表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2049/2213

2032.別れを前に本音を語る、妖魔退魔師組長と元組長

 そしてノックスの世界を離れる当日を迎えた朝、部屋にソフィを呼びに来たミスズに案内されて、妖魔退魔師組織の大広間に足を運ぶのだった。


 すでに大広間には多くの人間達が集っており、その中にはエイジやゲンロクといった妖魔召士の顔ぶれもあった。どうやらソフィ達を見送る為に、数日前からここに集うように予定されていたのだろう。


 エイジは大広間にソフィを連れて戻ってきたミスズの顔をみるなり、彼女に笑みを向けながら手を軽く挙げた。


 ミスズは少しだけ顔を赤くしながらも、嬉しそうにエイジに手を振り返していた。どうやらここ数日の間に、更に二人の仲は進展していたようである。


 そしてソフィがエイジとミスズの様子を眺めていると、そんな彼の元に近づいてくる女性の姿があった。


「おはよう、ソフィ殿!」


「うむ、おはようヒノエ殿……、む? お主目の下に隈が出来ておるようだが、昨晩は眠れなかったのか?」


「あ、ああ……。実は今日の事を考えている内に緊張しちまってさ、ははっ、気づいたらもう朝になっちまってた」


「クックック、そうであったか。実は我も昨日色々あって眠れておらぬのだ。途中で眠らぬように気を付けねばならぬな」


「えっ……? あ! そ、それなら私がずっと横に居て、ソフィ殿が寝そうになったら起こしてやるよ!」


 どうやらソフィが話を合わせてくれたのだと考えたようで、ヒノエは上手くそれを口実にソフィの隣に居ようとするのだった。


「ふむっ、では逆にヒノエ殿が寝そうになったら我が起こしてやろう」


 ソフィがそう返すと少しだけヒノエは驚いた後、頬を赤らめながら嬉しそうに首を縦に振るのだった。


「やれやれ……。()()()()()()()がここまで変わっちゃうなんてね。ちょっと前までなら信じられないや」


 いつの間に隣に立っていたのか、スオウは腕を組みながら感慨深そうに、ヒノエの顔を見ながらそう口にするのだった。


「て、てめぇクソチビ! いつの間に現れやがった!!」


 ヒノエは慌てて表情を取り繕うと、照れを隠すように大きな声を出すのだった。


「いつの間にも何も……、ソフィ殿がここに現れた時に一緒に歩いて来たじゃないか。全くもう、本当に今の君はソフィ殿以外は視界に入らないって感じだね。そんな調子のままソフィ殿の世界に行って、迷惑を掛けないように気を付けなよ?」


「わ、分かってるよ! 手前はいちいち煩いんだよ!」


「そりゃ、最後くらいは煩くさせてもらうさ。これでも君とは長い付き合いだったんだから……、さ」


「チビ助……」


「ソフィ殿、実はヒノエ組長はこうみえて本当に繊細な性格をしているんだ。さっき本人も言ってた事だけど、眠れなかった本当の理由とは、この世界を離れる事に関して相当に悩んで出した結論な筈なのに、結局時間が経ってからまた自分が残していってしまう組員の事や、組織の事を考えて一晩中悩んでいたんだと思う。でもそれは優柔不断だって意味じゃなくて、彼女は純粋に選んだ道と反対の事を真剣に考えて、自分が出来る事はもう何も残されていないかって悩んで考えられる優しい人間なんだ。だからソフィ殿……、貴方になら任せられると思っているから、あえて言わせてもらう。このヒノエ組長を連れて行くなら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。彼女は思い付きなんかじゃなくて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 スオウはそう言って、最後にはソフィに頭を下げてお願いをするのだった。


 ヒノエは口をパクパクさせながらも、スオウにいつもの軽口を言えなくなってしまうのだった。


「スオウ殿、ヒノエ殿の事は安心するがよい。我が責任を以て彼女を連れて帰るとお主に約束しよう」


「ありがとう。でも本音を言うとそこまで心配はしていないんだ。俺は最初からずっとソフィ殿の事を信用しているからね……、()()()()()、元気でね? たまには俺達の事を思い出してよ」


「ああ、もちろんだ。今までありがとうな、()()()()()。後の事はアンタに任せたよ!」


 そう言ってヒノエとスオウは、数年ぶりに互いの名と役職で呼び合い、()()でハイタッチを交わすのだった。

『ブックマークの登録』や『いいね』また、ページの一番下から『評価点』を付けていただけると作者のモチベーションが上がります。宜しければお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ