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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1644.二度と同じ轍は踏まない

「では、これからソフィ殿に『妖魔召士』の里まで送っていただき、ゲンロク殿とエイジ殿と合流を果たした後に『コウヒョウ』の町へと向かいます。当初の予定通りに『ヒナギク』副組長に『サシャ』副組長、そして『ヒサト』副組長の御三方に各々の組を取り纏めてもらい、この『サカダイ』の町の護衛にあたってください。更には『特務』から『カヤ』隊士に『ナギリ』隊士が副組長達の補助についてもらいます。各副組長の指示に従って動いて下さい。そして緊急な異変や事態が生じた場合は、速やかにセルバス殿にお伝え願います」


「「はっ!」」


 ミスズの指示に各幹部の副組長達や、本部付けの隊士達が敬礼を行いながら返事をする。


 伝達役にセルバスが選ばれたのには、遠く離れた場所であっても『念話』を通じて、即座に『ソフィ』や『ヌー』と連絡を取り合えるからであった。


 本来、この世界では何かが生じた際に上に直ぐに伝えようとしても早馬を飛ばすか、伝令役に幹部の妖魔退魔師を起用しなくてはならず、指示を仰ぐにも即座に行う事は不可能であったが、ここに別世界のソフィ達の存在が加わった事により、何かが町で起きたとしても直ぐにソフィ達を通じて『シゲン』や『ミスズ』達に伝える事が可能となる。これはソフィ達が居る間だけの限定的な話とはなるのだが、この世界の者達にとっては革命的といえるモノであった。


 前回のようにはぐれの『妖魔召士』や『妖魔』などが町を襲撃してきたとしても、直ぐに町に居ない総長や副総長達に襲撃が行われた事などの情報を共有出来て、予想以上の事態が生じた際であっても『高等移動呪文』を用いて一斉に全員を町に送る事が出来るソフィやヌーといった存在により、不測の事態に対する対応を取る事が可能となったからである。


 これによってたとえ間諜を通じて、シゲン達が町を離れたという報告を今か今かと待っているような連中が居たとしても、その目論見は通じなくなる為に『妖魔退魔師』組織は『サカダイ』の町の常に気を配りながら『妖魔山』の調査を行なう必要性がなくなり、安全に調査を行う手筈が整ったという事と同義であった。


『妖魔退魔師』組織にとっては、このタイミングで『妖魔山』の調査を行う事が、まさに最善といえただろう。


「セルバス、頼んだぞ」


「はい、旦那! 前回みたいなヘマだけは避けるべく『結界』に囚われる事だけは気をつけときます!」


 ミスズやシゲンの前にソフィが先にセルバスに確認を行うと、セルバスは前回の『妖魔召士』を相手に不覚を取った件を持ち出して、ソフィに反省をしていると伝えつつ言葉を返すのだった。


「どうやらこの世界でも『念話』封じの策は存在しているようだからな……。魔力の奔流を感じ取ったならば、まずは結界の有無を確認し、張られたと感じたら直ぐに結界外へ逃れる事を優先するのだ。お主から連絡がくれば我は必ず直ぐに駆けつけて、今度こそ何があろうとお主を救うと約束しよう」


「! だ、旦那……!! あ、ありがとうございます!」


 ソフィの言葉とその真剣な目を見たセルバスは、感極まった様子を見せて、涙ぐみながら感謝の言葉を告げるのだった。


 そして間髪入れずに傍に居たヌーもセルバスに声を掛けた。


「おい! 危ねぇと思ったら本当にすぐに連絡を寄こせよ? 遠慮なんてもっての他だぞ? てめぇの身に何かあれば今度こそこの世界が滅んでもおかしくねぇ。こいつがキレたら俺でも想像がつかねぇくらい、無茶苦茶しやがるからよ……!」


 まさに切実という言葉は今のこのヌーの状態を示す為に存在しているのだと、そう思わせる程に彼は真剣な様子でセルバスに話すと、セルバスはゴクリと唾を飲み込んだ。


 どうやら前回のソフィの激昂する様子を見た時、今の自分ではどう足掻いても、ソフィを止める事は難しいと感じ取ったのだろう。だからこそ取り返しのつかない事になる前に、事態をおさめる努力をしろとセルバスに警告を促すヌーであった。


「あ、ああ! わ、分かった!」


 こんな風に焦るような表情をヌーに見せられると思っていなかったセルバスは、ソフィに対して感じた嬉しさ以上に、この世界の崩壊という()()()()()()()()()()が上乗せされてしまい、二度と同じ轍を踏まぬように『魔力』の奔流を感じた時点で『結界』を意識し、逃れる事に全力を注ごうと『セルバス』は考えて深く心に誓うのだった。


 ヌーの真剣な様子を傍から見ていた組長格達もまた、真剣な面持ちを浮かべてみせる。その中でシゲンだけは違う感想を抱いていた。


(俺個人の気持ちとしては、もう一度あの時のソフィ殿を見てみたいがな……)


 ソフィを『妖魔山』における重大な戦力と見越している総長シゲンは、本気となったソフィを見ておきたいとそう考えたようである。


「そ、それではソフィ殿、よろしいでしょうか?」


 気を引き締める意味でもようやく準備が整ったと感じたミスズは、おずおずとそうソフィに告げるのだった。


「うむ、それでは『ゲンロク』殿達の居る里へ向かうとしよう」


 こうして各々の面々が残る者に対して言葉を残した後、ソフィの『高等移動呪文(アポイント)』によって全体移動が行われるのだった。

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