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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1688.再びコウヒョウの町へ

 足止めを行うと告げたアコウに別れを告げたウガマは、イダラマをその背に担いだまま、仲間の退魔士達の『結界』を頼りにゆっくりと山を下りていく。


 イダラマの護衛を務める退魔士達は『妖魔召士』ですらないが、その『結界』の方はある程度しっかりとしているようで、じっくりと意識して『感知』を行わなければ、その姿を捉える事が出来ない程には優秀であった。


 だがここはまだ『禁止区域』であり、この区域に居る妖魔達はその気になれば直ぐにウガマ達の姿を捉える事が出来るだろう。あくまでここに来るまでの間、九尾の妖狐である『王琳(おうりん)』の客として見逃されていただけで、今の状況は単に意識をされていないだけの路傍の石扱いをされているだけであり、もし追って来ている悟獄丸がウガマ達を本気で捕えようと身を乗り出して他の妖魔達に声を掛けるような真似をすれば、直ぐに『結界』の有無に拘らずにイダラマ達は捕えられてしまうだろう。


 その悟獄丸の姿もまだ背後に見えてはこない。どうやらアコウの身を捧げた事による決死の時間稼ぎが、功を奏しているのだろう。


 イダラマはウガマに背に担がれながら今も意識を失っている。度重なる戦闘で『魔力』を消費した彼は『魔力枯渇』寸前の状態なのだから、当然といえば当然の事である。


「もうすぐ『禁止区域』の外だ! このままコウエン殿の場所へ急ぐのだ!」


「は、はい! ウガマ殿!」


 コウエンの元にも九尾の『王琳』という化け物じみた『妖魔』は居るが、それでも自分達だけで『妖魔神』の『悟獄丸』に追われている状態よりかは幾分マシだと考えて、早く合流を果たそうと、その足を懸命に前に出すのであった。


 ……

 ……

 ……


 そしてゲンロクの里でエイジやゲンロク達と合流を果たした後、遂にソフィ達は『コウヒョウ』の町へと『高等移動呪文(アポイント)』を使って戻ってきた。


 下見に訪れた時に通ったコウヒョウの門では、現在はこの町の役人だけではなく、この町の護衛を行っている『妖魔退魔師』組織の『予備群』の護衛隊達も勢揃いで、総長シゲンや副総長ミスズ、それに本部の最高幹部達を出迎えているところであった。


 当然に前回ソフィやヒノエ達と顔を合わせた、この町の護衛隊長を務めているウスイの姿もあり、名主の遣い達との話を終えた後に、このウスイがエイジ達を『妖魔山』へまでの道を案内するのだった。


 あくまでソフィ達は町ではなく、妖魔山の調査が目的のために、ほとんど素通りで町を通り過ぎていく。


 そして北側の門付近でシゲンは、前を歩いているウスイに声を掛けるのだった。


「ウスイ、どうせここから妖魔山までは一本道だ、案内はここまでで構わん」


「えっ、そ、そうですか! わ、分かりました、それではここで失礼致します!」


 本当であれば山の麓まで案内をする予定ではあったが、総長直々にここまでで構わないと言われては、いち隊士でしかないウスイは、それ以上は何も言えない。


「待て、ウスイ。また改めて辞令の通達があると思うが、お前には近々本部付けの隊士として『サカダイ』に迎え入れるつもりだ。お前には今の内にこの町の次の護衛隊長を決めておいてもらいたい」


「えっ!?」


「本当ならば『特務』から、次のコウヒョウの護衛隊長を任命するのが通例ではありますが、我々は現在『妖魔山』の調査に尽力を尽くさなければなりません。そこでこの町の護衛隊長である貴方に、次の護衛隊長を推薦してもらおうと考えています。貴方に一任しても構いませんね?」


 唖然としていたウスイにそう説明を告げたのは、副総長のミスズであった。


 彼女の謂わんとしている事は、ウスイにこの町を離れる最後の身辺整理と、部下やこの町の親しい者達との最後の別れを済ませておきなさいという『隠された言葉』が、含まれているのであった。


「わ、分かりました! 総長や副総長が戻って来るまでに決めておきます!」


「結構。それでは、もう戻って構いませんよ」


「はっ、ははっ!!」


 目上の存在であるシゲン達に向けて最敬礼を行い、最後にウスイはソフィとヒノエの二人に頭を下げた後、町の自分達の屯所へと戻って行くのであった。

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