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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
最強の妖魔退魔師編

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2035/2221

2018.大魔王ヌーの決意を秘めた瞳

「ところでずっと気になっていた事があるんだけど、いい機会だしこのタイミングで君に訊いてもいいかな?」


 まだ気持ちの面で圧迫され続けていたヌーは、気持ちの整理をつける間もなく『神斗』にそう告げられて、まだ何かあるのかよとばかりに、神斗を睨みつけながら舌打ちするのだった。


 しかし舌打ちをしたヌーが何も言わずに黙っていると、それ以上神斗は何も尋ねてこなくなった。


 どうやら彼は律儀にヌーの返事を待っているのだろう。先程まではずけずけと色々とヌーに口にしてきていた神斗だったが、こういう面では相手の事を尊重する念を抱いているらしい。


「面倒くせぇやろうだな! 訊きたい事があるなら、さっさと言いやがれや!」


「では、訊ねようか。君の隣に居る女の子は、どう考えても単なる人間には見えない。明らかに神格を有しているよね? もしかして、君が契約を行っている『()』なのかい?」


 そう言って神斗は、ヌーの隣に並び立つ『テア』の方に視線を向ける。テアは神斗が何を言っているのか分からず、そっとヌーの顔を見上げるのだった。


 口に出してはいないが、それは『一体彼は自分に何を言っているのか』とヌーに尋ねたがっているような視線だった。


「ああ、その通りだ。厳密に言えば『死神』だが、神格を有するという点では間違っちゃいねぇよ」


「――」(おい、アイツは私の事を聞いているのか? だったらちゃんと『死神』じゃなくて『死神貴族』って伝えてくれよ! 下界じゃあんまり関係ないのかもしれないけど、私たちの『幽世(かくりよ)』じゃ、全然違うんだぞ!」


「あぁもう、どいつもこいつもうるせぇな! わぁったよ! 訂正だ! 単なる『死神』じゃなくて、こいつは『死神貴族』様なんだとよ!」


「ヤケクソといった様子で大声で訂正を始めるヌーを見て、ぽかんとした表情を浮かべた神斗だったが、その後にシギンに目配せをしたかと思えば、同時に吹き出しながら笑い始めるのだった。


「――」(おい! 何か笑われてるじゃないか! お前が最初から『死神貴族』って言わなかったからだぞ!)


「はぁ……? 知らねぇよ、どっちでもいいだろうが」


「――」(だから『死神』と『死神貴族』は、全く違うって何度も……――)


 再びヌーとテアが言い争いを始めると、それまでの場の空気が一変していくのだった。


「ははははっ! ふむ、そうか。僕が想像していた神々とはまた少し違う感じだったけど、確かに神格を有する神々で間違いないって彼女を前にして改めて思えたよ。神と直接契約が行えるなんて、本当に御世辞(おせじ)抜きで凄い事だと思えるよ。僕は妖魔神と呼ばれているけれど、別に神格を有しているわけじゃないしね」


 大きな声で笑い始めた神斗に、ヌーとテアは言い争いを止めて同時に神斗の方に視線を送る。


 そして告げられたその言葉に、再びテアと顔を見合わせたヌーであった。


「テアぐれぇの奴を呼び出すのは、流石に骨が折れるだろうが、単なる『死神』くらいだったら、そこまで難度の高い『術式』でなくとも、簡単に使役する事が出来る筈だ。特にお前らぐれぇの『魔力』だったら何も問題ない筈だがな……」


 そんな言葉が返ってくるとは思っていなかったのか、今度は神斗とシギンが顔を見合わせるのだった。


「ヌー殿、それはお主の世界に存在しているという『(ことわり)』から生み出される『魔法』という事だろうか? 私はこれまで神々は、独自に顕現(けんげん)を果たす以外に地上へ姿を現す事はないと信じて生きてきたのだが、我々でもお主らの世界の『(ことわり)』を知れば、テア殿のように神々と契約が出来るのだろうか……?」


「何度も言うが、普通の奴じゃ無理だろうが、お前らぐれぇの『魔力』があれば問題ない筈だぜ? といっても、コイツを呼び出す為の術式は、元々俺が居た世界にあった『(ことわり)』ってわけでもないんだがな。まぁ、お前みたいに無から『(ことわり)』を生み出せるレベルの奴なら、別世界の『(ことわり)』を学ぶ事もそこまで難しくはない筈だ。無から新しく『(ことわり)』を生み出す事に比べたら、いくら難度が高い『(ことわり)』を覚えるといっても、難しさの桁が違うだろうからな。ククッ! 今から研鑽を新たに始めたとしても、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()『レパート』の『(ことわり)』を覚えられるんじゃねぇか?」


 そう口にするヌーの言葉に、質問を行った神斗よりも『シギン』の方が、より深く覚関心を持ったようで、目をキラキラとさせ始めるのだった。


「まぁ、それでも今から新たに『死神』と契約するのは、勘弁してもらいてぇところだがな」


「それは何故?」


 ぼそっと呟くように告げたヌーに、耳聡く反応を示したのは神斗だった。


 聞かれていたかとばかりに小さく舌打ちをするヌーだったが、聞かれていたなら仕方ないとばかりに話し始めるのだった。


「この後に俺が居た世界に戻ったら、とある奴と戦う予定があるんだよ。そいつはこのテアと同じように『死神皇』って『死神』と契約を果たしていやがるんだが、その『死神皇』は全死神を束ねる王らしくてな。てめぇらがもし『死神』と契約とかし始めたら、何か嫌な予感がすんだよ。どっかで均衡が崩れるような違和感っつーのか、まぁよく分かんねぇけど、このままである方が俺的には良いってわけだ!」


 最後の方はよく理由が分からないシギンと神斗だったが、それでも情報自体はとても興味がある内容であったらしく、神斗とシギンは感心するように頷きを見せるのだった。


「神格持ちの神々を束ねる『死神皇(しにがみおう)』と契約を結ぶ奴と戦うのか! それは僕も観戦しても良いのかな? 出来れば直で見てみたいんだけど」


「駄目だ。アイツとの戦いだけは誰にも邪魔されたくねぇ。それはソフィであっても断る。何といっても奴との決着は、俺のケジメだからな……」


 大魔王ヌーは決意を込めた瞳を浮かべながら、大魔王フルーフの顔を思い出してそう告げるのだった。


 ……

 ……

 ……

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