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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1958/2247

1941.これにて一件落着となる

「転生……か。確かに君は現に転生を幾度となく繰り返してきているし、何処かのタイミングでそういう(てい)で蘇った事にしてもいいかもね。でも君が妖魔神の代わりを務めてくれるなら当分はこのまま身を隠して生きていようと思う」


「な、何故ですか、神斗様!」


 神斗の言葉に十戒が慌てた様子で理由を尋ねる。


「今回、煌阿と戦ってみて僕も色々と『魔』に関して見直したくなったというのが本音かな」


「そ、それはどういう……?」


「僕も一から強くなる為に努力し直そうっていう話だよ。それに悟獄丸も居なくなってしまったしね……」


「そ、そうですか……」


 十戒としてはこのまま神斗に妖魔神の立場に戻ってもらいたいというのが本音であったが、もう一体の妖魔神の名を出されて憑き物が落ちたような表情をされてしまっては、二の句が継げなくなってしまうのも無理はなかった。


悟獄丸(ごごくまる)を手に掛けたのは私だ。もし私に奴の仇討ちをと考えているのであれば、私はいつでもお主の相手を務めよう」


 このまま有耶無耶にするつもりはなかったようで、神斗の相方と呼べる悟獄丸を亡き者にしたのは自分だとシギンはこの場で名乗るのだった。


「まぁ、()()()()()()()なら君しか居ないよね。でも別に僕は君を恨んでいるわけじゃないよ。彼ほどの力量を持つ者を一体誰が倒せたのかを追いたいだけだったし、君だとこの場で聞いた事ですんなり納得も出来た。僕としては君と戦うよりも、むしろ君から色々と『魔』を教わりたいかな」


 どうやらシギンに『魔』を教わりたいというのは、この場の流れで口にしたわけではなく、ある程度本音であった様子であり、じっとシギンを見つめる神斗であった。


「私としても煌阿(こうあ)が居なくなり、この山を監視する必要もなくなった。里の方も頼りになる次世代の妖魔召士組織の長が育っていたようだし、私が生きてお主に『魔』を教えていられる間、里に妖魔を近づけない努力をお主がすると約束してくれるのであれば、付きっきりで『透過』を含めて色々と教授してやろう」


 そのシギンの言葉に駄目元のつもりで願いを口にしていた神斗は、目の色を変えて驚くのだった。


「ほ、本当かい……? それなら是非頼むよ。もちろん僕の出来る範囲で人里に妖魔達を近づけないと約束するよ。まぁ、僕が何もせずとも王琳が居る限り、誰も近づこうとはしないだろうけどね」


 どうやら会合の内容を死体であった神斗も把握している様子だった。


「俺が気分屋なのは神斗殿も知っておいででしょう? 妖魔神に戻って山の頂にある拠点に戻るつもりがないのであれば、出来れば俺の代わりに貴方にその辺のサポートを頼みたいですね」


「ああ、それで構わないよ。彼から『魔』の研鑽を続けながら、今後は君の眷属と協力して動くと約束しよう」


 どうやら神斗はもう妖魔神に何の未練もなくなったようで、そんなものよりシギンから『魔』の概念技法を学ぶ方が大事だと所信表明するのだった。


「話は纏まった。十戒に人間共もそれで構わんだろう?」


「結局、ワシが山の中腹の管理を行うという事は変わらんのですな……」


「我々としても今後、人里への妖魔達の襲撃を貴方がたに防いでもらえるというのであれば構いません」


 そのミスズの言葉は、人里に妖魔を近づけさせないと約束してくれるのであれば、指示を出す者が『王琳(おうりん)』であろうが『神斗(こうと)』に代わろうが、そこは全く気にしないと言う意味であった。


 最終的にこれから妖魔神としての立場に就く者は『王琳』であり、山の中腹までの管理を『帝楽智』に代わって『十戒』が引継ぐ事となり、妖魔退魔師総長のシゲンと山の長となる『王琳』の約定により、今後は人里に妖魔が立ち入ることを禁ずる事と決まるのであった。


 少し前までは山に入る事も禁じられていた妖魔退魔師の人間達だが、山の管理が妖魔召士組織から移って直ぐの今回の調査の一件から、今後は『妖魔神』と約定を結んだ人間側の組織は『妖魔退魔師』組織となった。


 しかしだからといって『妖魔退魔師』組織の総長シゲンに副総長ミスズは、今回同行を共にした『妖魔召士』組織の者達を蚊帳の外に置くつもりはなく、今後は人間達側も互いの組織間で協力関係の再構築を行うつもりであった。


 ――特に今回ミスズは、エイジによってその命を助けられている。


 義理堅い彼女はその事をずっと念頭に置いており、この借りは必ず返すと意気込んですらいる様子であった。


 ゲンロクの代では、歴史上初めての武力を伴った戦争状態へ突入した両組織だが、代が変われば諸々の事情も変わるのは必然の事であり、今回はいい方向に向かいそうであると言えた様子であった。


 ――多くの出来事が生じた『妖魔山』だが、こうして最後は一件落着と成るのであった。


 ……

 ……

 ……


 ――()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 何故ならまだ、この場に鋭い笑み浮かべてソフィを見つめる存在の姿が残っているからである。


 そして何も憂慮する必要がなくなった最強の妖狐である王琳は、その時が来るのを今か今かと待ち受けるのだった。

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