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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1740.妖魔山の中での最低限のルール

 鬼人族の集落から中腹付近の天狗の縄張りへと戻ってきた歪完(ゆがん)は、同行していた他の『前従五玄孫(ぜんじゅうごやしゃご)』達と共に再び帝楽智の元に顔を出すと、鬼人族の集落であった事を包み隠さず全て報告するのだった。


 単に人間を庇い立てるだけではなく、明確に天狗族に対して宣戦布告と取れる発言を他でもない鬼人族の族長が言い放ったという報告を歪完から受け取った帝楽智は、再び『天従十二将てんじゅうじゅうにしょう』全員を集めるのだった。


「はんっ、しかしまさか鬼人族に業突く張り呼ばわりされるとは思わなかったな」


 帝楽智が気怠そうに机に頬杖をつきながら辺りを見回してそう漏らすと、その場にいる幹部全員が殺気を纏わせていた。


 どうやら人間がというよりも、同じ妖魔山に居る鬼人族に対しての怒りが上回っているのが見て取れる。


 まだ『殿鬼(でんき)』や『紅羽(くれは)』といった鬼人族が健在の頃の縄張りでは、それなりに山での威光も示せてはいたが、そんな彼らも集落から居なくなり、完全にお飾りの『三大妖魔』と成れ果てた後は、色々と同じ『三大妖魔』で同じ山の中腹付近に縄張りを持つ天狗族が、色々と鬼人族に対して便宜を図ってきた事は間違いない筈である。


 それを鬼人族達が煩わしいと感じていたか、それとも有難いと考えていたか、そんな事は今となっては重要な事ではないが、こうして人間達を交えた場で明確に敵対とする姿勢を見せられてしまっては、ここでダンマリを決め込む事は、もはや妖魔山に生きる天狗族としての立場や沽券に関わってくる。


 ――『三大妖魔』の筆頭として、天狗の首領たる天魔は決断を迫られたと言っても過言ではない。


「こうなっては仕方あるまい。これより鬼人族の集落に向けて襲撃に出る。しかし誰も殺すなよ? 後々面倒な事になるからな。ひとまずやるべき事は人間共を招き入れた族長の玉稿と、件の人間共を拉致する事だ」


「しかし天魔様、先程の歪完めの報告通りであれば、鬼人共は間違いなく抵抗をして来る筈ですじゃ。そのような者達に対して加減を行ったとしても何処まで思い通りにいくか……」


「多少痛めつけても構わんが、極力『呪詛』や『僧全』を用いて攻撃せよ。最悪手足をもぎ取って動けなくすればいい。問題なのは妖魔神の方々の許可なしに、山に根を張って生きている種族を一方的に虐殺する事だからな」


 それが妖魔神達が作った最低限の山のルールだからとばかりに帝楽智が告げると、質問を行った副首領の『華親』も『神斗』達の顔を思い浮かべた後、納得するように頷くのだった。


「では妾が先頭で出る。者共、出立の準備をせよ!」


「「御意!!」」


 天狗達の首領である『天魔』の『帝楽智(ていらくち)』は、妖魔神が表に出て来ないギリギリのラインを保ったままで、これまでは同じ『三大妖魔』として存在を認めて有耶無耶のまま関係を続けていた『鬼人族』に対し、完全な上下関係を定める為に『鬼人族』へ襲撃を掛けるのであった――。


 ……

 ……

 ……


 再び一斉に飛び立っていく『天狗族』の数に、妖魔山に生きる妖魔達の大半が一体何が起きているのかと気にはしている様子だが、それでも自分達から近づいて行こうとするものは、山の中腹付近までに生息する者達の中には居なかった。


 ――だが、人間達が定めた『禁止区域』に居るような連中は、普段から退屈しのぎを見つける事に余念がない者達であり、そのような連中にとってはこの出来事を見逃す筈もなく、続々と山を下りながら中腹へと向かっていくのであった。


 そして七耶咫(なやた)を回収して妖魔山の頂に戻ってきた神斗もまた、天狗達が移動をしているところを山の上から見下ろして観察を行っていた。


「やれやれ、今日は色々な事が起きる騒がしい日だね。君もそう思わないかい?」


 崖の下を見下ろしていた神斗は、ふいに背後に気配を感じた事で後ろを見ずにそう呟くのだった――。


 ……

 ……

 ……

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― 新着の感想 ―
[良い点] 戦いの行方はどうなるのか気になります!ルールは守らないとですね。
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