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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
冒険者ギルド支部編

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182.ユファ・フィクス

※加筆修正を行いました。

 戦争を仕掛けてきた『ラルグ』魔国を『ケビン』王国が返り討ちにした事で『ヴェルマー』大陸の領土を得ようとしていたが、目の前にいるソフィが『ヴェルマー』大陸に冒険者ギルドを設立する事と、()()()()()()()を提示する事で今まで通りの暮らしを約束するとソフィは口頭でまとめた。


 すでにこの条件を呑んでいるラルグ魔国の元フィクスの『レルバノン』に、レイズ魔国の女王シス、そしてレイズ魔国のフィクス『ヴェルトマー(ユファ)』。更にトウジン魔国の次代の王と称されていた『シチョウ』。


 三国の重鎮がこの条件を呑んでいる為に、その場にいる誰もが反論をしなかった。


 但し、彼らはもう一つの条件というのが何か気になると言った様子でソフィを見ていた。


「もう一つの条件は『レイズ』『ラルグ』『トウジン』の代表となる『王』の存在を我に決めさせてもらいたい。そして我が三国の相談役として、それなりの発言が出来る地位に立つ事を認めてもらう事が条件だ」


「!!」


 それはレイズ魔国の民達だけではなく『シチョウ』や『シス』、そして『レルバノン』も驚きを見せた。


 再びざわついた場だが、先程までのように野次めいた発言は一切なかった。


 ユファが腕を組みながら会議室を見渡すように立ち『意見や反論はあくまでソフィの言葉の終わりにだぞ』とばかりに、ユファの目が訴えていたからであった。


「この国の王に『シス』、フィクスの立場に『ユファ』。レイズ魔国に関しては、今まで通りに国を治めて立て直してもらいたい」


 国情勢について取り決めをする時のソフィは、普段の真面目さに輪をかけて一層厳格な様子だった。それは統治に関してソフィが決して、手を抜かないという決意の表れであった。


「ラルグ魔国とトウジン魔国に関しては、その国の者達がいるところで再び話そうと思うが、決めている事はラルグ魔国の王に『レルバノン』、そして『トウジン』の魔国王に『シチョウ』がついてもらいたい」


「なっ!?」


「な、何だと?」


 レルバノンとシチョウが同時に驚きの声をあげる。ソフィはそこまで話し終えると一歩下がった。


 ここからは議論等をする場だとソフィの動作で示した促しであった。


 ユファはその様子に頷きを見せると口を開く。


「ここからは疑問や質問等があれば、直接ソフィ様に挙手するも自由だ。だが、レイズの民として節度を持って質問するように!」


 凛とした彼女の透き通った言葉が、会議室に隈なく響き渡った。


 傍聴をしていた者達が顔を見合わせていたが、やがて一体の女性の魔族が手を挙げた。


「どうぞ」


 ユファがその魔族を一目見て少しだけ眉を寄せたが、一呼吸おいてから発言を許可する。


「本題の質問の前に、貴方に確かめたい事があるのですが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 真っすぐにユファを見据えるその目は『ヴェルトマー様のなりすましであれば何があろうとこの場で殺す』と訴えていた。


 彼女は前時代の『魔法部隊』の『エルダー・トールス』が、魔法部隊副長を務めていた時代に『エルダー』の部隊に所属していた魔法部隊の魔族で『レドリア』という名だった。


 ユファは当然この質問者である『レドリア』の事は知っている。


 だが、あえて彼女はここまでレドリアと馴れ合う事はなく、他のレイズ魔国の民達と同じように接して見せていた。


 ――しかし。


「ええ、私は『ヴェルトマー・フィクス』……だった者だけど、先程ソフィ様に任命されて新しくこの国のフィクスとなった『ユファ・フィクス』よ。これで満足かしら? ()()()()?」


「!!!」


 何故ヴェルトマーの姿が変わり、ユファと名乗っているのかという疑問は残ったが、そんな事はレドリアにはどうでもよかった。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 それは『ユファ・フィクス』が、『ヴェルトマー・フィクス』である事を決定づけた。


「う……っうう! よ、よくぞご無事で、ヴェルトマー様ぁっ……!!」


 レドリアはヴェルトマーの無事を知りその場で泣き崩れた。


 その様子に他のレイズ魔国の民達も(むせ)び泣いた。


 ――『ヴェルトマー・フィクス』という魔族の影響力は、何千年という歴史にさかのぼる。


 それこそヴェルトマーとシスの為に数千という『魔族』が、老いも若きも考えを一つに()()()()()()()()()()()()()()


「全くもう! レドリアも……、皆も私が生きていただけで大袈裟なんだから!」


 顔を背けながら溜息を吐くユファだが、顔を赤くしているのを隣に居たシスは見逃さなかった。


(内心では凄く嬉しい癖にね、ヴェルは本当に照れ屋さんなんだから……)


 ふふっ、とシスは笑みを一つ。


 ユファはそんなシスの表情を見て口をあんぐりとあけたかと思うと、慌てて追及を避けるように、シスから完全に顔を逸らすのだった。

※実はユファは照れやすく、自分に向けられる好意に弱いのです。


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