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2038.六阿狐の本音

 王琳との別れの挨拶を済ませたソフィは、エヴィからこの後に耶王美が少しだけ王琳と挨拶をするという話を聞いて、先にヌー達の元に戻る事にするのだった。


 エヴィが居れば『高等移動呪文(アポイント)』も『念話(テレパシー)』も使える為に、残して行っても大丈夫だと判断したのである。


「ソフィ殿、私は王琳様の眷属である為、貴方に忠誠を尽くす事までは出来ませんが、それでも貴方の傍に置いて頂ける間は、この命を賭してでもお守り致します故、これからよろしくお願いします」


 そう言って六阿狐は王琳の元から離れた場所で、改めてソフィに頭を下げるのだった。


「六阿狐殿、先程も言ったがそのように畏まらずともよい。我はお主を客人として扱うつもりでおるし、何か不便な事があれば遠慮なく口にして欲しい。それに我は王琳の奴とこれからも友として付き合っていきたいと考えておる。だからこそ、お主とも自然に接する事の出来る立場で居て貰えた方が我としても助かるのだ」


「そ、そういうモノなのでしょうか? わ、分かりました! ではソフィさん、貴方の世界についたら色々と私に町を案内して頂けますかっ!」


 どうやらソフィの言葉の真意が正しく伝わった様子であり、六阿狐は先程より少しだけ砕けた様子でソフィに話し掛けるのだった。


「クックック、もちろんだ。と言っても当面は我の元々の世界ではなく、第二の故郷と言うべき世界に行く事になるのだが、そこで良ければお主を案内しよう」


「了解です! えと、その世界というのが、ソフィさんの奥方様がいらっしゃる世界なのですよね?」


「うむ、その通りだ。そう言えば六阿狐殿は、ヒノエ殿と話をする際に部屋の案内をしてくれたのだったな」


 どうやらすぐに部屋を出ていった六阿狐だが、それでも中の声が聞こえるくらいには、人間よりも聴覚が優れていたという事だろう。


「ごめんなさい、ソフィさん。主の命であった為に勝手にあの場を離れるわけにも行かず、少しだけ聞いてしまいました……」


「構わぬよ、特に隠しているわけでもないのでな。そうだな順を追って話すと我は、元々アレルバレルという世界に居たのだが、我は人間たちの討伐対象にされておってな、それでその時の人間の代表であった『勇者』とその一行にマジックアイテムを使われて、リラリオという世界に送られたのだ」


 六阿狐は大妖狐にして自分の主の王琳をあれだけ圧倒する程の力量を持ったソフィが、あっさりと人間達に別世界へ送られたという話に驚き目を丸くするのだった。


 当然これは人間の『勇者』の実力というわけではないのだが、そもそもマジックアイテムというモノに縁がない六阿狐にしてみればそんな事が分かる筈もなく、別世界の人間達は侮ってはいけない存在なのだと認識を改めるのだった。


「そしてそのリラリオの世界で一人の女性と出会い、我はその人間と生涯を共にしようと決めて、今に至るというわけなのだ」


「そのリーネさんという方は、元々は違う世界の人だったわけですか……。本来は出会う筈もない別世界の人間と出会いそして結ばれたっ! な、何て運命的なのでしょうか、とても素敵です!」


 六阿狐はソフィとリーネの馴れ初めの話に目を輝かせてそう口にするのだった。


「我もそう思う……。あやつは直接は我に言わぬが、いつでも我を支えようと陰で頑張ってくれておる。今回の事にしても、我はどうしてもエヴィ達を探しに行きたいと考えておると、直ぐに応援をして送り出してくれた。()()()()()()()()()()()()()()()()


 ソフィが嬉しそうに一人の女性の事を話すその顔を見た六阿狐は、本当にリーネさんの事を()()()()()()()()()()()()と納得するように頷いて話を聞くのだった。


(ソフィさんが魅力的な事は、こうしてずっと一緒に居てよく分かっているけど、きっとリーネさんも同じくらい素敵な方なんだろうな。私も元々はソフィさんの外見で気に入って近づいたから、他人の事をとやかく言えないけど、それでもあのヒノエという人間は()()()()()()()()。告白して振られた挙句に、リーネさんに会わせて欲しいなんてよくもそんな事を口に出来たわね。それもソフィさんの優しさにつけ込む形で別世界にまで押し寄せようとするなんて、どれだけ図々しいのかしら……?)


 確かにヒノエの行動に対して、理解が出来る部分も多いと思う六阿狐であったが、自分もソフィの事を好んでいる者の一人として、弁える部分は弁えなくてはいけないと考えている。


 だからこそ六阿狐は、自分の都合だけを考えて行動を表したヒノエという人間に、少なからず苛立ちを感じている様子であった。


「ソフィさん、私はソフィさんとリーネさんの味方ですからねっ! いつでも私の力が必要でしたら呼んでください!」


「う、うむ……? そ、そうか、では何かあれば頼らせてもらうぞ。む、六阿狐殿」


 今の話の流れで何故それ程までに意気込んで応援をされたのか分からず、ソフィはその六阿狐の勢いに少しだけ身を引かせながらそう告げるのだった。


「あ、それと是非私の事は六阿狐と呼び捨てにして下さい。これから王琳様との再会まで長い付き合いになりますし、呼び捨てにして頂いた方が、ソフィさんとの距離が近くに感じられて私は嬉しいです!」


「お主がそう言うのであればそうしよう。では六阿狐、改めてこれからよろしく頼む」


「はいっ! よろしくお願いしますねっ」


 そう言って顔を綻ばせながら、ソフィに嬉しそうに返事をする六阿狐であった。 


 ……

 ……

 ……

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