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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1891/2220

1874.妖狐達の新たな監視対象

 神斗の身体を乗っ取った煌阿の命令により、この山に居る人間達を狙い攻撃を行ってきた禁止区域に存在する妖魔であった『本鵺(ほんぬえ)』と『悪虚(あうろ)』の二体が、ミスズやエイジ達の手によって早々と返り討ちに遭い息絶えるのだった。


「お、お前達、何をしている!? こうなったら誰でもいい! 残っている全員で誰でもいいから一匹を狙って確実に仕留めてしまえ!!」


 ミスズ達を取り囲んでいた大勢の妖魔達に向けて、この場のリーダー格の一体であった『吏伊賀(りいが)』が慌てて命令を下したが、その命令の言葉が引き金となったかの如く、全員が一斉に白目を剥いて倒れ伏せるのだった。


「なっ!? なにがっ……!?」


 この場にまだまだ十体以上は居た筈の禁止区域の妖魔達が、あっさりと自分だけを残してやられたのをみた『吏伊賀』は驚きの声をあげながら周囲を見渡す。


「どうやら俺達を取り囲んでいた連中は、お前達三体に比べれば遥かに戦力値で劣る者達だったようだな」


 いつの間に『吏伊賀』の背後に回っていたのか、妖魔退魔師の総長であるシゲンは、抜き身の刀を彼に向けながらそう告げた。


 ぽたり、ぽたりとそのシゲンの刀から血が滴っているところをみると、どうやら取り囲んでいた妖魔達は彼がたった一人で仕留めた様子であった。


「に、人間風情が、調子に乗るっ――なっ」


 ひゅおっという軽い音が周囲に聞こえたかと思うと、ぷつりと『吏伊賀』の首に線が入って、スライドするように綺麗な断面を作りながら切断されて落ちていくのだった。


 シゲンは落ちた吏伊賀の首を見ていたが、やがてその吏伊賀の目に色が消えたところで死に絶えたのだろうと判断して刀を鞘に納めるのだった。


 …………


「い、いつの間にあれだけの妖魔を仕留めたというのだ!?」


「わ、分からぬ……。そ、それどころか、最後に会話を交わしておった『妖魔の奴』の首が落ちる寸前まで、何をしたのか気付かなかったぞ!?」


 赤い狩衣を着た『守旧派』のコウエンの同志であった妖魔召士たちも、口々にシゲンの動きが見えずに何時仕留めたのかと話し始めるのだった。


 そんな声を別々の場所で聞いていた『イツキ』と『ウガマ』が、互いの胸中でシゲンへの反応を示していた。


(予備群の俺に見えたのはシゲン殿の青く輝く身体が、戦場を泳ぐように移動していったところだけだった。しかし俺達が纏う『青』よりも、どこか()()()()()()()()()()()に見えたのは、単に俺の見間違いだったのだろうか?)


 イダラマの護衛をしているウガマは、元本部付けの予備群であり、妖魔退魔師には劣るがそれでも天色の『青』を纏えるだけの力量を有している。そんな彼は妖魔召士達には見えなかったシゲンの動きをある程度は追えた様子であったが、その動きの最中に見せた『青』のオーラに違和感を少しだけ感じ取れたようであった。


(禁止区域に生息する妖魔達を相手に『金色』すら纏わずに圧倒するか。ま、俺を相手に余裕すら見せていたんだから、当然といえば当然なのかもしれないが……。明らかに今の動きでもランク『9』は有りやがるようだ。本当に底が見えない野郎だ。どいつもこいつも乗り越えがいのある強い者達ばっかりで嬉しい限りだぜ、全く……!)


 妖魔退魔師でも予備群ですらない、退魔士である筈の『イツキ』は、流石に『金色の体現者』だけはあり、守旧派の妖魔召士達には追えなかったシゲンの動きをしっかりと捉える事が出来ていたようであった。


 そしてシゲンの動きをしっかりと捉える事が出来ていた彼は、ふつふつと湧き上がる感情に、右手で胸を押さえながら口角を上げて笑みを浮かべるのだった。


 …………


七耶咫(なやた)様、結局私達は何もする必要がなかったですね」


「ええ……。だけど今後にやるべき事は出来たわよ?」


「それはこいつら人間達の監視ですね?」


五立楡(ごりゆ)六阿狐(むあこ)。貴方たちも油断だけはしちゃだめよ? 他の人間はそこまででもないけど、あの吏伊賀(りいが)を仕留めた人間だけは私にも底が見えない。下手をすれば私でも危ないかもしれない」


 この場で人間達の側に付くようにと王琳(おうりん)に命令されていた妖狐達は、今の人間達の妖魔との一連のやり取りを見て静かに会話を交わしながら、自分達の主の障害になりそうな者達の目星をつけ始めるのだった。

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