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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1621.絶句

帝楽智(ていらくち)』は二度目の『魔力波』を撃てるだけの『魔力』がたまった後、直ぐにイダラマに手を向けていつでも放つ事の出来る段階に入っていた。


 そうだというのに何と彼女は自身を覆っていた『瑠璃』のオーラを自ら消し去ると『波動砲』と見紛う程の威力を誇る『魔力波』すらも彼女自身の手で消し去ったのである。


「なっ……!?」


 自分の取った行動に驚く『帝楽智(ていらくち)』だが、何故かイダラマに向けて攻撃を行おうとすると、自分の思うように身体が動かせなくなるのだった。


 意識が操られているわけでも失っているというわけでもなく、自分がやっている事を明確に理解はしているのだが、イダラマに向けて攻撃を行おうとすると意思に反して『魔力』を使えなくなり、簡単な攻撃でさえ行える気がしなくなる『帝楽智(ていらくち)』であった。


「い、一体妾の身に何が起きておるというのだ!?」


 自分がやっている事が信じられず、彼女は自分の両手をまじまじと見つめながら驚きの声をあげるのだった。


「て、天魔様?」


「ど、どうなされたのでしょう!?」


 イダラマ達を取り囲んでいる『天狗』達は、自分達の頭領である『帝楽智(ていらくち)』がトドメの一撃を放つと信じて疑わなかったが、その頭領である『帝楽智(ていらくち)』が好機を自ら逃すように攻撃をやめた事で驚き、何があったのかとその全員が視線を向けるのだった。


「ふむ、流石は『天魔(てんま)』と呼ばれた『帝楽智(ていらくち)』といったところか。どうやら私の術中であっても、その意識はしっかりと保っていられるようだな」


 そして周囲が驚いている中で『イダラマ』だけが冷静にそう口にするのだった。


「イダラマよ、普段のお主とは違う『魔力』の色が可視化されて見えるのだが、それはお主の本来の『魔力』なのか?」


 そのイダラマの呟きに『帝楽智(ていらくち)』の方から視線を向け直したコウエンは、イダラマの周囲を包む紫色の『魔力』の奔流を見て眉を寄せながらそう言った。


「ほほう! 流石はコウエン殿だな。この場合において普通であれば『天魔(てんま)』殿の様子がおかしい事に意識を向けがちになり、百歩譲って私の『術』に着目するものだが、まずこの私の『魔力』の色に気がついて本来の私の『魔力』と違う事に気づくとはな」


 素直に『コウエン』の疑問の言葉に返事をするのではなく、感心したように自然体のままでこちらを褒める様子を見た『コウエン』は、やはり感性が他の者とは少しばかり異なっているとイダラマを見て考えるのであった。


 今のイダラマの周囲を覆っている『魔力』はいつもの彼の『魔力』の色ではなく、今の目の前に居る『帝楽智』が『魔力波』を放つ時に覆っていた『紫色』だったのである。


「はっ!? お、お主まさか……」


 そしてコウエンにも『イダラマ』の覆う『紫色』の『魔力』が何故『帝楽智(ていらくち)』と同じ色をしているのか、その意味の考えられる可能性に行き着いた時、再び愕然としながらコウエンは『イダラマ』を見るのだった。


「さて、多少は時間を食ったが、改めて『禁止区域』へ向かうとしようか、コウエン殿?」


 そう告げるイダラマはすでに、この場の危機は去ったとばかりにコウエンに笑みを浮かべて、そう口にするのだった。


「じょ、冗談ではない……! ま、まさかこの感覚は……」


 そして今も尚、イダラマに向けて攻撃が出来ない『帝楽智(ていらくち)』は、今の自分に何が起きたのか薄々と理解をすると共に、目下に居るその存在が自分と同じ『天狗』の『魔力』を有している事で、その要因に思い当たり、彼女は苦虫を噛み潰し方のような表情を浮かべた後、ゆっくりと空からイダラマの元へと下降していった。


 当然、その『帝楽智(ていらくち)』の後を追うように『天狗』達も共に降りてくるのだった。


「そこな人間よ、一つ聞きたい事がある」


 何度行おうとしても攻撃が出来なくなった人物の元へ『帝楽智』が辿り着くと、先程思い当たった要因を確かめるべく、イダラマに質問を投げかけようと口を開くのだった。


「ふふっ、まさか『天魔』と呼ばれた『帝楽智(ていらくち)』も過去に『妖魔召士』と『契約』を行った事があるようだな? その通りだ『帝楽智(ていらくち)』よ、お主の考えている通り、今のお主は私の『式』として『契約』を結んだ状態にあるのだよ」


「「!?」」


 そのイダラマの言葉を聴いた『帝楽智』と『コウエン』、それに他の『天狗』達も同時に驚きの表情をイダラマに向けて絶句するのであった。


 ……

 ……

 ……

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