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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
停滞からの脱却編

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205/2221

199.新たな絆

※加筆修正を行いました。

 オーラを纏い始めたユファは先程までと違い、ラルフの攻撃が一切通用しなくなった。


 速度はラルフの方が速いようだが全くユファにあたらない。


 更に殺し屋としての技術をフルに活用しているにも拘わらず、ユファは全て目で確認して躱している。それが如何に難しいことか、攻撃を繰り出しているラルフが一番分かるのだった。


 視線で惑わしたり最初のように、ハンドスナップを利かせたフェイントを入れているのだが、ユファは恐ろしい事にフェイントや誘いには一切乗って来ず、本命の攻撃にだけ的確に合わせて、カウンタ―を仕掛けてくるのだった。


 魔法使いを相手に同じ拳のみで戦っているというのに、ラルフは勝てる気が全くしなかった。


 戦力値がどうとかそういう話ではなく、単純に同じ戦術であっても勝てるビジョンがわかないのだ。


 ――圧倒的な余裕に圧倒的な自信。


 そして自分を信じきれているからこそ、一歩先へ踏み込んでくる相手を見ながら、そして考えながら行動を決めているラルフでは、どう動くにしても自信満々で一切の恐れのないユファとでは、決定的な差が生まれているのだった。


 そしてラルフがこのままではジリ貧と感じ、今までより強く打とうと大振りになってしまう。


「気持ちは分かるけど、相手に影響されてはダメよ?」


 ラルフはその言葉が、耳に入った瞬間に意識が途切れた。


 ラルフが攻撃を繰り出すまでは、ユファは攻撃モーションにさえ入っていなかったのだが、ラルフの拳がユファに届く前にユファの右拳は最短距離を走り、ラルフの顎を貫いたのだった。


「ひとまず、今日はここまでにしておきましょうかね」


 すでに意識のないラルフにそう告げて、ゆっくりと両手に抱いて空高く浮かび上がった。そしてラルフを休ませる為に、運ぼうとしたところでユファは気づく。


「そういえば、この子の寝床って何処なのかしら?」


 ラルフがどこから来たのか、そしてどこを宿にしているか分からなかったユファは、一度地上へ降りる。


「え、どうしよう……」


 お姫様抱っこ状態のラルフに視線を送るが、自らが意識を絶ってしまっているので反応が返ってくる筈もなく――。


 宵闇の中で首都シティアスの街の真ん中で立ち尽くすユファであった。


 ……

 ……

 ……


「ここは?」


 そして朝に目を覚ましたラルフは自分の体を起こす。


 その時に頭が鈍い痛みを発したが、ラルフは長年の経験から直ぐに楽になる姿勢をとる。


 周りを見渡すとどうやらいつもの拠点ではなく、甘い香りのする部屋の中で大きめのソファーに寝かされていたようだ。


 そしてラルフの視線の先でベッドの布団から、艶めかしい足を見せているユファと可愛らしい寝間着を着ているシスの姿が目に入った。


 少しの間、寝息を立てている二人の女性の姿を見ていたが、やがて何事もなく立ち上がる。


「どうやら私はあの後、気を失ったようですね」


 シティアスにある建物の一室で目を覚ましたラルフは、ひとまず部屋の外を出ようとするが、そこでベッドの方から声を掛けられた。


「昨日の時間に、街外れで待ってなさい」


 ラルフが振り返ると何時から起きていたのか、ユファが片目を開けてこちらを見ていた。


「感謝しますよ、ユファさん」


 微笑を返しながらラルフは一言告げて、部屋を出ていくのだった。


 …………


「全く、妬けるわねぇ」


 そして隣で寝ていた筈のシスが、ぽつりと一言漏らす。


「シスぅ? 貴方、起きてたなら言いなさいよ」


「仲睦まじい男女の会話を邪魔する程、私は空気読めない女じゃな……、きゃっ!」


 背中を向けているシスを後ろから強引に抱き寄せるユファ。


「もう! 拗ねないでよ。貴方にも今度またゆっくり『魔法』を教えてあげるからさ」


 シスはその言葉に溜息を吐いて、そして嬉しそうに笑うのだった。


 ……

 ……

 ……


 ――所変わってここは『ターティス大陸』。


 神に近いと呼ばれる龍族が暮らす大陸である。


 『魔王レア』との契約によって龍族達は全員復活する事は出来たのだが、依然大陸は半分程しかなく歪な大陸としてこの世界『リラリオ』に彼女達の大陸は出現していた。


 現在この大陸には4000体程の龍族がいる。


 当時の魔王との戦争で多くの犠牲者を出した事で、今この場にいるのが残された全ての龍族の者達であった。


 レアとの戦いで生き残るだけの力を有しており、一人一人が大きな戦力値を持っている。


 そして龍族の始祖キーリは復活したばかりの同胞達に、現状の経緯を静かに話し始めるのだった。

※どうやらユファは、ラルフの成長を見守りたくなったようです。


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