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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1950/2217

1933.魔の概念技法の最高峰

※誤字報告ありがとうございます!

「すまぬ、少し話が逸れたな……」


 シゲン達の視線に気づいた王琳は、咳払いを行った後に一言謝罪を入れた。


 そして王琳はそのまま肆聖から首のない煌阿の身体を受け取ると、ソフィの方を向き直り口を開く。


「ソフィ、お前の持つ『魔』の概念技法があれば、この状態の神斗殿であっても()()()()()()()()()()?」


「なっ!?」


 直接王琳に話し掛けられたソフィより早く、神斗の亡骸をどうするつもりなのかとずっと視線を向けていた十戒が先に驚きの声を上げたのだった。


「ふむ、その身体の持ち主の魂さえ残っておれば、本来ならば問題なく蘇生は可能だっただろうが、残念ながらその身体にはすでに別の者の魂が宿っておった。そしてその魂は我が直々に消滅させてしまったからな。もう我が『魔法』を用いたとして、首や身体の外傷を治せたとしても、残念ながら目を覚まさせる事までは出来ぬ」


 一つの身体に複数の魂を宿らせる事は不可能であり、エルシスがシスの身体に転生した時のように『魔』の概念技法を用いて、自分の魂をその身体の持ち主の邪魔にならぬよう、本人すらも気づかない程の精神の奥底に眠るように同化でもさせない限り、魂そのものを宿らせる事は出来ない。


 しかしすでにソフィは神斗の身体に宿っていた煌阿の魂を消滅させる時に、身体に宿る他の魂の有無を確認済みであり、煌阿の魂を失ったと同時にその神斗の身体はもう抜け殻となっていた事を知っている。


 もしこの場でソフィが『救済』を用いたとしても、この身体に魂がない以上は、神斗が目を覚ます事はない筈である。


「いや、ソフィ殿。そう決めつけるのはまだ早いかもしれぬぞ?」


 目を覚まさせる事は不可能だと告げたソフィの言葉を傍で話を聞いていたシギンは、王琳が何かを口にする前にそう言って割って入るのだった。


「何……?」


「ソフィ殿、貴方が使える『魔』の概念技法の中で、他者の魔力を感知するようなモノはあるだろうか?」


「ああ……。我の世界にある『(ことわり)』を用いれば、他者の『魔力』を感知する事が可能ではあるが、この身体にはすでに『魔力』はないぞ?」


「確かにこのままでは探れぬのも無理はないか。悪いがソフィ殿、今から私がこの身体に対して『魔』の技法を用いる間、ずっとその『魔力感知』を行い続けていてはくれないか?」


「むっ? それは別に構わぬが……」


 ソフィはすでにこの身体には魂どころか、魔力がないかどうかも確かめた筈であり、釈然としないままにシギンに言われた通りに『魔力感知』を放った。


 …………


 だが、やはりというべきか、神斗の身体には何も反応はない。


 そもそもここで『魔力』の反応があれば、煌阿が転生していた可能性も考えられる為、あれ程に『終焉』の準備を行いながら念入りに確かめた今となっては、やはり感じられるわけがないと思い直すソフィであった。


 しかし異変が生じたのは、まさにこの後の事だった。


 ――『透過』、時空干渉(じくうかんしょう)領域。


 シギンは透過という『魔』の概念技法によって、過去にこの身体に対して行われた『隠蔽』や『歪曲』を『時間術』を用いて正しく反映させる為に、この身体のあらゆる機能を正常範囲に戻し直して世界に示し始める。


 しかしここでシギンは、僅かに驚いたような表情を浮かべた。


「ほう……? 過去に私が一度だけ行ってみせた『透過』からすでにコツを掴んでいたか。ふふ、神斗もなかなかやるじゃないか!」


 突然にそんな事を口にし始めたシギンを見たソフィは、訝しそうにしながらも『魔力感知』で神斗の身体から魔力反応がないかを確かめ続ける。


 そして口元に自分の指を持っていきながら、再び呟くように口を動かし始めた。


 ――『透過』、魔力干渉(まりょくかんしょう)領域。


 シギンはどうやら再び『透過』を使い始めたようだが、今度は先程の『透過』とは異なり、()()()()を行うモノではなかった。


 一度目の『透過』でシギンは、この神斗の身体に仕掛けられていた『魔』で行われた隠蔽技法を浮き彫りにさせたのだが、本来であればそのまま隠蔽が解かれて隠されていた『部分』が表に出て来るはずだったが、この『魔力』の隠蔽を行ったとされる者は、更に浮き彫りにされた後の事を考えていたのだろう。シギンがこの場で用いたモノと全く同じ『時間術』を利用した『透過』が用いられて、隠蔽を解除した瞬間に発動する仕組みを用いていたのであろう『透過』が、シギンの『時空干渉領域』の透過に更に干渉してきたのであった。


 そしてその新たにシギンに向けて行われた『透過』に対して、今度はシギンが『魔力干渉領域』の『透過』で再度相殺したというわけである。


 ――単純に同じ『魔』の概念領域技法を用いられた場合、やはり『魔力値』が高い者の方が優先されるのは自明の理である。


 世界を欺く程の神斗が用いた高位の『魔』の歪曲技法や、隠蔽技法であっても、この妖魔召士シギンがそう簡単に負ける筈がない。


 神斗が煌阿に気づかれないように、幾重にも厳重に張り巡らせた『魔』の技法は、シギンの手によって全て明るみに出される事となった。


「むっ、これは……!?」


 そして全ての隠蔽と時間による歪曲(わいきょく)を元通りにされた後、ずっと『魔力感知』を行っていたソフィにも『神斗』の隠されていた『魔力』が感知出来るようになるのであった。


 ……

 ……

 ……

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