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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1704/2226

1687.かつての妖魔召士達の長

 空の上で神斗とのやり取りを終えたそのナニカは、目論み通りに危険な存在であるエヴィを回収した後、再び『妖魔山』の頂へと『空間魔法』を用いて到着する。


 どうやらそのナニカのもう片方の目的の人物は、すでに移動が行われていたようで、到達した座標の場所には居なかった。


「それなりの時間を神斗と話し込んでいたわけだしな。いつまでも、もう片方の『妖魔神』の居る場所に居続けるわけもないか……。さて、あまり時間を掛けていてはここに神斗の奴が戻ってきてしまう。急ぐとしようか」


 そのナニカはエヴィを担いだままそう独り言ちると、その場で気配を探るように周囲を見渡し始める。


「悟獄丸に私の『魔力』の残滓を残しておいて正解だったな。どうやらイダラマ達を追って移動を行っているようだ。アイツは『神斗』のように『魔』の概念に傾倒している様子はなかったが、それでも今のイダラマ達程度ならば楽に捕まえられるだろうに。狩りのつもりか? 全く趣味が悪いな妖魔神めが……」


 そのナニカはイダラマの『魔力』ではなく、先程『結界』で閉じ込めた時に送り込んでいた『魔力』の欠片程度の残滓からその場所を探り当てた。


 どうやら神斗のような『魔』に対する理論的な観点を持ってはおらず、感覚的に『魔』を利用する悟獄丸の方が扱いやすいと感じたようで『結界』などで居場所を探りにくくしているイダラマ達の方ではなく、悟獄丸から場所を割り出したようであった。


 ソフィ達の世界にあるような『(ことわり)』から生み出された『魔力感知』や『魔力探知』ではなく、独自の『魔力』感知方法を用いて居場所を探るそのナニカだが、全体を考えた上での便利さでいえば『魔力感知』や『魔力探知』の方が上であろうが、このナニカの独自に編み出した『(ことわり)』から用いられたモノは、自分自身の『魔力』を残滓とはいえ付与する事で確実にその居場所を突き止める事が出来る。


 あくまで自分自身の『魔力』から特定するのだから、いくら『結界』などを用いようとも逃れる事は出来ない。この点では確実にナニカの感知能力が上だと、断言が出来る程である。


 そしてこのナニカは『空間魔法』をある程度の領域まで自在に操る事が出来る為、非常に感知能力と相性が良い。


 ――否、相性を合わせるためにその『(ことわり)』を生み出したのだから、良いのは当然の事であった。


 このナニカはこの山を至る場所まで知り尽くしている。その理由は最初にこの『妖魔山』に入り込んだ後、瞬く間に自身が世間から姿を消して、この山を自身の生涯の大半と呼べる程の期間をかけて調べ尽くしたからである。


 ――何故そんな事をする必要があったのか。


 それは当時、この妖魔山に登った時にこのナニカだけにしか感じられなかった、とある『妖魔』の存在の『魔力』を感じ取ったからである。


 そのとある『妖魔』とは『神斗』や『悟獄丸』といった『妖魔神』と、同じ時代を共有してきた『妖魔』で間違いはないのだろうが、その存在は間違いなく『神斗』や『悟獄丸』よりも禍々しい化け物で間違いなかった。


 この化け物は過去のどの世代かまでは分からないが、このナニカと同じ『妖魔召士』によって『封印』を施されてこの山のとある場所に今も現存している。


 当時の仲間達にさえ居場所を知らせず、このナニカはたった独りでこの山に残る事を選び、その『妖魔』の監視を行い続けたのであった。


 ――そしてこのナニカの存在とは、今ではもう数世代前の妖魔召士の長となった、稀代の天才と呼ばれた妖魔召士『()()()』であった。


 ……

 ……

 ……


 山の頂から『空間魔法』を用いて悟獄丸の居場所までを狭めながら、確実に同次元に居る者達からは観測されないように少しずつ移動を行っていたシギンだが、もうすぐで悟獄丸やイダラマ達が居るだろうという場所の近くで、首を引き千切られて事切れている人間の姿を発見するのだった。


「悟獄丸も惨い事をするものだ……」


 ――その人間とは青く長いピアスを耳につけていた『イダラマ』の護衛であった『()()()』であった。


「後で必ず葬ってやるから、いましばらくは悪いが我慢してくれ」


 シギンはアコウの亡骸にそう告げると、再びその場から姿を消して悟獄丸達の場所へ向かうのだった。


 ……

 ……

 ……

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