰ってきてすぐにソフィ達によって殲滅されたと…
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