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2039.ソフィの元に集った新たな者達

 一足(ひとあし)先にソフィ達が妖魔退魔師組織の建物の大広間に戻ってくると、椅子に腰を下ろしていたヌーが、待ち侘びたといった表情を見せながら立ち上がるのだった。


「ようやく戻ってきやがったか……」


「待たせてすまぬな。あやつとの別れの挨拶は済ませてきた。もう少しすればエヴィ達も戻って来るだろうから、もうしばらく待ってやってくれ」


「ちっ、まぁそれぐらいは別にいいんだけどよ、そいつは王琳の部下だった奴だろう? 何故こいつを連れてきたんだ?」


 ヌーはソフィの傍を歩く王琳の眷属の妖狐の顔を見ながら、ソフィにそう訊ねるのだった。


「ああ。再びこの世界に来ると奴と約束したのでな。約束を違わぬようにとあやつは、自分の大事な眷属であるこの六阿狐を我に託したというわけだ」


(なるほどな。()()()()()()()()()()()()()か……。ソフィに再び『ノックス』にこさせる為に、あえて自分の眷属を預ける事で、こいつに常に意識付けを行おうというわけだ。ソフィの性格をしっかりと分かった上で、しっかりと目的のための布石を打ってきたというわけだ。奴も色々と考えていやがるな……)


 王琳の(したた)かさを改めて理解したヌーであった。


 そしてそんな風にヌーが六阿狐の顔を見ながら王琳の事を考えていると、視線を向けられていた六阿狐がにこりとヌーに笑顔を向けるのだった。


「ヌー殿がソフィさん達を別世界に送って下さるのだとお聞きしました。ヌー殿には急な事で申し訳ありませんが、どうかこの私もソフィさんと同じ世界へ送って頂けると助かります」


 そう言って六阿狐は頭を下げて、礼儀正しくヌーに転移を頼むのであった。


「あ、ああ……。別に今更一人や二人運ぶ奴が増えたところで、さほどの負担も感じねぇから構わねぇよ」


「ありがとうございます」


(こいつみてぇな()()()()()()()()()()()()()が、ここまで下手(したて)に出てこられると流石に調子が狂うな……。アレルバレルの世界で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、不遜な態度で運ぶのが当然だと言わんばかりの態度を取ってくるだろうからな)


 六阿狐程の戦力値が『()』を持つ『()()()』であっても、この世界の強さの頂点に居るような()()()()といった『存在』から比べれば、決して威張れる強さではないのだという事を改めて、帰り際に再確認をさせられた大魔王ヌーであった。


(しかし『リラリオ』の世界は、この後とんでもでねぇ事になりそうだな……。別にもう俺は今すぐにソフィ達と戦争を起こすつもりもその必要性もないが、コイツの周りに元から居た『九大魔王』の連中に、元煌聖の教団の幹部だったセルバス、そして今回無事に再会を果たしやがった『天衣無縫』のエヴィに、そのエヴィと親し気に絡んでいやがる耶王美って妖狐、それにソフィを慕って別世界へ来ようとしていやがる妖魔退魔師の女や、この六阿狐って妖狐だ。更にはソフィの取り巻きになるってわけじゃねぇが、シギンや神斗の存在にオマケにあのクソ雑魚(イツキ)もついてきやがる。ハッキリ言って少し前の煌聖の教団の連中と結託してソフィ崩しを企んだ時より、更に厄介な状況で間違いない。間違いなく、この面子(めんつ)を相手に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……)


 そもそも大魔王ソフィを単独で相手にするだけでも、喧嘩を売る事が如何に馬鹿げているかを嫌という程理解させられているヌーにとっては、今考えたような取り巻きの連中が、いくら増えようが何も変わらないようなものだが、それでも厄介な連中が増えた事は疑いようがないと彼は結論に至るのであった。


「お主が焦る気持ちも分かるが、強くなりたければ今は余計な事を考えず、自分の研鑽の事だけを考える事だ」


()()()()()()()……)


 そしてそんなヌーの考えている事を正確に読み取りながら、彼に話しかけてくるシギンにヌーは、これだから面倒なんだと溜息交じりに胸中で呟くのだった。


「わぁってるよ、それにそこまで言いやがるんなら、俺が満足いくまで付き合ってもらうぞ? それが約束の内容なんだからな?」


「承知した。まぁ、まずは神斗の手助けとやらの方から色々と試してみるといい。そこに口を出しながらこちらが手を加えていってやろう」


 大魔王ヌーは、妖魔召士のシギンと元妖魔神の神斗の両名を『リラリオ』の世界へ運ぶ事の条件に、鍛えて強くしてもらうという約束を取り付けている。


 そんな直ぐに今より強くなれると都合の良い事を考えているわけではないが、それでも自分一人であれこれと悩み考えるよりは、間違いなく効率の面でも段違いだろうと、今の自分より遥かな高みに居る『魔』の理解者達に素直に頼る事にしたヌーであった。


「教えてもらう立場でありながら、同時に教える立場でもある今の僕の状況は、少しばかり異質だとも捉えられて面白いね。まぁ、約束は約束だ。僕も君に出来る範囲で協力してあげるから楽しみにしておくといい」


 そう言ってシギンとヌーの会話を聞いていた神斗が、ヌーの肩に手を置きながらそう口にするのだった。


「まぁ、頼りにさせてもらうが、まずはフルーフとの一戦が先だ。さっさと終わらせてくるから、てめぇらも準備しておけ」


 そのヌーの言葉にシギンと神斗は顔を見合わせながら、互いに苦笑いを浮かべるのだった。


 ……

 ……

 ……

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