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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1841/2219

1824.神斗とシギンの対談

「何か飲むかい?」


「……」


 山の頂にある妖魔神の神斗が建てた小屋の中へと通されたシギンだが、促されるままに椅子に座らされた後に何やら飲み物を勧められる。


 寛ぐつもりできたわけではないシギンは、首を横に振って丁重に断りを入れるのだった。


「神斗、悪いが俺は人を待たせてきている。ここへ来た理由はお前にこれまでの説明をしっかりしておかねば、今後いつまでも追ってきそうだと考えたからに他ならない」


 シギンがぴしゃりとそう言い放つと、少しだけ神斗は残念そうに表情を曇らせた。


 どうやら神斗は『悟獄丸(ごごくまる)』を葬ったであろう存在が目の前のシギンだと正確な認識は持っているようだが、それでも邪険に扱うつもりはないようで、久々の客人としてもてなすつもりでさえいたらしかった。


「そうかい……? じゃ、仕方ないな。では色々と聞かせてもらおうかな」


 …………


 シギンは山の頂で神斗達から離れた後、追ってきた悟獄丸をその手で葬った事、洞穴に封印されていた『煌阿』の事や、その『煌阿』を封印の『結界』を施したのが自分の祖先であった事、更には『煌阿』がそろそろその『結界』を破って外に出てきそうだと考えた彼が何年にも渡ってこの山に潜伏しながら監視と他の妖魔達に対して認識阻害をさせるために新たに洞穴に『結界』を施していた事など、これまでシギンが妖魔山で行ってきた事に関して神斗にしっかりと全て伝えるのだった。


「そうだったのか……。とある時から突然に姿を消したから『煌阿』が何者かにやられたのだろうとは私も悟獄丸も考えていたのだが、君が阻害させるような『結界』を張ったあんな場所に何百年も封じられていたというのは驚きだったよ」


 それもあの洞穴のあった場所は、人間達が『禁止区域』と定めている場所の中にあり、当然にこの神斗を含めたランク『10』とされる妖魔達が蔓延る中心地と呼べるようなところだったにも拘らず、彼を含めた誰もがあの洞穴の存在に気づけなかったというのだから、この人間が如何に規格外の『魔』を操る妖魔召士なのかを改めて知る事になった神斗であった。


「悟獄丸の事を先に言及されると思っていたが、まず煌阿の事を聞いてくるとはな。どうやらお前は俺が思っていた以上に冷静な男だったようだな」


 そう言って腕を組んだシギンは、椅子の背もたれに深く腰掛け始める。そうした意図は、彼が神斗に対して想像以上に話が出来る男だと認めたからでもあった。


「そうだね……。今はまだ片付いていない事が多く残っているというのも理由に挙がるけど、何より過ぎ去ってどうしようもない事をいつまでも想っていられないというのが本音かな。君は短命な人間だから分からないだろうけど、私たちのように何百年、何千年と生きている長寿な生き物はね、もう親しい者や大事な者達を多く失い続けてきてしまっていて、どうしようもなくなってしまった事に対していつまでも考えていられなくなっているんだ。そういう事を考える頭の感覚が、すでに麻痺してしまっているのかもしれないね」


 その神斗の言葉は、何処か彼自身でも思い直したいと考えていたが、どう手を尽くそうともどうしようも出来なかったと後悔しているようにもシギンには感じられた。


 百にも満たぬ寿命を生きるシギンには、その神斗のこれまで長年抱いて生きてきた葛藤や、後悔というものを理解出来るわけもなく、否定や肯定すら許されないと判断して沈黙を続けた。


「まぁそれでも、悟獄丸の仇の一つくらいは取っておいてもいいかもしれないと思って追いかけた矢先に、まさか煌阿がその姿を見せる事になるなんて、夢にも思わなかったけどね」


 そう言って何処か遠い目を浮かべ始めた神斗に、少しだけシギンは気になり始めた事を口にするのだった。


煌阿(こうあ)……といったか、あの妖魔はお前の事を『翼族(よくぞく)』と口にしていたようだが、お前と奴とはどういう関係があったのだ?」


 シギンがそう神斗に尋ねると、彼は苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべた後に目を伏せた。どうやら彼には聞かれたくない事の一つであったようである。


 ……

 ……

 ……

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