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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1898/2219

1881.エヴィの持つ契約の紋章の力

「やはりこの空間の中は何処まで行っても終わりがないようだ……。あのシギンという妖魔召士の人間も私たちと同様に『結界』の内側に閉じ込められているようだが、これだけの規模の『結界』を煌阿(こうあ)殿がいくつも同時に展開する事が出来るとは思わなかったな……、ん? どうしたのだ、エヴィ?」


 妖魔山の頂付近で煌阿によって展開された『空間』の中に閉じ込められた耶王美が、この場所と同じように閉じ込められているシギンの話をエヴィに聞かせていたところ、何やら彼が唐突に手元を見つめながら震え始めた為に、耶王美はエヴィを心配して声を掛け始めるのだった。


()()()()()()()()()()()。直ぐに行かなきゃ……」


「はっ……? 黒羽が……? し、しかし我々は煌阿殿のせいでこの『空間』の内側に閉じ込められているんだぞ? お前の黒羽と会いたいという気持ちは痛い程に分かるが、煌阿殿が戻ってこなければ、我々は簡単には外には出られ……!?」


 この『空間』の事を忘れたのかとばかりに、耶王美がその事を口にしようとしたが、その言葉を最後まで言い切る前に、彼女はエヴィの姿に目を奪われてしまい押し黙るのだった。


 何と大魔王エヴィが『金色』のオーラに包まれた瞬間、耶王美はこれまでの彼とは比較にもならない『魔力』をエヴィから感じられたのである。


 そして今の目の前のエヴィは間違いなく、()()()()()()()()()()()()()()()と本能で理解が出来るのだった。


 そのまま大魔王エヴィは右手を何もない空間の方へ向けて出すと、静かに『魔法』を発動させる為の『魔力』を集約し始める。


 エヴィの右手が『魔力』に包まれると同時、そちらに顔を向けたままでそっと左手を耶王美の方に翳す。どうやら『魔法』の余波を耶王美に向けさせないようにと考えたのだろう。


 ――()()()()()()、『()()()()』。


 ――魔神域魔法、『普遍破壊メギストゥス・デストラクション』。


 そして静かにエヴィの口元が動いたかと思うと、次の瞬間には恐ろしい程の光がこの場を包み込んだ。


 次に爆音が遅れて鳴り響き、咄嗟に耶王美は片目を瞑りながら両耳を手で覆うように隠す。


 その耳を塞いだ姿勢のままの耶王美は、その片目でしっかりと何が起きているかを判断しようと目を凝らして見上げる。


 何と耶王美の居る場所だけが、緑色の光の膜に覆われて無事だが、その膜の少し外側では空間にみるみる内に亀裂が入っていき、あちらこちらでパリン、パリンという鏡が割れたような音が響き渡っていく。


 そして次の瞬間には、局所的に割れていた音が同時に重なったような、一際大きな硝子が割れる音と共に『妖魔山』の景色が、耶王美の片方の開けている目の前で広がっていく。


 無機質であった空間が割られて消え去った後、慣れ親しんだ山の匂いが耶王美の鼻孔を擽る。そしてぴくぴくっと狐耳を動かしながら、耶王美はゆっくりとその場で立ち上がった。


 立ちこめていた煙が消え去り、耶王美は辺りの景色を一度見渡した後、目の前に立っている()()()()()()()()()()()()に視線を向けた。


「わ、私達は外に出られたのか……?」


 これまで発していた『金色』の光を消したエヴィが、彼女の方を見て静かに頷いて見せる。


「ああ。ソフィ様が僕に力をくれたんだ。そしてソフィ様は僕に今すぐに来るようにと仰られている。だから僕はもう行かなきゃ。出来れば君には僕と共に来て欲しいんだけど、どうかな……?」


 この場所に閉じ込められていたというのに、あの黒羽がどうやってエヴィに力を貸したのだろうかなど、色々と疑問に思う事が多くあった耶王美だが、目の前の不安そうに瞳を揺らしながら自分を見ている同類の表情に、それらの疑問の全てをひとまずは呑み込んで返事をしようと口を開いた。


「あ、ああ……! も、もちろん私もお前と共に行くさ。それに王琳様も同じ場所に居るだろうしな」


 耶王美がそう告げると、エヴィは一度だけほっとしたように息を吐き、その後に非常に嬉しそうな笑顔を彼女に向けるのだった。


 ……

 ……

 ……

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― 新着の感想 ―
久々に契約の紋章に触れた話がでてきたけど、もはやこれは一種の加護的なものなのだろうか?これはもはや大魔王の加護とかそういうもので片づけてはいけないレベルの話が気がする・・・やはりソフィの前世はどこかの…
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