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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1672/2226

1655.鏡魔姿移、再び

 神斗の放った『魔力波』だが、先程イダラマが放った『魔波空転(まはくうてん)』よりも明らかに威力が上をいっていた。卓越した『妖魔召士』であれば、その込められた『魔力』の密度で判断が出来たであろうが、単なる一般人であっても分かる程に可視化されたその膨大な魔力波では、密度を推し量るまでもなく理解が出来るであろう。


『魔力』の総量でもその練度ですら、ランク『8』のイダラマを上回る『妖魔神』たる『神斗』の魔力波がイダラマを襲い掛かろうというのに、彼は笑みを浮かべて自身に纏わせている『魔力』を一つの『術』を施す為に使用する。


 そしてそれこそが本当の彼の狙いであり、大望へと繋がる一縷の希望と呼べる代物。


 ――僧全捉術、『鏡魔姿移(きょうましい)』。


 質量を持った『イダラマ』の分身が、彼自身の前に突如として出現を始めるのだった。


「ほう?」


「これは紛いモノではなく、しっかりと『魔力』を持っているか」


「なっ!?」


 イダラマの用いた『鏡魔姿移』の術に、再びイダラマ自身に興味を示した『悟獄丸』に、冷静に術の分析を行う『神斗』、更には純粋に驚く『七尾の妖狐』。


 ――三者三様に違う反応を見せながら、イダラマの次の行動に着目するのだった。


 イダラマは自身の捉術である『鏡魔姿移』で自分の分身を作り出した後、この後に何をするのかと妖魔達に注目されている中で、そのまま身を捩って『神斗』の『魔力波』から回避をする事を優先するのだった。


 イダラマの生み出した分身が壁となった事で、イダラマ自身は『神斗』の『魔力波』から逃れる事は出来たが、それでも先程『鏡魔姿移』で生み出された分身は、あっさりと神斗によって消し飛ばされてしまった。


「まあ、あの距離で私の攻撃を回避して見せた事には、驚嘆に値はするが……」


「何だ? あの生み出した分身で何をするのかと期待したが、単に壁に使っただけなのか……?」


 『神斗』と『悟獄丸』はイダラマが見た事のない術で分身を生み出した事で、この後に何を行うのかとそちらに注目をしていたのだが、結局は神斗の『魔力波』を回避するに留まり、生み出した分身があっさりと消えた事で肩透かしを食らったように訝しんでいた。


 そしてそのまま彼らは何かを期待する心境から訝しみ、そのまま落胆へと変わったかと思うと、最後には失望する目へと移っていった。


「何だよ、本当に壁に使っただけなのかよ。それだけの役割で分身を編み出すくらいなら『結界』で十分だっただろうに、期待させやがって」


 無事に回避してみせた事で満足気にしているイダラマを見て、悟獄丸は大きく溜息を吐くのだった。


「しかし悟獄丸、あの者が私の攻撃を回避する為に使った術の『魔力』は侮れないものであった。本当に壁にするだけに使ったと思うか?」


 何処か腑に落ちない様子でそう告げる神斗に、悟獄丸は眉を寄せた。


「それ以外に何があるって言うんだ? 俺には何かあるようには思えねぇが……」


 そもそも先程放った『神斗』の『魔力波』はランク『8』までの妖魔や、それに匹敵する『耐魔力』を有する人間達であっても、一撃で消し飛ぶ程の密度の『魔力』であった。それをしっかりと無傷で回避して見せたのだから、本来であれば見事だと褒めるに値する行動であったことは間違いはない。


 単に『神斗』と『悟獄丸』が、イダラマの新術に対して過分に期待を寄せただけの事ではある。しかし神斗が直接攻撃を放ったからなのだろうか。何故か『神斗』は『悟獄丸』とは違って、いつまでも違和感を感じている様子であった。


 そして神斗はその違和感を拭う為に、イダラマに対して色々と確かめようと口を開きかけたその時――。


 ――何と先程までイダラマが纏っていた『魔力』とは、密度そのものと色合いが全く違う『魔力』が彼の周囲を覆い始めるのだった。


「『帝楽智(ていらくち)』とは違い、想像よりも純粋にして禍々しさを感じない『魔力』だな」


 ――何とそのイダラマの纏っている『魔力』の正体は、密度と『魔力』の値こそ違えども、先程『魔力波』を放った『神斗』のモノと同一の『魔力』であった。

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