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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1680.自信があるが故に、決して許容が出来ない事

「今日は久方ぶりに刺激のある日となった。そこの青髪の少年も実に興味深い技を見せてくれたし、あの『妖魔召士』の『透過(とうか)』技法にしても感慨深かった。そして最後には君の存在だ」


 神斗は組んでいた手を動かして七耶咫を指差すと、満足そうにそう告げて頷いてみせるのだった。


「……」


 七耶咫(なやた)は無言のまま視線を神斗から、完全に意識を失って空の上で停止している青髪の少年に向けた。


「その少年は凄いだろう? 完全に意識がないっていうのに、こちらが手を加えようとすると明確に殺意を向けてくるんだ。完全に意識を失っているからといって、下手な攻撃を加えようとすれば、跡形もなく消し飛ぶようなイメージを私にも抱かせる程だ」


「そのイメージはあながち間違っていないな。まず間違いなく、今のこの少年に身体を消滅させるような攻撃を行えば、この少年は自らの命と引き換えに、周囲一帯は地獄に誘われる事になるだろう」


 神斗の少年を褒める言葉に同調するように七耶咫が返答を行うと、神斗は表情を戻しながら視線を再び七耶咫に向けて口を開いた。


「地獄へ誘われるか……。君はとても面白い表現をするね。でもそうだな、妖狐の中で七つの尾を持つ程の位の高い『七耶咫』をあっさりと操って思うが侭に操っている君が、わざわざ潜伏を解いてこうして私達の前に姿を見せる程には、この少年にこれ以上手を出す事が危険という事なんだろうね」


 神斗は自分以上に『魔』の概念の研究を終えている存在はこの世界に居ないと自負しているが、それでも七尾の妖狐の身体を、まるで自分自身の身体のように自在に操って『魔』を展開する目の前の存在に、一定の敬意を示しながらそう告げるのだった。


「恐れを知らぬ『妖魔神』のお前や、悟獄丸の前にこれ以上この少年を置いておく事は危険極まりない。特に私の話を聞いて尚、興味本位でこの少年に手を加えようと考えているお前の前には……な」


「ふふっ、だったらどうするのかな? 私は君の言う通り、この少年を逃すつもりはないよ。それに悟獄丸の元から逃げようと画策しているあの人間も当然にね」


 神斗はそう言って、ちらりと視線を『妖魔山』の頂に居るイダラマ達に向けるのだった。


「少なからず『魔』の概念に着手した者は、その計り知れない程の膨大な情報量について行けず、自分の出来る範囲で何とかモノにしようと考える。そして結局行き着く先は、単一方向性に絞った少々枝分かれを行っているに過ぎない『魔』の概念の会得と、会得に際した自己的な満足感だ。神斗、お前がこれまでどれだけ生涯を『魔』に傾けてきたのかなど、私には毛ほどにも興味はないが、それでもこの私の行動を一定とはいえ妨げる事は、間違いがない。よって仕方がないが、私はこの世界の為に少しだけお前達に『力』を見せなくてはならないだろう。その結果、お前達『妖魔』を今よりも更に成長を促す事になろうともだ……!」


 神斗は目の前の『七耶咫』が、いったい何を言っているのか全く分からなかった。 


 この七耶咫の言い方では、まるで『妖魔神』としてこの世界で最古の存在として君臨し、長い年月を他の妖魔以上に『魔』に傾倒し続けてきた自分に対して、この目の前の存在は更に先をいっていると告げてきたようなモノであったからだ。


「少しばかり『魔』に自信があるようだけど、たかがいち『妖狐』を操ったり、空間距離を縮めた程度でこの私の『魔』の概念より先の領域に行っていると思わないほうがいいよ?」


 どうやら『魔』の概念に対して絶対の自信を抱いている『神斗』にすれば、この得意分野において自分が下に見られた事が、これまでの二人のやり取りの中で、一番許容が出来なかったようである。


 七耶咫(なやた)は神斗の話す言葉の端々に、これまでとは違う棘のようなモノが孕んだのを感じるのだった。

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