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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1886/2220

1869.遂にソフィ達の元に現れる煌阿

「ほう? 『本鵺(ほんぬえ)』に『悪虚(あうろ)』に『吏伊賀(りいが)』。それにお前らの同族の『鵺』や『狼人』も勢揃いか。それで何の用だ?」


 この場に現れた妖魔達によって向けられた敵意に対して、彼はどういうつもりだと問いかけている段階であり、王琳自身は戦闘態勢はおろか、殺意などもいっさい抱いていない状態である。


 そうだというのにむしろ襲ってきた相手側の妖魔達の方が、額に脂汗を流しながら追い込まれているような表情を王琳に見せているのだった。


王琳(おうりん)殿、我々は神斗様の命令でこの場に現れたのです。貴方や妖狐達に危害を加えるつもりはない。そこに居る人間達に用があるだけです。出来れば何も言わずにこの場を去って頂きたい。それがお互いの為かと――」


()()。この者達は俺の大事な客だ。分かったらさっさと神斗殿に伝えてこい」


 王琳に悪虚(あうろ)と呼ばれていた手足の長さが歪に異なっている妖魔が、最後まで言い終わる前に彼は被せてそう告げるのだった。


「それは出来ない相談だよ、王琳殿」


「何……?」


 今度は王琳の目に怯んだ『悪虚(あうろ)』の代わりに、ひょう、ひょうと鳴き声を上げていた『本鵺』が人型となって声を掛けてくる。


「これは妖魔神である神斗様によって正式に出された命令だ。我々だけではなく、次から次に山に生きる妖魔達がそこの者達を襲うであろう。それこそがこの山のルールであり摂理だ」


 その言葉に浮かべていた笑みを消した王琳は、やれやれとばかりに小さく息を吐くと、次の瞬間には殺気を纏わせ始めるのだった。


()()()()()()。今すぐに神斗殿に伝えに行け。さもなくばお前らをこの場で皆殺しにするぞ?」


 そう告げた王琳が殺気だけではなく、オーラを纏い始めた次の瞬間には、取り囲んでいた妖魔たちが白目を剥いて倒れ始めるのだった。


 流石に王琳から直接通告を受けた『本鵺(ほんぬえ)』『悪虚(あうろ)』『吏伊賀(りいが)』の禁止区域を生業とする妖魔達だけは、しっかりとその意識を保っていたようだが、それでも非常に辛そうな表情を浮かべていた。


「同じこの山に生きる仲間達にそんな事を言うなよ、王琳」


 ――王琳がオーラを纏い殺意を漲らせた瞬間、何もない空間から突如として『神斗』の見た目をした『煌阿(こうあ)』が出現するのであった。


「「神斗様!」」


「お前は……」


 神斗の姿をした煌阿を見て、本鵺や悪虚たちが嬉しそうに神斗の名を呼び、王琳は訝しげにその神斗の姿をした煌阿を睨みつけるのだった。


 …………


 この場に突如として現れた『神斗』の姿をした『煌阿』を睨みつけていたヌーだったが、ちらりとソフィを一瞥した後にゆっくりと彼の元へと近づいてくる。


「おい、ソフィ。あいつがどうやら話に出てきた『神斗(こうと)』って野郎のようだぞ」


「どうやらあやつらの反応を見るに、間違いなさそうだな……」


 先程まで王琳と会話を行っていた妖魔達が、現れた存在の事を『神斗』と呼んでいるのを見て、奴がウガマ達の話に出てきたエヴィと戦っていた『存在』なのだとソフィも判断したようであった。


 …………


「その『魔力』は……? お前、まさか――」


「王琳、お前の相手は後だ」


 王琳が煌阿に対して何かを口にしようとしたが、煌阿はそれを無視してぴしゃりとそう言い放った。


「そこに居る人間共、お前らの中の誰が『帝楽智(ていらくち)』達を殺った?」


 王琳が最初に溜息を吐きつつソフィを見ると、他の者達もソフィの居る方に視線が向いた。その一同の視線を集めているソフィを見て、煌阿もにやりと笑って見せる。


「ほう、お前が()()()()で合っているか?」


「お主らの間でどのような噂があるのかは知らぬが、確かに天狗共の相手をしたのは我だ」


「いいだろう。どうやら耶王美が言っていたのはお前の事のようだな」


 山の頂で耶王美と交わした会話を思い出しながら、狙いをソフィに合わせた煌阿であった。


「我からもお主に質問がある。お主はエヴィと戦ったようだが、エヴィは無事なのだろうな?」


 煌阿はそのソフィの質問に首を僅かに動かしながら、何を言っているのか分からないという表情をした。


「青髪で人間の少年くらいに見える年齢の者だ」


「お前の名は?」


「ソフィだ」


 そこで煌阿は、ようやく合点がいったとばかりに頷いて見せる。


「お前の言うエヴィとかいう青髪のガキと俺は直接戦ってはいないが、居場所はよく分かっているぞ」


 ウガマ達との会話とは少し異なる言葉が返ってきたが、居場所を知っているのであれば、ソフィも目の前の存在を見逃すつもりはない。


「何処だ……?」


「そのガキは俺の大事な耶王美と仲睦まじく話をしていてな、目障りだったから閉じ込めておいた。お前らを片付けた後に、じっくりと痛めつけてやろうと思ってな」


 その言葉にソフィの目から色が消えた。


「余計な事を考えずに、このままエヴィの元へ案内しろ」


「お前、誰に命令しているつもりだ? ()()()()()()』や天狗共をやったくらいで調子に乗っ……」


 ――次の瞬間、最後まで言い切る前に煌阿は、ソフィに顔を殴り飛ばされて岩壁に激突する。


「「神斗様!!」」


 本鵺達が大きな声を上げると同時、ソフィ達を取り囲んでいた妖魔達が戦闘態勢に入るのだった。

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― 新着の感想 ―
うわぁ、この小説の中でも殺す事に近いレベルで明確に地雷を踏みぬいた・・・こいつ死んだわ(予定調和
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