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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1629.山の案内と愉快そうな笑み

「先程申した我々の目標の他に、この調査ではソフィ殿達のお仲間である『エヴィ』殿の捜索と、今回の襲撃の一件でも防衛に協力をして頂いた『鬼人』殿の同胞の捜索も重ねて行います。我々の目標となる『禁止区域』は妖魔山の最奥となりますので、まずは同行頂く方々の目標を優先したいと思っています」


 ミスズの言葉にソフィ達や鬼人だけではなく、イツキの護衛としてついていく『ユウゲ』も顔をあげて反応を示すのだった。


 しかし何か思うところがある様子のユウゲだが、自ら自発的に発言をしようとせずに沈黙を続けていた。


「ユウゲ殿、どうかされましたか? 貴方も『妖魔山』の調査にご参加して頂くのですから、何か気になる事がございましたら、どのような事でも気軽に仰って下さい」


 そこへ目聡くミスズが言葉を出しやすいように、ユウゲに話を振るのだった。


「あ、いや、別に大した事じゃないんです。私達『退魔組』の退魔士も以前に『妖魔山』の見張りを行っていたものでして。その場所から少し登ったところが『鬼人』達の縄張りだったもので、少し色々と思い出したものですから……」


 ユウゲの言葉にミスズは目を光らせるのだった。


「ほう、そういえばいつかの会合でゲンロク殿は、退魔組の選りすぐりの『退魔士』に、山の麓の管理を行わせていると仰っていましたが、貴方が行っていたという事ですか」


「厳密には私一人というわけではなく、特別退魔士(とくたいま)と呼ばれる退魔組の組員が交代で、護衛と部下と共に行っていたわけです」


「成程……。鬼人達を相手に見張りを任されるという事は、相当に貴方も実力者というわけですね。そういえば前回に少しだけ、貴方の『力』を見させて頂く機会がありましたが、確かに貴方の『結界』には、私も驚かされましたね。一目では気付けませんでしたから」


 それはイツキがヒュウガに手を掛けた時の事を言っているのだろう。


「い、いやいや、私の力などそんな大したものではありませ――」


 ユウゲが謙遜しようとした時、ヒノエが口を開いて言葉を被せる。


「へぇ? 副総長にさえ気付かせない程の『結界』を張れるのか! アンタやるなぁ?」


 ヒノエ組長はそう言って、心底感心したように『ユウゲ』を見るのだった。


 そしてそんなヒノエに続くように別の人物も声をあげた。


 ――それは三組の組長の『キョウカ』であった。


「一瞬とはいえ、うちの副総長に気付かせない程の『結界』だというなら、私や他の最高幹部も直ぐには気づけないという事だから、本当に凄い事だよ?」


 最高幹部であるミスズ、ヒノエ、キョウカが続けてユウゲを褒めた事で、その場に居る者達全員から視線を向けられるユウゲであった。


 雲の上の存在達だと思っていた二大組織の副総長や、組長格の面々に、凄いと言われて注目されたユウゲは困った表情を浮かべてイツキの顔を見るのだった。


「ふふっ、実はこのユウゲは、そんじょそこらの『妖魔召士』じゃ敵わない程の力を秘めているぜ? 何せこの俺もそこを見込んで護衛を頼んだくれぇだからな」


 そう言って口から次々とでまかせを告げながらイツキは、ユウゲの肩をバンバン叩いてみせるのだった。


「ちょ、ちょっとイツキ様……!」


「ほう。それは非常に頼もしい事ですね。妖魔山の見張りも務めておられたという事ですし、よろしければ何も分からない私達に、妖魔山の案内を是非お願いします」


「い、いや……、その……!」


 実際には『鬼人』達の縄張りどころか、山の麓を少し登ったところに居るランク『1』や『2』の妖魔を相手にするのが精々であり、それが『退魔組』の『特別退魔士(とくたいま)』の管轄だった為、山を案内しろと言われて困った事になったとばかりにユウゲは辛そうに声をあげた。そしてイツキを一瞥すると、心底愉快だとばかりにイツキはユウゲを見ながら笑みを浮かべていた。


(ま、またこの人は……!)


 その様子にユウゲは、少し前も『ケイノト』の町で似たような事があったなと思い出して、内心でイツキに対して舌打ちをするユウゲであった。

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