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1915.鵺達の暗躍と王琳の考察

 耶王美の案内で妖狐の隠れ里にソフィ達が辿り着いた頃、今回の会合の場を用意した妖狐族の長である王琳は、煌阿が乗り移っていた神斗の死体の前に立っていた。


「……」


 王琳は腕を組んだままで、じっと神斗の身体を見続けている。


 その彼の視線は、故人に向けるモノにしては全く適しているものとはいえず、悲しんでいるようにも見えない。


 彼はこの無残な状態の神斗の死体を前にして、何かを確かめているような視線を向けていた。


 そんな王琳の耳に小さな足音が聞こえてくる。


 ――その足音の正体は、王琳と同じ妖狐にして四尾の『肆聖(しせい)』であった。


 肆聖は王琳の背後にまでやってくると、その足をピタリと止めた。


「見つけたか?」


 神斗の死体を見つめたまま、すでにその足音の正体が肆聖であるという事に気づいている王琳がそう口にするのだった。


「はっ! どうやら我々の行動に気づき、こちらから使者を送る前にはもう、根城に居る者達全員が『結界』を展開しつつ移動を行っていたようです」


 王琳の言葉に報告に現れた四尾はそう答えたのだった。


「やはり全ては計画だったか。どうやら煌阿も上手く利用されたようだが、狙いはやはり俺か?」


「その線で間違いないかと……。それが証拠に奴らは王琳様が耶王美お姉さま達に指定した場所に向かっております。お姉さまの千里眼で確かめたわけではなく、私の眷属を使って確かめたものである為、まだ確証はまだ持てていませんが……」


 何処か申し訳なさそうな表情でそう報告を行う『肆聖(しせい)』だった。


「それも仕方あるまい。どうやら奴らの『魔』の概念理解度は俺より上らしいからな。まぁ首謀者は妖魔召士の身体を使ってソフィ達の元へ向かったようだが、今頃はどうせ『()()()()()()()()()()()()()()()()、ソフィの奴にやられてしまっている事だろう」


「では『()』たちはその首謀者がやられる事を知った上で行動を取っているのですか?」


 肆聖は少し意外そうな表情を浮かべながら王琳に尋ねると、そこでようやく王琳は後ろを振り返って肆聖の顔を見ながら口を開くのだった。


「本当の首謀者は『翼族(よくぞく)』や『本鵺』の連中ではなかったのかもしれんがな」


「どういう事でしょうか?」


「これはどうやら壮大な計画を打ち立てていたようだが、まさか奴らもソフィという不測的な存在が現れるとまでは想像していなかったらしい」


 王琳は肆聖の疑問には素直に答えなかったが、ソフィという者の名を出した事で非常に嬉しそうな表情を浮かべていた。


「つまり()()()鹿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()というところだろうな。狙いは煌阿(こうあ)を上手く利用して、自分が山に戻る頃には妖魔神として君臨しようという腹積もりだったようだが、全てが計画通りというわけにはいかなかったようだな」


 肆聖はその計画立案者が誰であったかの興味はすでに失っていたが、その計画の為に自分の主にまで危害を加えようとした『鵺』達に殺意を抱き始めたようであった。


肆聖(しせい)、ご苦労だった。俺達も例の場所に向かう」


「ははっ!」


 肆聖は王琳の言葉に恭しく礼を取りながら返事をする。


 ――王琳に頭を下げた事でその表情が見えなくなった時、肆聖は邪悪な笑みを浮かべるのだった。


 それはいくら鵺達が束になってこの山の支配者になろうとしようが、こうして自分の主が本気で動く事になった以上は奴らが何を考えようと、その全てが終わりだと言わんばかりの笑みであった。


「おっと、お前には悪いんだが、もう一つ頼み事をしていいか……?」


「なんなりと」


 王琳から悟られないように表情を元に戻しながら顔を上げた肆聖だったが、そんな肆聖はこの後に複雑な表情を浮かべる事になる――。


「神斗殿の死体を()()()()()()()()()()()?」


 ――大事な主にそう命令されたからである。


 ……

 ……

 ……

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