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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1689.いつも通りな面々

 そしてウスイ達と別れた後、直ぐにソフィ達はコウヒョウの北門から麓まで続く道を越えて、妖魔山の麓に辿り着くのであった。


「これは相当に高い山なのだな……」


 ソフィは『妖魔山』を麓から見上げながら、静かにそう告げた。 


「ふんっ、それに至る所に『結界』が張られていて、中の様子がよく分からねぇな。粗末なモンからそれなりなモンまで多種多様に張られてやがる」


 大魔王ヌーもまた目を凝らすように目を細めて、山を見上げながらそう口にするのだった。


「ふむ……。山のあらゆるところから何かが居るという気配も感じられるが、肝心のエヴィの『魔力』などが感じられぬな。これは定点的な『結界』というよりかは、逐一移動を行いながらの『結界』が施されているようだ」


「試しに『極大魔法』の一つでも放ってみるか? 『天衣無縫(エヴィ)』なら何とかしやがるだろうし、その方がいちいち登って探すより手っ取り早いだろう」


 ヌーが突然そんな事を言うものだから、他の者達は信じられないといった表情を浮かべてヌーを見るのだった。


「お、お待ちください、ヌー殿! そんな事をされては……!」 


「クククッ……! 冗談だ、実際にやるわけがねぇだろう?」


 慌ててミスズがヌーに待ったをかけるような声を掛けると、心底楽しそうにヌーは笑いながらそう告げるが、彼にとっては本当にやりかねないために、ミスズは困ったように最後には溜息を吐くのであった。


「――」(お前のは普段の言動の所為で嘘かどうか分かりづらいんだよ。人間達にとっては大事な任務なんだろうから、あんまり揶揄うような事はやめてやれよ、ヌー?)


 ヌーの隣を守り立っていた死神のテアは、ミスズの溜息から察してそう苦言を呈するのだった。


「緊張を解してやったんだろうが! もういい、まずはコイツの同胞を探すんだったか? さっさと行くぞ」


 テアの苦言に機嫌を悪くしたヌーは、後ろに居た『百鬼』の肩に手を回しながらそう告げると、決めた隊列を無視して先に『妖魔山』へ向かおうとするのだった。


「ちっ! 全く勝手な野郎だな。実はてめぇが一番に緊張してんじゃねぇのか?」


「あ? なんか言ったか、クソ雑魚?」


 勝手気ままに山へ登ろうとするヌーに向けて、小声でぼそっと呟いたつもりのイツキだったが、流石に魔族の耳にはしっかりと聴こえていたようで、直ぐさまヌーは振り返ってイツキを睨みつけながら煽るような言葉を吐くのだった。


「てめぇ……! いい加減に俺をクソ雑魚呼ばわりすんじゃねぇよ!」


「いい加減にしてください! これから『妖魔』が蔓延る『妖魔山』で命がけの調査を行うという時に、場を乱さないで下さい!」


「うむ、ミスズ殿の言う通りだ。お主はもう少し落ち着くのだ。何を気負っているのかは分からぬが、冷静さを欠いてはならぬ」


 ミスズの叱咤の言葉には笑みを浮かべていたヌーだったが、その後のソフィの指摘にヌーは、その笑みを掻き消して不満そうに眉を寄せてソフィに視線を向けた。


 彼はそのまま何も言わずに数秒に渡ってソフィを見ていたが、全てを見透かしてくるようなその視線に耐えきれなかったのか、先にソフィから視線を外すヌーであった。 


「ちっ! ほら、さっさと行けよ、お前らが先なんだろうが!」


 ばつが悪そうにソフィを一瞥した後、直ぐにヌーは戻って来たかと思うと、スオウとヒノエ達に道を譲って先へいけと指を前方へ指しながら促すのだった。


「あ、ああ……」


「ふふっ、アンタも難儀な性格してるねぇ? まぁでもソフィ殿にああ言われちまったら、仕方ねぇよな?」


「うるせぇっ! さっさと行けや、女」


「へいへい! さ、チビ助、仲良く前衛頑張ろうな?」


「うるさいよ! チビ助って言うな!」


 今度は基本隊列で前衛を務める者同士である『ヒノエ』と『スオウ』が言い争いを始めてしまい、ミスズが大きく溜息を吐き、ソフィやエイジ達はこの各々のやり取りを楽しそうに後ろから眺めるのであった。


「……」


 ――そして、その場に鬼人の『百鬼』一人だけが、神妙な面持ちで『妖魔山』を見上げ続けていた。


 ……

 ……

 ……

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