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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1757.大魔王ソフィと、力の魔神の関係性

 大魔王ソフィの詠唱によって顕現した『力の魔神』に驚いているのは『邪未』だけではなく、現時点で座汀虚(ざていこ)の代行として、再び最高司令官の座に戻ってきた『華親』に、天狗の首領である『帝楽智』も同様であった。


 神々しさを見せてその存在を是とするかの如く顕現している『魔神』の姿は明らかに人間どころか、下界の存在ではないという事が一目で分かる程であり、いくら大妖魔の天狗族とはいっても、おいそれとはその『存在』に手を出す事が憚れる程であった。


 しかし『邪未』もいつまでも驚いているばかりでは居られない。


 規律を重んじる『妖魔』の天狗社会において、華親という絶対的な天狗にやれと命令されている以上は、いつまでも日和っている様子を見られるのはよろしくない。そう考えた『邪未』が、ソフィに向けて行動を起こそうとしたその瞬間であった。


「少しばかり我はこやつらの種族で試したい事がある。お主は万が一の時に備えてこやつらの種族以外を守ってくれ」


「――」(え、ええ……。分かった、任せて頂戴)


 確かに想像していた通りのソフィからの命令ではあったのだが、僅かにソフィの言葉から違和感を感じられた魔神は、少しだけ歯切れ悪く返事をするのだった。


(この山全体に『結界』を張れとか、敵を一掃するまでの間『テア』達を守れと命じられるかと思っていたけれど、ソフィの言葉からはあくまで万が一に備えろという部分が強調されているように私には感じられた。そしてあの塵芥(ゴミ)共を相手に試したいと言っていた事から踏まえても、ソフィはこれから新たに素敵な事を覚える為に色々と挑戦したい事があるという事ね。それならばそれで私は一向に構わないわ! 一体何をするつもりなのか分からないけれど、あの『終焉(エンド)』や『転覆(カタストロフィ)』を私に初めて見せてくれた時と同様、またこの私を魅了させてくれると期待しましょう!)


 ソフィの短い言葉の中から僅かにでも意味を見出そうと必死に深読みを行いながら、彼の取る言動や行動の全てに意味があると信じて疑わない魔神は、この後に何をするのかとワクワクしながら言われた通りに『魔力』をこの場に満たしながら待機を取るのであった。


『力の魔神』が主に守れと命令された以上は、万が一にもその命令に背くわけにはいかないのである。


 ――つまり、何があろうともテアとその他一行の命を守る為に用意された『魔力』。


 それこそは大魔王ヌーや、妖魔召士エイジにゲンロクが目を背けたくなる程の『魔力値』が展開される事となったのであった。


 当然にヌー達が感じた『魔神』の『魔力』は、同様に『帝楽智(ていらくち)』や『華親(かしん)』、それに天狗の最高幹部達である『天従十二将てんじゅうじゅうにしょう』に、ソフィと直接相対している『邪未(じゃみ)』にも感じられており、その表情は驚きの色に染まっていた。 


『守りの(かなめ)』という言葉があるが、この天上界の存在である『力の魔神』は、その『守りの要』そのものと呼べる程に『守』に対して全力を出した時、敵の攻撃その一切から身を守る術が用意されている。


 その肉体が消滅しようが、僅かコンマ数秒で完全再生が行われるこの『魔神』が、その『現象』の上に胡坐をかくことなく、むしろその『現象』そのものを自分の手で再現を行おうと本気を出した結果、彼女は単なる『魔神』から『力の魔神』と天上界の頂点に居る存在から呼ばれるようになった。


『魔神』の特質と呼べる完全再生を、新たに『魔』の概念で再現したのである。


 それはつまり、すでに気が遠くなる程に存在する『魔』の概念の既存部分から、この『魔神』によってその先が構築されてしまった事で、この『魔』の概念は単に数が更新されただけではなく、その『再生』と呼べる部分値に更なる更新が与えられたのである。


 ――言葉を変えるならば『魔』の概念にある、再生の概念そのものに対する既存の『アップデート』である。


 もちろんこの『力の魔神』が扱う『魔』の概念としての『再生』技術は、現時点において下界の存在は扱えない。


 現時点において使える者は、彼女と同様に『魔神』と呼ばれる天上界の存在だけとなっている。


 大魔王ソフィという『攻』の分野では頂点に居るといわざるを得ない存在が、『力の魔神』の『結界』に対して全幅の信頼を置く理由とは、 この『守』の分野で『力の魔神』が『守』の頂点に居ると認めているからである。


 そう、大魔王ソフィが認めているのである――。


 ――大魔王ソフィが自身の何を扱おうと、この魔神であれば防ぎきるだろう。


 そう考えているからこそ、大魔王ソフィは安心してその『手段』を切るのである。


 だからこそ、力の魔神は安心して大魔王ソフィに『手段』を使わせる為に、全力で防がなくてはならない。


 これまで通りの、いや、これまで以上の『()()』を得る為に――。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔神は果たして期待に応えられるのか。頑張って欲しいです!
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