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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1840/2219

1823.再び山の頂へ

 やがて煌阿(こうあ)の事についての思案を終えたシギンは、天狗族達がどうなったのかを確認する為にウガマ達と別れた場所に向かおうと考え始めた頃だった。


「どうやら、終わったようだね?」


「神斗か……」


 煌阿との戦闘中に姿を消していた神斗が、再びシギンの前に現れて声を掛けてきた。


 どうやら『次元の狭間』から出てくる時を『魔力感知』を行いながら待っていたのだろう。


 神斗程の『魔』の理解者であれば、次元の狭間といった作られた空間に入り浸りでもしない限りは、僅かな『魔力』であっても感知が行える程には感知に長けていたようだ。


 シギンは神斗を確認すると、再び『結界』を強固に展開し始めると同時に『二色の併用』を纏い始める。


 しかし戦闘態勢を取り始めたシギンに対して、神斗は両手をあげながら首を横に振って戦う意思がない事を示し始めた。


「少し私と話をしないか?」


 ……

 ……

 ……


 神斗の目を見たシギンは、本当にこの場で戦うつもり意思はないと判断して、言われるがままに再び山の頂へと向かうのだった。


 神斗とは煌阿と戦った時の半分程の力で、どうにでも出来る実力差があると断言出来るシギンだが、それでも『透過』に関しては、決して捨ておくには侮れないくらいには神斗を認めているが故に、この後の事を考えれば少しくらいは話に付き合っても構わないと考えたようだった。


 山の頂にある神斗が建てた小屋に移動したシギンは、近くの大木から今の居る小屋までの『結界』の規模を確認するように視線を這わせた。


「気になるかい? でも安心して欲しいな、別に君を騙そうとしてここに連れ込んだわけではないからね」


 どうやらいつまでもシギンが小屋の中に入らずに、この山の頂に張ってある『結界』を調べていたであろう事に気づいた神斗が、いつの間にかシギンの隣に立ってそう言葉を掛けてくるのだった。


「ああ……、別にそんな心配をしていたわけじゃない。お前が前に言っていた通りに『透過』以外の『魔』の概念にもしっかりと力を入れているようだと、この『結界』を見て少しだけ感心していただけだ」


 この『結界』を七耶咫(なやた)の中に入っていた時にも少しだけ意識をしていたシギンだが、改めてこの『結界』が想像以上に優れているものであることに気づいたようであった。


 ――どうやら煌阿の居た洞穴にシギン自身が張り直した『認識阻害』の『結界』と、ここに張られている神斗の『結界』が、そこまで遜色がない程の『魔』の領域だったようである。


 素直に『魔』に関しての事で褒めてきたシギンに、神斗は目を丸くして驚くのだった。


「まさか上空であれだけ私を見下していた君が、こうして素直に褒めてくれると思わなかったよ」


「別にそんなつもりはなかったのだがな。俺は別にお前だけではなく、仲間や他の妖魔召士達に対してもこのような態度をとっている。だが、お前にそう聞こえたのなら謝罪をしよう」


 神斗はそのシギンの言葉にまたもや驚く事となった。


(前にここで対峙した時とは別人のようだ……。こんな短期間でここまで印象が変わる人間は珍しいな。煌阿との戦いで何か意識が変わったのか? いや、そもそもが最初から私の偏見だったのかもしれないな)


 別にシギンと親しかったわけではなく、単に数度の会話と殺し合いを通じて勝手にシギンという人物像を描いていた神斗は、その現実の印象を受けて改めて乖離していた真実に目を向け直すのだった。


 実際にシギンは特別に神斗を見下していたわけではなく、自分の『魔』に対しての疑問への解答の糸口に関与しない出来事には興味を持てず、また長年一人で過ごしてきた事も相まって、他者に対しての思いやりなどが少しばかり欠如してしまっているだけの事なのであった。


「ま、まぁいいよ。ここに張ってある『結界』は君なら直ぐに気づいたと思うけど、単なる認識阻害の役割と、少しばかり外からの攻撃に対しての軽減を付与させてあるだけだよ。それ以外には別に特別なものはない。さぁ、中にどうぞ」


 そう言って小屋の中に促す神斗であった。

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