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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1663.透過技法の奥深さ

 このまま生身のままでは不味いと感じたのだろう。イダラマは浮かれていた気分を完全に消し去ると、再び自身の『魔力』を用いて自らの研究の末に辿り着いた『透過』技法に全力を注ぐ。


 ――『魔利薄過(まりはくか)』。


 存在そのものが世界から隔離されていく感覚、まさに『魔法』と見紛う程の密度と技法の練度の結集。それは他者から見ても気薄になるような違和を感じさせる。


『透過』技法そのモノを知らないこの世界の『魔』の探求者達であれば、このイダラマが行っている事を何一つ理解が出来ていないだろう。


 ――否、この『ノックス』の世界だけではなく、ソフィ達の居る『アレルバレル』の世界や、シス達の『リラリオ』の世界でさえ、この今のイダラマが行っている『透過』技法の境地を真に理解出来ている者は数少ないだろう。


 それはつまり『(ことわり)』の在る世界にして『魔法』が存在する世界でさえ、その『理』自体が存在しない『ノックス』の世界に居る『人間』が、指標もなしに独学で辿り着いた『透過』の領域を理解出来ていない事と同義なのである。


 これが如何に信じられない事なのか――。


 謂わば、存在する一つの『概念』をイダラマという人間が、強引に捻じ曲げる事象を行っているのである。


(ことわり)』のある世界であれば、これは『時魔法(タイム・マジック)』と呼ばれる領域の『魔法』に匹敵するといえる。


 それだけの『魔』の可能性を示した人間のイダラマにを相手に、妖魔神である『神斗』と『悟獄丸』が興味を示した事は何もおかしい事はない。


 そして『神斗』は目の前で唐突に稀薄さを増していく『イダラマ』に、先程の自身の放った『魔力波』が完全に回避された時の感覚を思い出すのだった。


「それが君の『透過』の研究成果の末に編み出した技法の正体か。なるほど、そこに『魔力』の密度と、技法の練度の完成度自体は窺えるが、こちらを害そうとする本来の『透過』の感覚は伝わってこない。つまりは攻撃に関しては無害に等しく、また防御に関しては絶大なる効果を発揮するタイプという事だね」


 神斗はイダラマの『魔利薄過(まりはくか)』の効力が発揮された後、じっくりと考察を続けている。その少し離れた場所で『悟獄丸』もまた、顎に手をあてながらイダラマの『魔利薄過(まりはくか)』をじっと眺めていた。


 …………


(あの人間の防御に使った『透過』技法の完成度は、俺達『妖魔』でさえ中々見る事が出来ない領域にある。もしもの話ではあるが、俺達が同様に『透過』技法に着手していなければ、この人間に手出しする事は相当に難しく骨が折れる話だっただろうな)


 神斗と同じ『妖魔神』である『悟獄丸』は、改めて今のイダラマの『魔』の居る領域を理解すると、深く感心するのだった。


(だが()()()()()()()()()()()()()()という事だ)


 悟獄丸は胸中でそう呟くと、紫色の『魔力』を更に増大させている『神斗』に視線を向けるのだった。


 イダラマの防御に全振りをするような『透過』までは、流石にこれまで『悟獄丸』達でさえ見た事がなかったが、それでも長い寿命の中で『透過』技法そのモノに関しては、一通りの研鑽を終えている。


 いくらイダラマの『透過』技法が『防御』に関して抜きん出ているとはいっても、本来の『透過』技法そのモノに関しては『神斗』や『悟獄丸』の方に一日の長があった。


 …………


「君の『透過』技法が優れている事は十分に理解した。だから私も本気で君の技術を上回れるように努力するよ」


 神斗がそう告げると同時、先程と同じ規模の紫色の『魔力』が込められた『魔力波』が、神斗から放たれるのだった。


「残念だが、今の私は全ての攻撃に対する防御手段を取っている。いくら目を背けたくなる『魔力』が込められた攻撃であろうとも、私には通用しないぞ!」


 イダラマが声高らかにそう宣言すると、神斗の攻撃に対して一切気を抜かずに『魔利薄過』を用いて、完全回避状態を維持するのだった。

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