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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1870/2222

1853.煌阿の特異の秘

 シギンとの会話を終えて洞穴を出た煌阿は、そのまま森を出ると違う洞穴へと『空間魔法』を用いて移動を開始するのだった。


 …………


 今の煌阿は自身の『魔力』の高さも相まって、人間の妖魔召士である『卜部官兵衛(うらべかんべえ)』と『シギン』という世代での最強と呼ばれた妖魔召士との直接の戦闘を行った事で、更に『魔』の理解者としての経験を得る事が出来ていた。


 特にその得たモノの大きさで一番と呼べるものが、今も移動に利用している『空間魔法』を自在に操る事が出来るようになった事だろう。


 単に移動だけではなく、戦闘面においても相手を一方的に『結界』の中へと閉じ込める事も可能であり、これは人間の妖魔召士達や、神斗のような『魔』の理解者達の使う『結界』より遥かに効率よく使う事が出来る。


 ――そして何よりもこの『空間魔法』を利用するのに必要な『(ことわり)』の存在が非常に大きい。


 主に『空間』そのものを利用した『結界』を作り出す事に重点を置きがちだが、この『理』から生み出される事象で一番影響の大きいものは、その『結界』の根本となる『効力時間』を術者の任意に変える事にあるともいえるだろう。


 この『(ことわり)』をこのノックスの世界で扱えた者は、これまでの歴史でたった三名。


 その原初の存在が人間である『卜部官兵衛(うらべかんべえ)』。


 そしてその『卜部官兵衛(うらべかんべえ)』の直接の血筋である『シギン』。


 その両名と直接手を合わせる事で『(ことわり)』の理解者となった『煌阿』。


 この三名だけが『空間魔法』やそれに準じた『結界』に、距離を応用した『移動術』、そして『魔』の技法や式札といった呪符の『魔』の効力の時間を任意に持たせる『時間術』を操る事が出来ているわけだが、この三名の中でもそれを完璧に扱えた人物はやはり原初の『卜部官兵衛』ただ一人であろう。


 シギンはこの『(ことわり)』から生み出された『空間魔法』に関しては『移動術』に特化しているが、同じ『(ことわり)』から生み出された卜部官兵衛の『空間魔法』の『結界』に関して直接の解除が行える程の理解はまだ出来ておらず、また『(ことわり)』そのものを利用した『時間術』に関してもそういったモノがあるという認識しか持っておらず、自在に操るまでには理解が及んでいない。


 そして直接的に『(ことわり)』を生み出したわけではなく、卜部官兵衛とシギンという両人間と直接戦った経験から、自身の『金色の体現者』としての『特異(とくい)』を利用して、この『空間魔法』そのものから『(ことわり)』を会得に至った煌阿が、前者二人の一番優れていたといっていい技法の『移動術』と『時間術』を我が物とすることになってしまった。


 いわば煌阿の『特異』が反則的なまでに強力すぎた事によって得た結果なのだが、シギンにとってみれば自分を幼少の頃から悩ませてきていた『魔』の疑問に対して、他者から強引に解を奪われたように感じられるだろう。


 何よりその奪われた張本人である『シギン』が、まだ『卜部官兵衛(うらべかんべえ)』の『時間術』に関しての理解が及んでいないというのに、もう煌阿は中途半端な理解のままで、その領域に至らしめてしまっているのである。


 もちろん長い目で見れば、中途半端な理解度の煌阿よりも筋道通りにしっかりと一つ、一つ理解を終えていく者の方が『魔』に厚みを増す事も可能かもしれないが、煌阿以外のこの『(ことわり)』を会得しているシギンは人間である為に、その完璧な状態に辿り着く前に寿命を迎えてしまう。


 煌阿の相手の『魔』を奪うと呼べるこの『特異』は、純粋にその奪った相手の『魔』の技法の八割程でしかない。しかしそれでも会得そのものが非常に困難な筈の『空間魔法』を八割程とはいえ、使いこなす事を可能とするのならば、理解が出来ていない者に比べれば十分過ぎる程である。


 つまりは即戦力となる強い部分だけを上手く取得出来ていて、元々の『魔力』そのものが高い煌阿が他二人よりも秀でているといえてしまうのだった。


 …………


「さて、耶王美を閉じ込めている『結界』への干渉を施す『封印式札』も()()()()()()()()()()


 煌阿はそう言うとシギンの居る洞穴からそれなりに遠い、別の洞穴の中に吊るしてあった『封印式札』に何やら『魔力』を用いると、何と次の瞬間にはその札を自らの手で破り捨ててしまうのだった。


「これでいい……。当面はこの山の妖魔共を手懐けるのに忙しいからな。まぁ、ここまでせずともあの女が卜部の『結界』を打ち破れるとも思えぬが、()()()()()だ」


 そう言って乗っ取った神斗の顔をした煌阿は、誰も居ない洞穴でニヤリと笑みを浮かべるのだった。

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